荒木泰臣全国町村会長(熊本県嘉島町長)は、4 月 6 日、松野博一ワクチン接種担当大臣と新型コロナワクチン接種に関する意見交換(WEB 会議)を行いました。
はじめに、松野大臣が挨拶に立ち、「新型コロナワクチンの 3 回目接種は発症予防・重症化予防の要であり最優先課題の一つである。65 歳未満の方への接種も本格化をする中、特に若年層がワクチン接種を受けやすい環境を整備していくことが今後重要だと考えており、3 回目接種の必要性や混合接種の有効性・安全性などについてわかりやすく情報発信をしていきたい。新年度を迎え進学や就職により県境を越えた人の動きも活発になっている時期であり、コロナ感染のリバウンドが懸念をされている。また、厚生労働省の専門家会議では 3 回目接種によりオミクロン株に対してもワクチンの有効性が回復すること、子供への感染予防に対して保護者や周囲の大人がワクチンを接種することも重要との指摘がある。各自治体でも特に若年層の方々が接種しやすいような環境の整備や情報提供にぜひご協力をいただきたい。本日は自治体で接種業務を進めるにあたってお気づきの点について忌憚のない意見交換をさせていただきたい」と述べました。
続いて荒木会長からは、「現在、新型コロナの新規感染者数は下げ止まりの傾向となっているが、一部地域ではリバウンドの兆候が見られるなど依然として予断を許さない状況が続いている。今後は感染拡大防止対策を徹底するとともに社会経済活動との両立を図っていかなければならず、ワクチンの 3 回目接種の促進についても急務となっている。私たち町村も心をひとつにして全力で取り組んでいるが、町村現場にはさまざまな課題等あるため、本日は要望等も含めて申し上げたい」と挨拶を述べました。
その後の意見交換の場で荒木会長は、3 回目ワクチン接種について、町村部でも都市部と同様に若者と高齢者では接種率に大きな差が生じているとし、「私の町(熊本県嘉島町)でも、全体の接種率は対象者(18 歳以上)の 70%を超えているが、65 歳以上の接種率が 92%なのに対し、20 代は 42%にとどまっている」と述べた上で、町村においても若年層も含め全ての世代に接種率向上に向けた機運醸成を図るべく丁寧な情報提供に努めており、国においても追加接種の有用性・安全性に関する情報が国民各層へ行きわたるよう、政府広報のさらなる強化を求めた。また、小児(5 歳から 11 歳)子どもへのワクチン接種についても、保護者は有効性よりも副反応や将来的な安全性を心配しており、接種が進まない状況が見られる中、「保護者や子どもが安心して接種を受けられるよう、国において接種の目的やワクチンの効果、副反応、接種を推奨する対象の子どもたち等について、専門的な見地からの情報提供をお願いしたい」と訴えました。
また、町村現場の状況について、「町村ではこれまでも少ない職員で数多くの業務をこなしており、ワクチン接種に関しても通常業務との両立で、特に保健師等に大きな負担感がある。現場からは、この先いつまでワクチン接種業務が続くのかといった不安の声が上がっており、可能な限り現場の負担感を減らせる形にしていくことが必要」と述べた上 で、大臣に対し「町村のおかれている状況を理解いただき、今後ワクチン接種を含め、現場での対応が必要になる新型コロナ対策の方針を国が打ち出す際は、現場が余裕を持って準備し、スケジュールを立てられるよう、その都度のワクチン供給の時期等も含め、早め早めの情報提供をお願いしたい」と要請しました。
最後に国産ワクチンについて、国内の製薬会社でも、副反応が少なく安全性の高い不活化ワクチンの承認と活用を目指し最終段階に入っており、このような国内企業への取組に対する重点的な支援を進めるよう要請、「町村では少ない職員で力を合わせ、ワクチン接種をはじめコロナ対策に真摯に取り組んでいくので引き続き力強い支援をお願いしたい」と訴え、意見陳述を締め括りました。
▲意見を述べる荒木会長
荒木会長の発言を受け、松野大臣は、3 回目ワクチン接種について、「今後 65 歳未満の接種が本格化する中で、できるだけ早期にできるだけ多くの方に接種いただけるよう、追加接種の必要性や混合接種の有効性・安全性について CM や SNS などの媒体も活用し、わかりやすく情報発信をしていきたい」と述べ、小児接種については、「政府ではこれまで小児接種に関するリーフレットや動画を作成しデータを示しつつ、ワクチンの有効性・安全性について発信をしてきたが、保護者の皆様、お子様のご不安に寄り添えるよう、引き続き国としても必要な情報をしっかりと発信していきたい。自治体に対してもそういった方々をサポートしていけるように私たちも早めに情報を発信していきたい」と発言しました。4 回目接種の準備事項等を自治体に示したことに関しては、「円滑なワクチン接種の実施に当たっては自治体の協力が重要であり、引き続き早め早めにしっかりと情報提供を行い、連携を密に取り組んでまいりたいと考えている」と述べました。そして新型コロナに対するワクチンを国内で開発生産できる体制の確立については、経済安全保障上も極めて重要だと考えているとした上で、「厚生労働省において新型コロナワクチンの開発生産に取り組んでいる国内企業に対し、生産体制の整備への補助や有効性を検証する臨床試験の実施・費用に対する補助などを取り込んでいるところであり、昨年 6 月には政府が一体となって必要な体制を構築し長期継続的に取り組む国家戦略としてワクチン開発生産体制強化戦略を閣議決定した。これを踏まえ、政府として引き続き国内での開発生産の基盤整備への投資を後押ししていく」と述べました。
さらに、松野大臣の発言を受け、荒木会長から、「このコロナの感染防止については、国と我々町村、心を一つにして一生懸命取り組み、早期収束を目指して頑張りたいと思っているので、変わらぬご支援をお願いしたい」と述べました。
最後に、松野大臣から、「これまで申し上げたことについては、荒木会長から全国の町村長にお伝えいただきたい」と述べ、会合を締め括りました。