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吉田会長が「国と地方の協議の場」に出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年6月6日更新

 吉田隆行会長(広島県坂町長)をはじめとする地方六団体代表は5月29日、「国と地方の協議の場」(令和6年度第1回)に出席しました。
 政府側は、岸田内閣総理大臣、林内閣官房長官、松本総務大臣、自見内閣府特命担当大臣(地方創生)、河野デジタル大臣兼デジタル行財政改革担当大臣兼デジタル田園都市国家構想担当大臣、新藤新しい資本主義担当大臣兼内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、松村国土強靭化担当大臣兼内閣府特命担当大臣(防災)、加藤内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)、矢倉財務副大臣が出席しました。
 会議では、「骨太の方針」の策定等について協議が行われました。
 

全景

 

挨拶する岸田内閣総理大臣
▲挨拶する岸田内閣総理大臣

  はじめに岸田内閣総理大臣が挨拶に立ち、
「我が国の経済、約30年ぶりの高水準となった力強い賃上げや史上最高水準の設備投資など、前向きな動きが続いている。成長型の新たな経済ステージへの移行に向けて、賃金や所得の拡大、価格転嫁対策等、人手不足への対応に全力を挙げて取り組み、経済の好循環を実現してまいる。地方の創生なくして、日本の発展はない。人口減少やインフラの老朽化が進む中、こうした社会課題の解決を成長につなげ、持続可能な地域社会を構築していくことが必要である。このため、広域化・共同化により、公共サービスやインフラの選択と集中を進めるとともに、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、あるいはAI(人工知能)の活用、官民の連携によって、行政サービスの持続可能性、これを確保してまいりたいと考える。

 また、2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスである。こうした認識のもと、約3.6兆円規模に及ぶ前例のない規模で、こども・子育て支援を抜本的に強化することとしている。こうした制度や施策の充実と併せて、社会全体で子供や子育て世帯を応援する機運を高める取組も重要である。地方においても連携した取組をお願いする。

 本日の議題となる本年の骨太の方針では、このような取組を始め、少子高齢化・人口減少を克服し、国民が豊かさと幸せを実感できる経済社会を構築するための方策を盛り込んでまいる。忌憚のないご意見を頂くよう、よろしくお願い申し上げる」と述べました。

出席した吉田会長
▲出席した吉田会長

 続けて、地方六団体を代表して、村井全国知事会会長(宮城県知事)が挨拶に立ち、①物価高が続いており、地方行政への需要増大が懸念されるため、令和7年度以降も地方財政の安定化を図るよう一般財源総額の必要額確保および充実、②令和6年能登半島地震被災地の復旧・復興対策への十分な財政支援を講じることおよび災害に向けたDX推進などの対策強化、③デジタル共通基盤の基本方針について地方の実情を踏まえた方針の策定と標準準拠システムへの移行による財政支援、ガバメントクラウド利用料の地方自治体の負担増の回避、④地方分権改革に関する地方公共団体等からのデジタル化に関連する提案実現のための予算措置-等を求めた後、「課題山積であるが、骨太の方針策定の際には、これから述べる地方の声を聞き、何卒お力添えを賜るようお願いする。そして地方は国と一致団結して取り組んでまいりたいと考えているのでよろしくお願い申し上げる」と述べ、挨拶を締め括りました。

 協議の場において吉田会長は、「人口戦略会議が公表した『消滅可能性自治体リスト』は、『消滅』という過激な表現を用いたうえに、それが一部の地方の問題であるような誤解をもたらしている。地方の人口減少の大きな要因は、少子化と東京一極集中であることから、これは国を挙げて取り組むべきことであり、地方自治体だけで解決できる問題ではない」と指摘したうえで、①少子化対策の強化②これまでの地方創生政策などを検証したうえで現状を打破する新たな対策を講じることに国を挙げた取組をしていくべきだと訴えました。

 また、町村はこれからも人口減少、少子高齢化対策を着実に推し進めていくとともに、さまざまな行政課題に取り組んでいかなくてはならないとしたうえで、骨太の方針には「地方交付税等の一般財源総額を複数年にわたり継続的に確保すること」を位置付けるよう要請し、発言を締めくくりました。

 他の地方六団体代表からは、こども・子育て政策の取組を支える財源の安定確保、行政情報システムの標準化に向けたガバメントクラウド導入への財源支援確保、令和6年能登半島地震への支援、防災・減災対策の強化、国土強靱化中期計画のもと令和6年内の国土強靭化計画の早期策定-等を求める発言がありました。

 これらを受けて、各大臣からは以下の通り発言がありました。

 〇新藤新しい資本主義担当大臣兼内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

  • 人口減少が加速するのは2030年からであり、それまでの経済構造改革はラストチャンスと位置づけている。今後3年程度で制度改革を含めた集中的な取組を実施し、持続可能な経済社会に向けた流れを作っていきたいと考えている。
  • 半導体や製造業の国内立地が進んでおり、TSMCが進出した熊本県では直接雇用だけで1700名の予定である。投資拡大とともに良質な雇用拡大の好循環の兆しが見える地域が出現していることから、各地域に対して新しい資本主義の実行計画において、人材育成や投資拡大を支援してまいりたい。

