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「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」における関係団体ヒアリングに坂口行政委員長が出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年11月6日

10月29日、中央教育審議会初等中等教育分科会の新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会は、先般とりまとめた「中間まとめ」について関係団体からのヒアリングを行いました。

このヒアリングは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、web会議により開催され、本会の坂口行政委員長(徳島県那賀町長)並びに各関係団体の代表が意見陳述を行いました。​

 

坂口行政委員長からは、はじめに幼児教育の質の向上について、「幼児教育は、将来の人格形成に重要な役割を持っており、これを担う優れた人材の確保や資質の向上を図っていくことについては、『中間まとめ』(25頁)(別紙参照)に示された方向で進めていただきたい」と述べた一方で、町村部における人材確保は大変厳しい状況にあるとし、「幼稚園がなく保育所や児童館で幼児教育を実施している小規模町村もある。このようなところでは、教育の質の確保を図るため、関係機関相互が連携し、共通の認識で幼児教育に取り組めるような支援体制が必要になる。そのため、体制整備等の際の『要(かなめ)』となる幼児教育アドバイザー等の専門人材については、国の責任で各自治体に配置していただくようお願いする」と求めました。また、多くの自治体で『こども園』として幼保一体化し運営している中で、文科省と厚労省の連携が取れていないのではと危惧している現状を示したうえで、国においても十分に連携の取れた指導体制の構築を要請しました。

 

坂口委員長

▲​意見を述べる坂口行政委員長

 

次に、義務教育9年間を見通した教科担任制について、「中間まとめ」(35)では、「小学校高学年からの教科担任制を令和4年度を目途に本格導入する必要がある」とされていることから、「専門性を持った教師の指導による授業の質の向上や持ちコマ数の減少による教師の負担軽減、中学校の授業への円滑な接続など、一定の効果が期待されるところだが、まずはその前提となる教科担任ができる教員の加配及び配置基準の緩和が図られなければならない。各小学校にそのような教員が加配等されることが望ましいことは言うまでもないが、それが難しければ、(1)小規模校のグループをつくり、複数校を担当する教員を加配する方法、(2)中学校に加配された教員が、その校区の小学校において教科担当する方法-などが考えられる。後者の場合、小学校教諭の免許状が必要になるため、学生が小学校・中学校両方の免許状を取得しやすい環境整備や要件の緩和等、弾力的な運用を求める。教科担任制は、将来的には必要な制度であると思うが、中山間地等の小規模学校では、課題も多いため、導入にあたっては拙速に進めることなく、地域の実情を十分ご理解いただいたうえで、慎重に段階的に行っていただくようお願いする」と述べました。

 

​また、新時代に対応した高等学校教育の在り方について、高等学校教育で普通科の授業に加え、弾力的に地域社会の課題解決のための学科等を設置することは、高校生が郷土への愛着を深め、生まれ育ったまちに働きの場を求める等、若者の定住や地域の活性化に結び付く可能性があるため、「中間まとめ」(43)で提言されているように、高校と地域社会や地元企業、大学等が連携した教育活動の展開の推進を求めました。そのほか、関係機関等との連携にあたっては、これまでの教職員数では無理があるため、担うことができる教職員の加配や地域と学校をつなぐ専従のコーディネーターの配置等の体制整備の重要性を訴えました。

 

さらに、特別支援教育の在り方について「昨今、特別な支援を必要とする児童生徒は増加傾向にあり、特別支援学校の不足が課題となっている。そのような中、町村の一部においては、支援を必要とする児童生徒がいるにもかかわらず、指導できる人材の不足等から、十分な支援が行われていないという実態もある」としたうえで、「このような実態に鑑み、教師への研修の実施や職員の処遇改善を図る等の人的体制整備を進めていく必要がある。『中間まとめ』(47頁)にある特別支援教育コーディネーターの派遣は、離島や中山間地の小規模校にこそ必要であり、コーディネーターのアドバイス等によって、教師の資質向上が図られていくものと思われる」と述べました。​

 

そのほか、ICTを活用したオンライン教育について、「新型コロナウイルスの影響でオンライン教育の必要性が高まったため、GIGAスクール構想実現に向けた機器等の基盤整備については、前倒しで進めていただいたところである」とし、「今後は、ICT教育を効果的に実施するための人材の確保が重要な課題となってくる。町村では、ICT支援員の数はいまだに不足している状況であるので、都市部との教育格差が生じないためにも、支援員の確実な配置」を求めるとともに、現在、政府が最重要課題として進めているデジタル化施策やGIGAスクール構想の推進に鑑みてもデジタル教科書の普及は必須であることから、この流れを止めないためにも、紙の教科書と同様に費用負担の無償化を検討することを要請しました。さらに、「オンライン教育は今後ますます浸透していくと思うが、萩生田大臣が会見(102日)でおっしゃっているように、コミュニケーション能力や協調性など、豊かな人間性を育む観点からも対面教育の大切さを忘れてはならない。社会生活にとって必要となる基本的な事柄も数多くあるが、集団生活の中でしか身につかないものがある。義務教育の基本は、あくまで対面教育であり、オンライン教育はそれを補完するものとして位置付け、児童生徒の健全育成に留意する必要がある」との考えを示し、『新時代の学びの在り方』として、『少人数編成を可能とする教師の確保や施設整備を計画的に進めていくべきである』との提言に対し、「少人数学級の導入は、本会のかねてからの要望事項でもあるので、是非施設整備の支援を含めて進めていただきたい」と求めました。

 

​また、人口動態等を踏まえた学校運営等について、地方では児童生徒の減少による学校の小規模化が急速に進んでいる中で、小中学校を統合し、小中一貫教育を導入したり、空き教室を地域住民との交流の場として活用するなど、地域の実情に応じた取組を進めている町村もあるとしたうえで、「特に小規模町村では、学校が地域の『核』として、守るべき大切な存在となっており、統廃合が地域全体に大きな影響を及ぼすことになる。このような小規模校には、きめ細かな指導が可能になるといったメリットや地域ぐるみで子供を育てるという温かみもある。『中間まとめ』(65頁)では、「学校の統合や存続については、それぞれの学校設置者の主体的判断による」とされているが、存続を希望しているにもかかわらず、存続を断念し、統廃合に追い込まれることのないようお願いする」と述べました。

 

最後に、「子供たちは『国の宝』であり、子供たちを健やかに育むことが、我が国が将来にわたり発展していくための鍵となる。以上申し上げたことは、日々住民に接している私たち町村長が実感していることである。委員の先生方には、これら現場の声をしっかりと受け止めていただき、次代を担う子どもたちに寄り添った教育施策を進められる『よりどころ』となるような、最終答申をとりまとめていただきたい」と述べ、意見陳述を締め括りました。

【参考資料】

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