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「国と地方の協議の場」に 荒木全国町村会長が出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年3月19日

 「国と地方の協議の場」(令和元年度臨時会合)が、3月10 日、首相官邸で開かれ、本会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)はじめ、地方六団体代表が出席した。政府側は、安倍内閣総理大臣、麻生副総理・財務大臣、菅内閣官房長官、高市総務大臣、北村内閣府特命担当大臣(地方創生)、萩生田文部科学大臣、加藤厚生労働大臣、江藤農林水産大臣、梶山経済産業大臣、赤羽国土交通大臣、西村経済再生担当大臣などが出席し、新型コロナウイルス感染症対策について協議しました。​

会議の様子

 はじめに安倍内閣総理大臣が挨拶に立ち、「先般、全国すべての小学校、中学校、高等学校等について臨時休業を行うよう要請を行ったところである。このたびの要請については、ここ 1~ 2週間が瀬戸際という切迫した状況の中で、子どもたちの安全と健康を守るために、時間をかける暇がない中での判断であったため、学校生活を送っていた子どもたちや、また地方の皆様に、十分に事前に説明する時間がなく、大変申し訳なく思っている。こうした中で、今回の急な対応に、地方の皆様に大変なご尽力をいただいていること、心から感謝申し上げたい。本日、政府として感染防止に万全の対応を行うため、感染拡大防止策と医療提供体制の整備、小学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応、事業活動の縮小や雇用への対応、事態の変化に即応した緊急措置を柱とした、第2弾となる緊急対応策をとりまとめた。また、緊急事態宣言など、もう一段、法的枠組みの整備が必要と判断し、現行の新型インフルエンザ対策特別措置法に、新型コロナウイルス感染症を追加する法律改正案を、本日国会に提出したところである。今後とも必要な対策は躊躇なく実行してまいる。今回のウイルスについてはいまだ未知の部分が多く、最終的な終息に向けては、政府だけでなく地方自治体や医療関係者、事業者、国民が一丸となって対策をさらに進めていく必要がある。国と地方が心を一つにして、しっかりと対応していくことが大切となるため、本日皆様からいただいた意見を施策に反映させていきたい」と述べました。

  協議において、飯泉全国知事会長(徳島県知事)が代表して挨拶するとともに、「緊急対応策第2弾では、医療提供体制の整備、学校の臨時休業に伴う影響への積極的な対応などを盛り込んでいただき感謝申し上げる。今後の対応に向けて、医療検査体制の強化として、簡易検査キット、特効薬、ワクチンなどの早期開発をお願いしたい。地域経済対策については、イベントの中止・延期等により、大幅な減収を強いられている業種に対しては、一時支給金の創設など、一歩踏み込んだ対応をお願いしたい。地方としても、国と一致結束して、この国難を乗り越えるべく、しっかりと対応してまいりたいと考えているので、我々地方をぜひ信頼いただいて、前広にご協議いただくようお願いする」と述べました。

 荒木会長は、はじめに、「国と地方が心をひとつにして、この難局を乗り越えていかなければいけないものと覚悟している。日を追うごとに感染が拡大しているが、まずは早急に、安心の砦になる検査体制の強化や治療・相談体制の充実に、国の総力をあげて取り組んでいただくようお願いする」と求め、医療機関や保健所の検査体制、治療・相談体制について、「中山間地域や離島等の条件不利地域の町村では、今後、感染者の増加や特に院内感染の発生により、貴重な病院機能が損なわれるなど、深刻な課題を抱えることになるので、国、都道府県が連携協力して、広域的な支援体制をつくっていただきたい」と述べました。

協議の場に出席した荒木会長

▲協議の場に出席した荒木会長

 また、学校の一斉休業に関して、学童保育では時間延長により追加費用の発生や支援員の確保の問題が生じていること、学校給食がなくなったことにより様々な追加負担が発生していること等の課題を挙げ、国の方針で発生する新たな負担については、国による責任ある確実な対応を強く要請しました。
 最後に、「小規模な企業や個人事業者が多い町村部では、生活と地域経済が極めて密接であり、いつ収束するか見通せない中で、ますます深刻な経営環境になってくることから、国によるしっかりとした支援をお願いする」と述べました。

 高市総務大臣は、はじめに、総務省では新型コロナウイルス感染症対策のため都道府県と総務省との間に一対一の連絡体制を設けたとしたうえで、「5日の政府と地方六団体との意見交換等を通じて、政府の具体的な施策展開について地方公共団体の皆様に情報を提供させていただくとともに、皆様方の要望を関係省庁にフィードバックした。本日決定した緊急対応策では、これらの要望も十分に反映されていると存じるが、地方負担については手厚い地方財政措置を行うこととする」と発言しました。

 また、公立病院について、「2月13日決定の緊急対応策において重症患者が入院できる病床整備にかかる備品購入について特別交付税措置率8割という対応をしたが、本日決定の緊急対応策では備品購入にかかるメニューを拡大して同様の措置を行う。人工呼吸器、人工肺、個人防護服などを追加させていただく。皆様方におかれては、今後の患者数の増加に備えて地域の実情に応じて、地域の医療機関の役割分担を行いながら適切な入院医療提供体制を整備していただきたい」と求め、「総務省においても関連する地方負担については、財政運営に支障が生じることのないように引き続き厚労省等の関係省庁と連携しながら取り組んでいく」と応えました。