 松本総務大臣

  • 子育て政策の強化は、国と地方が車の両輪となって取り組んでいくべきものであり、こども未来戦略の「加速化プラン」の地方負担に加えて、地方が独自に実施する事業の財源を地方財政計画において確保している。引き続き、関係省庁と連携し、しっかりと取り組んでまいる。
  • デジタル基盤の整備は、地域のニーズを踏まえ、光ファイバー、携帯基地局等の整備を推進してまいる。デジタル人材の育成確保は研修機能をさらに強化するとともに、来年度中に全都道府県で市町村と連携した推進体制を構築し、市町村が求めるデジタル人材の供給機能を確保できるように、デジタル庁とも連携し、充実、強化を図る。
  • 令和7年度以降の一般財源総額のあり方については、地方自治体が社会保障関係費や民間の賃上げ等に伴う人件費の増加などに対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、必要な一般財源総額を確保してまいる。
  • 地方創生の推進は、地域おこし協力隊の取組強化など、自治体による移住定住促進の取組を支援するとともに地域活性化企業人制度の拡充など、地域づくりの人材力の強化に取り組む。

 河野デジタル大臣兼デジタル行財政改革担当大臣兼デジタル田園都市国家構想担当大臣

  • ガバメントクラウド移行後の運用経費の削減について、大口割引や長期の割引の継続、クラウドの最適化などの支援、自治体とベンダーの間に入って、見積もりが高いか安いか検証するという支援を行っている。いくつかの団体から手を挙げていただいているので、遠慮なく言っていただきたい。
  • デジタル人材の育成確保について、現在、60名の自治体職員をデジタル庁に派遣していただいている。デジタル庁での業務を通じて、データの関連知識やノウハウを得て、自治体に戻った後、DX推進に貢献できるようになっていただきたいと思っているので、今後も、多くの自治体に手を挙げていただきたい。

 加藤内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)

  • こども・子育て政策の強化は、国と地方が車の両輪となって取り組むべきものである。こども家庭庁では、国と地方が情報共有、意見交換するさまざまな場を設け、これらを活用し、引き続き地域の実情を踏まえつつ、国と地方自治体の視点を共有しながらこども・子育て政策を推進してまいる。
  • こども・子育て支援金制度は、今般の加速化プランによる給付拡充を支える財源の1つとして、全世代全経済主体が子育て世帯を支える新たな全体の枠組みである。若い世代の結婚・子育てを応援するため、現在ご審議をいただいている法案の早期成立に全力を挙げてまいる。

 〇松村国土強靭化担当大臣兼内閣府特命担当大臣(防災)

  • 国民の生命財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすために国土強靱化5か年加速化対策を着実に推進してまいる。また、今般の地震の一連の災害対応を振り返り、災害対策の強化や災害対応上有効と認められる新技術の横展開に政府を挙げて取り組み、必要な事業を着実に進められるよう、さらに万全を期したい。

 〇自見内閣府特命担当大臣(地方創生)

  • 地方創生について、新しい発想を取り入れつつ、地方の取組を支援していくことが重要である。県や市町村を含め、地方の悩みや課題に寄り添いながら、女性や若者にとって魅力ある地域づくりに向けて、関係省庁やさまざまなステークホルダーと連携し、国民的な議論を展開したい。施策の検証や優良事例の横展開などを推進することで、それぞれの自治体が主体的に行う地方創生の取組を強力に後押ししてまいる。
  • デジタル田園都市国家構想交付金について、引き続き、安定的かつ継続的な支援を実施するため、必要な予算の確保に努める。

 その後の意見交換において吉田会長は、デジタル化の推進について、まず、標準準拠システムへの移行については、「国で示された補助金の上限額では足りないという声が多くの町村から上がっており、このままでは移行期限にも影響を与えかねない。国は、地方の声に耳を傾け、移行に必要な額を確保し、地方が着実に移行に取り組める環境を作っていただきたい」と述べました。続けて、ガバメントクラウド利用料等に関しては、「現行よりもコストが上昇する恐れがあるため、今後の町村財政に影響を及ぼさないよう、適切な措置を講じていただきたい」と要請しました。そして、デジタル共通基盤の基本方針に関して、柔軟で強靱な行政の姿を実現するには、国と地方が力を合わせることが非常に重要であるとしたうえで、「新たな業務の標準化、システムの共通化を検討する際には、今後より一層、現場の声を把握したうえで取り進めていただきたい」と述べ、発言を締め括りました。

 最後に、林官房長官が、「骨太方針の策定に関して、デジタル化、こども・子育て、持続可能な地域社会の実現、地方一般財源総額の確保、地方議員のなり手、農地の問題など、貴重なご意見をいただいたと思っている。ご意見を真摯に受けとめ、各課題に着実に取り組んでまいる。今後も地方に関わる重要政策課題について、皆さま方と連携して対応していきたい。引き続きよろしくお願い申し上げる」と述べ、協議を締めました。

【参考資料】

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