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「国と地方の協議の場」に荒木全国町村会長が出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年11月15日

 「国と地方の協議の場」(令和3年度第2回)が、11月12日に開催され、本会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)はじめ、地方六団体代表が出席しました。政府側は、岸田内閣総理大臣、松野内閣官房長官、金子総務大臣、鈴木財務大臣、野田内閣府特命担当大臣(地方創生)、後藤厚生労働大臣、萩生田経済産業大臣、牧島デジタル大臣、山際新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣、堀内ワクチン接種推進担当大臣、若宮デジタル田園都市国家構想担当大臣が出席し、「地方創生及び地方分権改革の推進」、「新型コロナウイルス感染症対策」の2議題について協議しました。​

全景

 はじめに岸田内閣総理大臣が挨拶に立ち、「最優先の新型コロナ対応については、本日、全体像を決定した保険医療提供体制確保計画の策定などにあたって、ご尽力ご協力いただいたことに厚く御礼を申し上げる。今後は感染力が2倍になった場合にも対応できる医療体制をしっかりと確保するとともに、ワクチン検査、飲める治療薬の普及による予防発見から早期治療までの流れを、さらに強化していく。引き続き、病床の確保をはじめとする医療提供体制の運用、3回目のワクチン接種無料検査の拡大などにあたり、今後も地方の皆様と一体となって、連携しながらこの全体像に沿ってコロナ対策をしっかりと進めていきたい。11月19日には、数十兆円規模の経済対策をとりまとめ、年内、早期に補正予算を成立させ、地方の皆様にご協力いただきながら国民の皆さんに一刻も早くお届けしたいと考えている。そのうえで新しい資本主義の起動に向けた議論を進めていく。成長のための投資と改革を大胆に進め、まずは経済の成長を実現する。特に力を入れているのが『デジタル田園都市国家構想』、デジタルを活用した地域活性化への各種交付金の大規模な展開やデジタル・インフラへの投資のほか規制改革にも取り組み、地方から新しい時代の成長を目指す。看護・介護・保育・幼稚園などの現場で働いている方々の給与を増やすため、公的価格評価検討委員会において検討を進めるとともに、経済対策において必要な措置を行い、前倒しで引き上げを実現する。地方の皆様とともに、成長と分配を実現し、新しい経済社会を作り上げていきたいと考えている。本日は岸田内閣として最初の『国と地方の協議の場』であり、地方に関わる重要政策課題については国と地方が連携して取り組んでいくことが大切であるため、本日は忌憚のないご意見をお願いしたい」と述べました。

 協議において、平井全国知事会長(鳥取県知事)が地方六団体を代表して、「地方と国が一体となって、地域社会・国家をもう一度健康にし、経済社会を立て直していくという使命に立ち向かわなければならない」と述べるとともに、総理がとりまとめたコロナ対策の全体像である、35000床の病床確保や3回目のワクチン接種等について、国・地方が力を合わせ協働し、実現することに期待を寄せました。そして、①新薬の使用、経済社会を立て直していくための観光・事業者支援、②デジタル社会の推進による田園都市国家の実現、③脱炭素社会の推進、④地方創生臨時交付金を含む大規模な経済対策-を要請しました。最後に、「こうした意思疎通をする機会をこれからも作りながら、ともに共創のパートナーとして戦ってまいりたい」と述べました。

 荒木会長からは、①コロナ対策や安全・安心な地域づくりに全力で取り組むための地方交付税等一般財源総額の確保について、特に固定資産税は、町村にとって税収の半分を占める極めて貴重な基幹税であるため、本年度限りで行われた税額の据え置き措置については当初の方針通り、必ず元の制度に戻していただくこと、②新型コロナウイルス感染症対策については、ワクチン追加接種への対応、治療薬の開発・普及など、各般の対策をしていただきたい。また、深刻な状況が続く事業者への支援や、地域経済を回復・再生させるための追加対策を早急にとりまとめ、補正予算も含めて来年度にかけて切れ目なく対策をつなげることで、全国に希望が広がるようお願いするとともに、コロナの影響により改めて痛感させられた『安全・安心な地域社会の再構築』を実現するため、地域医療、保健福祉、国の出先機関も含め防災・減災対策・国土強靱化など各分野の政策の拡充・強化をすること、③小学校の教員定数確保については、いじめ・不登校等への対応はもとより、町村において質の高い教育や環境の改善に不可欠であるため、加配定数の確保・充実をすること-を要請しました。
 他の地方六団体代表からはこのほかワクチン混合接種の是非、ワクチン・検査パッケージを含めた接種証明の簡略化、賃金の引き上げについての意見等が述べられました。

