荒木泰臣全国町村会長(熊本県嘉島町長)は、2月17日、小倉將信こども政策担当大臣とこども政策に関する意見交換(WEB会議)を行いました。
意見交換会において、荒木会長は、町村における子育て施策の取組状況や要望について意見を述べました。
▲オンライン会議で発言する荒木会長
はじめに小倉大臣が挨拶に立ち、「こども政策に関する国と地方の協議の場の準備会合(1月24日開催)」に続いての出席に謝辞を述べました。
続けて、今後のこども政策について、
「今年4月にこども家庭庁を発足し、今秋頃を目途に、その基本的な方針や重要事項を定める『こども大綱』を閣議決定する予定であるが、年頭の総理指示を受け、こども政策の強化について今年3月末を目処に具体的なたたき台のとりまとめ作業を行っている。学識経験者、子育て当事者、若者をはじめとする有識者、さらには日々これらの有識者とコミュニケーションを取っている地方自治体の皆さまと十分に意見交換をしたうえで検討を進めたい。また、こども家庭庁設置後には、地方三団体の皆さまとの議論の場を設け、車の両輪となってこども政策を全国各地に推進していくため、『こども政策に関する国と地方の協議の場』を継続的に開催したいと考えている。荒木会長のお力添えをお願いしたい」と述べました。
▲オンラインで会議に出席する小倉大臣
その後、荒木会長は「各町村では地域の実情や住民ニーズに応じて、少子化対策や子育て支援に取り組んできたが、施策を担う人材と財源の確保に日々苦慮している」と町村の現状について述べ、全国町村会がかねてより要望しているこのような地域の取組に対する財政措置の拡充等について改めて要請しました。
また、町村における少子化対策・子育て支援施策については、自治体の財政力の違い等によって、地域間格差が生じていることが大きな問題になっていることを指摘し、全国どこに住んでいても基本的なサービスが受けられるよう、必要な財政措置と人材確保に向けた支援を改めて要請しました。
コロナ禍で顕在化している児童虐待や貧困、ヤングケアラーなど、多様化・深刻化する社会問題への町村の対応については、「専門人材不足などさまざまな課題があり、特に小規模町村が単独で取り組むことは難しい」と述べ、今後はこども家庭庁が司令塔となって都道府県、市町村やNPOなど関係機関の連携を促すことも含め、町村現場への積極的な支援を求めました。
一方で、熊本県嘉島町も含めて全国には、若い世代の移住を促進する取組等によって出生数が増加した町村もあるとして、子育て世帯の転入により子どもの数が増えている事例の紹介を交えながら、
「子育て世代の多くが、安心して子育てができる生活環境とニーズに応じた支援を必要としている。この要請に応えるためにも、住民同士が支え合う暮らしや安全・安心な地域社会の実現が重要になってくる。
各自治体が、こうした環境づくりも含めて住民に寄り添った地域づくりを地道に進めていくことが、将来的に地域の、ひいては我が国の少子化対策に結びつくといった視点にもご留意いただき、引き続き、私たちの取組に対するご支援をお願いしたい」と意見を述べました。
さらに、「少子化対策は効果が現れるまでに息の長い取組が求められるため、長期にわたり政策が継続できるよう、裏打ちとなる安定財源の確保が不可欠」だとし、児童手当の拡充など今後国が実施する子育て支援施策に係る地方負担分についてしっかりとした財源措置の必要性を訴えました。
少子化の問題については、「国・地方ともに『待ったなし』で取り組むべきで、『できることは何でもやる』、『進めるべきことはスピード感を持って進める』ことが極めて重要」だとの認識を示し、「町村も国と心をひとつにして全力で取り組んでいく。今後、少子化対策のご議論を進める際には、今回申し上げた点にもご配慮いただくようお願いする」と述べました。
その後の意見交換において、小倉大臣は、
「地方創生と子育て支援は非常に好循環を生む取組だと思っており、町村部の皆さま方の取組に期待をしている。小規模な自治体に対するしっかりとした支援について、総務省と連携して検討したい。さまざまな子育て政策については、市町村間の連携、あるいは都道府県との連携も非常に重要である。どのような連携のあり方が地域の子どもたちにとって望ましいのかなどについても検討していきたい」と述べました。
荒木会長は小倉大臣の意見に対し、
「さまざまな子育て支援等を行う中で自治体間の競争があると小規模な自治体にはなかなか難しい問題があると考える。子育て支援は、競争ではなく足並みを揃えた方が財政負担の面においても良いのではないか」としたうえで、「我々町村においても国と足並みを揃えて取り組んでいこうという気持ちはしっかりと思っている。国にはさまざまな子育て支援について指導いただき、また財政面でも支援をいただくよう重ねてお願い申し上げる」と述べました。
最後に小倉大臣は、「国と地方でお互いに競い合うのではなく、補完し合いながらこども政策を充実させていくという姿勢を持ち、軌を一にしてやっていきたい」と述べ、意見交換会を締め括りました。