 さらに、今回のマスク不足について、全国町村会および全国市長会に対し、「各市町村におかれては災害対応のためのマスクの備蓄を適切に行っていただいている。現在、特に医療機関や介護施設でマスク不足への対処が喫緊の課題となっている。すでに災害対応分の備蓄も含めて厳しい状況にある市町村があるということも十分に認識をしているが、地域の実情も踏まえて、できる限り医療機関や介護施設へのご協力をお願いしたい。また、仮に各市町村で緊急対応を要しないという場合には、当該市町村が存在する都道府県内の医療機関、介護施設への対応といった形で、いわゆる広域的な対応をお願いできたらありがたい」と述べました。

 加藤厚生労働大臣は、マスクの供給について、「備蓄等が不足する県や医療機関に対して、メーカー、卸が協力して優先的に供給する民間レベルの仕組みを作るとともに、医療機関向けのマスク1,500万枚は国が確保して自治体にお渡しするので、それぞれの医療機関の備蓄を見ながら配布をしていただきたい。また、北海道では一定の地域に、各家庭にマスクを配布させていただいた。布製マスク2,000万枚については、国が一括購入して介護施設、障害者施設、保育所、放課後児童クラブ等の現場にしっかり配布をしていきたい」とし、症状がある方への対応について、「任意となっている国民健康保険の傷病手当に関してもそれぞれの市町村等のご協力をいただきながらしっかり財政支援をしていきたい」と述べました。

 そのほか、学校の臨時休業に伴う対応について、「放課後児童クラブについては午前中の開所から追加的に発生する経費に関して、当初よりもさらに上乗せをして国費による支援をするとともに、アルコール消毒液等の様々な備品の調達も必要であるのでそういった対応も考えていく。また、小学校等の休校に伴って職場を休まざるを得なくなった方々に対しては、正規・非正規を問わず休暇中に支払った賃金相当額の全額を支給する新たな助成金を創設したが、加えて業務委託契約等に基づき個人で就業する予定だったなど、一定の要件を満たす方にも支援の実施をしていく。生活福祉資金貸付についても特例を作って充実を図っていきたい」と支援策を示しました。

 萩生田文部科学大臣は、学校給食の食材について、「納入する予定であった事業者の方々に対して少なくない影響が生じていると承知している。今回の長期にわたる臨時休業により、学校給食が実施されないことによって保護者、学校設置者、事業者等に生じる負担については、本日決定された新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策第2弾により対応する」としたうえで、地方公共団体の負担については、「全国町村会および全国市長会からの要請に基づいて、補助金を新設し、地方負担分について地方財政措置を講じることとする。また、補助金の執行にあたっては、地方公共団体の意向を踏まえ、弾力的な対応をしたい」と発言しました。

 梶山経済産業大臣からは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響について、「各地域や各業種の企業や業界団体に随時ヒアリングを行うとともに、特に中小企業については全国の商工会・商工会議所など1,050か所に設置した経営相談窓口において情報収集を現在行っているところである。これまで幅広い事業者から資金繰りに関する相談が数多く寄せられており、こうした状況を踏まえて2月13日にとりまとめた第1弾の緊急対応策において5,000億円規模の融資保証額を確保したところだが、本日決定した第2弾の緊急対策において1.1兆円更に確保した。合計1.6兆円の金融措置により事業者の資金繰りを徹底的に支援していく」との発言がありました。

 西村経済再生担当大臣は、新型インフルエンザ対策特別措置法の改正法案が施行されて、事態が変化した場合について、「緊急事態宣言が出された場合には、特に都道府県、市町村の皆様には様々なお願いをすることとなり、強い権限が与えられることになるので、よろしくお願いしたい」とし、要件に該当するかの判断に際しては、「専門家の意見をしっかり聞くことになっているため、私権の制限との関係も十分に配慮・考慮して適切に判断が行われるようにしていきたい」と述べました。

 これらの意見を受け、最後に安倍内閣総理大臣が、「本日は大変お忙しい中、地方六団体の皆様にご指摘をいただいたこと、御礼申し上げる。国側としての情報発信は極めて重要であるので、これからも強めていきたいと思う。また、地域や日本全体においても、経済における政治の最大の使命は雇用を守るということである。雇用自体が大変危ぶまれる時期であり、我々は何としても雇用は守り抜くということについてあらゆる施策を総動員していきたい。インバウンドが地方の経済に大変大きな良い影響を与えていただけに、これが止まることは大変な影響を及ぼすわけであるので、しっかりと支えていきたい。今後も地方の皆樣の声によく耳を傾けながら、色々な政策メニューについても分かりやすい発信をしていきたい。大変皆様方に大きな負担をかけている中で対応していただいていることに感謝申し上げ、よろしくお願いしたい」と述べ、協議の場を締め括りました。