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吉田会長が「第33次地方制度調査会 第19回専門小委員会」ヒアリングに出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年10月4日

 吉田隆行会長(広島県坂町長)をはじめとする地方六団体代表は9月27日、第33次地方制度調査会(会長・市川晃住友林業株式会社代表取締役会長)の第19回専門小委員会(委員長・山本隆司東京大学教授)に出席しました。
 専門小委員会では現在、「デジタル・トランスフォーメーションの進展を踏まえた対応」、「地方公共団体相互間の連携・協力及び公共私の連携」及び「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応」の3つを柱とする「総括的な論点整理(案)」(以下「論点整理(案)」)について議論が行われています。今回の専門小委員会では、「論点整理(案)」のとりまとめに向け、地方六団体等からヒアリングが行われました。

全景

 

 吉田会長は、「論点整理(案)」に掲げられている3つの柱に沿って、町村の立場から意見陳述を行いました。

 1つ目の柱である「デジタル・トランスフォーメーションの進展を踏まえた対応」については、はじめに、自治体情報システムの標準準拠システムへの移行にあたり、システムを構築する事業者が見つからないなどの理由で円滑な移行に支障が生じている町村もあることや、移行経費について、現在の補助金では足りないといった懸念が示されていることを説明しました。「論点整理(案)」の中で、移行に係る環境整備や必要な財政支援をはじめとした、自治体に対する国の積極的な支援の必要性等に言及されていることに触れ、人的・財政的に厳しい状況にある町村の実情を考慮し、国において、現場の不安や懸念を解消するような取組を進めるよう求めました。

吉田会長
▲意見を述べる吉田会長

 併せて、デジタル化の前提となる光ファイバ等の情報通信基盤について、都市部と地方で格差が生じないよう、国が責任を持って整備を加速し、必要な財政支援を拡充・継続することや、「論点整理(案)」の中で示された、自治体に情報セキュリティ対策の方針策定とその方針に基づく措置の実施義務を課すことについて検討を進める際は、自治体の実態を把握するとともに、地方の意見を十分に聞くなど、丁寧に対応することを求めました。
 2つ目の柱である「地方公共団体相互間の連携・協力及び公共私の連携」については、人口減少が深刻化し、公共施設の老朽化や専門人材の確保が難しい状況にある町村において、行政サービスを安定的に提供していくために、「都道府県や近隣の自治体と連携し、広域での人材活用や施設の共同利用を推進することは重要」との認識は示しつつも、「こうした連携・協力関係の構築については、国からの押しつけではなく、各自治体の自主性・自立性が尊重される制度とすることを強く要望する」と述べました。
 また、国からの計画策定等を一律に義務付けることの弊害が指摘され、見直しが図られている中で、「地域の未来予測」の作成についても、それぞれの地域に強要しないよう求めました。
 3つ目の柱である「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応」では、「論点整理(案)」の中で、大規模災害や感染症のまん延等による非常事態が発生した場合、国民の生命や財産を保護するため、国が自治体に「必要な指示」を行うことができるようにすることが論点として示されました。これに対して吉田会長は、「非常事態への対応は、基本的には個別法またはその改正等を通じて行われるべきであり、地方自治法に個別法の想定外の事態に備えたルールを規定する際は、あくまで補充的なものとして行い、その範囲も限定するべきである」と述べました。また、「災害発生や感染症のまん延時には、都道府県と市町村間の迅速な情報共有と連携協力がとりわけ重要」とし、「現場の状況に即した対応ができるよう、国の関与・調整については、その前段階で都道府県と市町村が双方の意見を聞くなど、十分な調整を図ったうえで行うような仕組みづくり」を求めました。
 最後に、「今回検討されている内容には大きな制度改正を伴うものが含まれており、自治体への影響が大きいため、今後も地方の現場の意見等を十分聞いていただくようお願いする」と述べ、発言を締め括りました。

 その他地方六団体の代表からは、「令和7年度までとする標準準拠システムへの移行期間の柔軟な対応」、「地方におけるデジタル人材や土木技師等の確保の支援」、「『国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応』における大都市部と地方部で実情が異なることを踏まえた運用」等の意見が出されました。

 その後の意見交換において吉田会長は、委員からの質問に対し、「公共施設の共同利用については、近隣の自治体がお互いにできることを協力し合っていける仕組みが必要である」、「デジタル人材の確保・育成について、町村のような小規模な自治体では、デジタル人材採用のために募集をしても応募がないという状況がある。例えば、医師の確保のために設定される地域枠のような仕組みをデジタル人材でも導入し、財源補填も併せて実施していただく方法もあるのではないか」と発言しました。