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自民党 鳥獣被害対策特別委員会 鳥獣被害防止特措法の改正ワーキングチームに佐野会長が出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年12月15日

12月10日、自由民主党の鳥獣被害対策特別委員会(宮腰光寛委員長)は、鳥獣被害防止特措法の改正のワーキングチームを開き、関係団体からのヒアリングを行いました。本会からは佐野山梨県町村会長(経済農林委員会委員・山梨県南部町長)が出席しました。

全景

はじめに、宮腰委員長が挨拶に立ち、「本ワーキングチームにおいては、鳥獣被害防止特措法について、銃刀法上の技能講習免除措置の期限延長に係る検討のほか、シカやイノシシの捕獲及び利活用を一層推進する観点からどのような見直しが必要か検討を行っている。この改正法案については、次期通常国会で成立を目指して承認いただくことを考えている。本日は鳥獣被害防止対策に関連する団体の皆様にご出席いただいている。鳥獣による被害額はピーク時の約220億円から158億円まで下がっているが、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしているため、今般の鳥獣被害防止特措法の改正の機会を好機ととらえ、新たに盛り込むべき施策等があれば、積極的に検討していきたい」と述べました。

 

佐野会長からは、はじめに野生鳥獣による農作物への被害に対し、「個人や集落、地域、自治体の取組の枠を超え、農村社会を脅かす深刻かつ恒常的な『災害』といえるものに拡大している」との認識を示し、鳥獣被害特措法について、制定以来、被害防止実計画を定めた市町村及び計画に基づき鳥獣被害対策実施隊を設置した市町村に対し、特別交付税率のかさ上げ等の財政支援や権限移譲、人材確保等の措置を講じていただいたことに感謝を述べました。そのうえで、南部町では鳥獣被害防止特措法が制定された翌年の平成20年度に『鳥獣被害防止計画』を策定し、これまで3回改定していることを挙げ、町の状況について、「山間地が多くを占めるため早くから鳥獣による被害が確認され、本特措法による支援措置の効果もあり、その被害量・金額はピークを過ぎ、減少傾向にあるが、被害は年間を通じて町全体で発生しており、イノシシ・サル・シカ等の野生鳥獣による水稲・野菜に対する被害が多数を占めている。さらに最近は、ハクビシンやアライグマなどの外来種による被害も報告されている。対策としては、檻による捕獲、猟友会の有害捕獲員による捕獲、防護柵の設置等を行っているほか、花火等による追い払い、銃による威嚇・追い払い、鳥獣の森整備を行っているところである。なお、鳥獣被害対策実施隊については、平成29年度から設置し、65名が隊員として活動している」と現状を述べ、令和3年12月3日で期限切れを迎える銃刀法に基づく技能講習の免除措置に関しては、「捕獲従事者の確保と負担軽減の観点から必要であるため、更なる延長をお願いする。また、狩猟期間が始まる前に延長していただければ、より大きな効果が得られるので、是非とも前倒しの改正をお願いする」と要請しました。

 

佐野会長

▲意見を述べる佐野会長

 

また、関連して、町村によっては、鳥獣捕獲者の銃器の購入に多額の費用がかかるため、一部助成を行っており、『国等に補助制度の検討していただければ』といった意見や、『狩猟免許の更新にコストや時間がかかり、免許保持者にとって負担が大きいので、免許の有効期限(現状3年)の延長等を検討できないか』との意見を紹介しました。

 

次に、鳥獣被害対策実施隊について、計画策定市町村の8割強で組織されており、隊員が市町村職員や猟友会員のみで、担い手となる民間隊員の数が少なく、捕獲有資格や高度な知識を有する隊員も少なくなっている状況に懸念を示し、JA等の関係団体と連携し、担い手の確保に努めていく必要性を訴えました。加えて、鳥獣は、市町村域や県域を越えて移動するため、被害対策を各市町村単独で取り組むには限界があり、国や都道府県が関与し、広域的な対策を推進する必要性を強調しました。

 

最後に、情報通信技術(ICT)を活用した被害防止対策の普及を求めたうえで、『野生鳥獣の生態や生息数を踏まえ、ICT機器、センサー機器の活用やそのほかの獣医学や科学技術・データ分析等も活用し、広域的な協力体制のもと、抜本的に対策を強化すべきである。』と昨年の本会の提言を示し、捕獲鳥獣の食肉利用・『ジビエ』について、「昨年発生した豚熱や現在のコロナ禍の影響で利用が低迷しているが、農山村の所得を生み出す地域資源とするため、食肉処理・加工施設等に対する支援措置を拡充するとともに、ジビエ料理の普及等、消費拡大を促進していただきたい」と述べ、意見陳述を締め括りました。

 

その後の意見交換の場において、佐野会長は、「本町では、県が半分、町が半分負担し、イノシシ・シカを1頭捕獲につき1万5千円、サルは2万5千円支給している。令和元年度の支給額は1千万円を超えた」と実情を述べました。また、「消防団員に実施隊になっていただきたいというお話は、冬場は火事が多く、現実的には難しい」とし、捕獲の担い手に高齢者が多い問題や、単独活動を行う狩猟者を団体としてまとめる難しさについて、「本来であれば市町村がイニシアティブをとればいいのだろうが、鳥獣の捕獲活動にはさまざまな弊害もあることから足を踏み込めないところが現状である」と述べました。

 

このほか、大日本猟友会は、都道府県の役割の強化とシカ・イノシシの集中捕獲等について、全国農業協同組合中央会は、市や県を超えた広域化の取組やJA等の参加・関与に向けた環境整備等について、全国森林組合連合会は、都道府県が主体となった広域的な取組強化等について、日本ジビエ振興協会は、国産ジビエ認証制度の普及等について、それぞれ要請しました。

 

意見交換の後、挨拶に立った宮腰委員長は、「本日はご出席の皆様方から活発なご意見をいただいた。今後のスケジュールについては、来年1月に第3回のワーキングチームを開催し、改正の論点をとりまとめる」と述べ、引き続き支援と協力を求めました。

【参考資料】

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