意見を述べる荒木会長

▲意見を述べる荒木会長

これらを受けて、国側からは、各大臣より以下の発言がありました。

 

◯金子総務大臣

・一般財源の総額の確保については、それぞれの団体が新型コロナ感染への対応や行政サービスを安定的に提供できるようしっかりと確保する。
・固定資産税は市町村の行政サービスを行ううえで重要な基幹税であるので、安定的な確保に努めてまいりたい。
・防災・減災対策に必要な地方財源については、緊急防災・減災事業債を令和7年まで延長するとともに対象事業を拡充したところ。加えて緊急浚渫推進事業債ついても地方財政措置を大幅に拡充したところであり、引き続き所要財源を確保していく。

 

◯後藤厚生労働大臣

・ワクチン追加接種については、11月15日の審議会で対象者等に関する議論を行い、今年の12月から、追加接種対象者のうち希望する全ての方々が受けられるように、必要なワクチンや注射器を11月中旬に供給する予定であり、必要経費については国が全額負担する方向で予算措置を行う予定。また、混合接種についても認める方向で進めている。

 

◯堀内ワクチン接種推進担当大臣

・ワクチン接種については全人口の約3/4が2回接種を終え11月中に希望する方への接種は概ね完了する見込みとなっており、引き続き未接種者への広報・周知などご協力をお願いする。
・12月に追加接種を円滑に開始するためには接種体制確保に向け必要な情報をできるだけ速やかに発信することが重要と考えているため、10月15日にワクチンの配分、20日には接種券の印刷および発送等、そして29日には今後の見通しをお示しした。新型コロナ対策の全体像においても、職域接種の実施をはじめ追加接種の体制について具体的なスケジュールをお示ししたところ。

 

◯山際新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣

​・ワクチン検査パッケージについて、感染拡大を防止しながら日常生活や経済社会活動ができるよう、行動制限緩和の取組を進めていく。
・経済対策についても、先端技術イノベーション・地方のデジタル化、さらには人への投資などを盛り込んで成長力を強化できるような内容にしたい。

 

◯野田内閣府特命担当大臣(地方創生)

​・地方分権改革については、地方の自主性を高めるためにしっかり取り組んでいく。
・新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付については、各自治体の執行や財政状況に配慮しながら合計で約8.4兆円を措置した。今後の増額にあたっては地域の取組の状況や現場のご意見をよく聞いてしっかり検討していきたい。

 

◯若宮デジタル田園都市国家構想担当大臣

・『まち・ひと・しごと創生基本方針2021』で盛り込んだ対策の方向性にのっとり、地方への移住支援をしっかりしたい。
・地方からデジタルの実装を進め、地方との都市の差を縮めることで、世界と繋がるデジタル都市国家構想の実現の具体化に向けた検討を進める。

 

◯牧島デジタル大臣

・デジタル臨時行政調査会において、デジタル社会にふさわしい国や地方の制度のあり方や徹底すべきデジタル原則の策定などデジタル改革・規制改革・行政改革に係る横断的課題の一体的な検討・実行を進めてまいる。

 

◯萩生田経済産業大臣

・民間部門による分配の強化に向けて給与を引き上げた企業を支援する賃上げ税制について、一人一人の平均給与の引き上げを強化するとともに補助率も大胆な引き上げを行うなど制度の抜本的な強化を検討していきたい。

 

 その後の意見交換において、荒木会長は岸田内閣が掲げる『デジタル田園都市国家構想』に対し期待を寄せ、「本会においても町村のデジタル人材育成の必要性を強く認識し、その支援策を検討している」と述べるとともに、ハード・ソフトのデジタル基盤整備について、国の取組・地方へのさらなる積極的な支援を求めました。また、かねてより本会が主張する『東京一極集中の是正と地方分散型の国づくり』や『都市・農山漁村の共生社会』の実現に向けて、「新たな交付金による地方創生施策の充実強化をはじめ、各府省のあらゆる政策を総動員し、強力に推進していただくようお願いする」と述べました。

 最後に、松野官房長官が「本日いただいたご意見を真摯に受け止め、地方にかかわる重要政策課題について、皆様としっかりと連携をしてまいりたい」と述べ、協議を締め括りました。

【参考資料】

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