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「国と地方の協議の場」に荒木全国町村会長が出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年10月15日

 「国と地方の協議の場」(平成 30 年度第 2 回)が、10月 15 日、首相官邸で開かれ、本会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)はじめ、地方六団体代表が出席しました。政府側は、安倍内閣総理大臣、麻生副総理・財務大臣、菅内閣官房長官、石田総務大臣、片山内閣府特命担当大臣(地方創生)、根本厚生労働大臣、石井国土交通大臣などが出席し、持続可能な社会保障及びまちづくりを中心とした地方創生及び地方分権改革の推進等について協議しました。

「国と地方の協議の場」に荒木全国町村会長が出席

 はじめに安倍内閣総理大臣が挨拶に立ち、「地方創生、地方分権改革の推進は政権発足時からの最重要課題であり、地方こそがこれからの成長の主役である。自らの発想による地方創生に向けた挑戦、工夫を凝らした地域づくりを、国としても、情報面、人材面、そして財政面から積極的に後押ししていく。少子高齢化が急速に進む中、全ての世代が安心する社会保障制度の改革を3年かけて実行していく。また、全国で自然災害が相次ぐ中、安心して暮らせるまちづくりに取り組むため、急激な気象変化に対応したインフラ整備、防災・減災、国土強靭化のための緊急対策を3年で集中的に実施していく。政府として地方の声に徹底して耳を傾け、活力ある地方の創生に力強く政策を推進していきたい」と述べました。

挨拶を述べる安倍内閣総理大臣

▲挨拶を述べる安倍内閣総理大臣

 協議において、地方六団体から「地方創生及び地方分権改革の推進等について」(別添資料参照)を要望し、上田全国知事会長(埼玉県知事)が代表して挨拶するとともに、各団体代表からも、幼児教育・保育の無償化について、国の責任において必要な財源を確保することや、河川、道路の整備等の国土強靭化の取組の推進、地方創生の実現に必要な地方の安定的財源の確保やゴルフ場利用税、車体課税など地方税財源の確保に関する発言が行われました。

 荒木会長からは、全国的な防災・減災対策について、「被災地を越えた広範な産業経済への影響が『想定外』とならないよう、国のリードで官民の対策を推進していただくようお願いする」と述べ、続いて各団体から懸念が示された車体課税の見直しについては、地方財源に影響を及ぼすことのないよう十分な配慮を求めました。

 また、地方創生については、新内閣においても大いに期待しているとしたうえで、地方の多様な起業・就業を推進する政策パッケージについて、使い勝手の良い仕組みや地方負担への配慮を求めました。

 さらに、都会の子供たちの農山漁村体験交流について、「未来への投資であり、都市と農山漁村が共生する社会づくりの実現にもつながるので、各省庁連携で一層の推進を期待する」と述べたほか、近年増加しているインバウンドに関連して、「地方の農山漁村を訪ね、田舎の暮らしや自然、伝統文化に触れる外国人のニーズが急速に高まっている。これは、ふるさとの良さを見つめ直し、頑張っていこうという励みにもなっている。この分野における担い手人材・サポート人材の育成支援、道の駅等でも使えるスマホ等によるキャッシュレス決済の普及、交通不便な地域の柔軟な移動手段の利活用等について、更なる促進をお願いする」と訴えました。

協議の場に出席した荒木会長

▲協議の場に出席した荒木会長

 地方六団体の発言に対し、石田総務大臣は、防災について、「総務省として取り組むべき対策とその推進策について、しっかりと検討していきたい」とし、幼児教育の無償化については、「無償化の財源に係る負担のあり方については、制度設計の基本に係る重要なことであり、早急に国と地方が協議できるように取り組んでいきたい。総務省としては、地方側の意見も踏まえながら、実務を担う地方が安定的な財政運営を行えるように、必要な財源の確保に努めていく」と強調しました。

 また、車体課税の見直しについて、「貴重な社会インフラ財源であり、地方財政に影響を与える見直しはあってはならない。ご意見をしっかり受けとめて、今後の税制改正において対応していく」とし、ゴルフ場利用税についても、「今後もぜひ堅持すべきものと考えている。今年末の税制改正においても、地方公共団体の声を踏まえて取り組んでいく」と述べました。

 さらに、地方財源の確保についても、「まち・ひと・しごと創生事業費を含めて一般財源総額をしっかり確保することに努めていく。できる限り地方交付税を確保して臨時財政対策債を抑制できるよう、努力をしていく」と述べました。

 片山内閣府特命担当大臣からは、「地方創生推進のための予算や財源の地方創生推進交付金は、平成31年度の概算要求において前年を上回る1,150億円としており、さらに制度運用の改善も、皆様からのご要望を踏まえてやっていきたい。移住経費の支援についても、地方創生推進交付金を活用して実施すべく要求も行っており、具体的な制度設計についても検討しているところである」との発言があったほか、都会の子供たちの農山漁村の体験交流について、「省庁別の縦割りをしっかり改善して、子供たちが夢を膨らませられるような、子供の農山漁村体験を充実させていく方向で調整している」と言及がありました。

 石井国土交通大臣からは、「様々な災害に備える防災意識社会への転換に向け、災害時の重要インフラの機能確保について緊急点検を行い、今後3年間で集中的に防災・減災対策に取り組んでまいる」とし、インフラ長寿命化や復興交付金、技術系職員の研修支援等の発言があった。また、観光については、「農村を含む多様な地域への誘客は重要な課題である。関係省庁と連携しながら、地域の観光産業の担い手育成や外国人旅行者の受け入れ環境の整備などの取り組んでまいりたい」と述べました。

 この後の意見交換において、荒木会長は、社会保障制度に関連した高齢化と少子化について、「人口の少ない町や村の高齢化率と出生率を見てみると、高齢化率は大半が全国平均を上回り、その中には高齢化率4割、5割と高いが、それにもかかわらず出生率が全国平均をはるかに上回り、頑張っている町村がいくつもある。これら現場の声を聞くと、やはり働く場が重要との声が圧倒的に強い。企業誘致は難しくても、地道に事業の後継者を育てたり、外から人材を誘致し、農業、林業、地場産業、観光等や住民サービスなどで、小さくても『仕事を作り出す』ことが重要である」と強調し、続けて、「女性の働く場がもっと広がれば、さらに出生率が向上し、何倍もの効果が生まれる。農山漁村には、地域ぐるみで子供を見守り、子育てしやすい環境がある。保育士や介護や福祉分野だけでなく、最近は、農業女子、林業女子なども注目される」と述べたうえで、「農山漁村等の地方で、多様な仕事を足し算・掛け算でつないで、地域にあったやり方でつくり、これに安定的に携われる若者や女性が着実に増えていくよう、積極的な対応をお願いしたい」と要請しました。

 最後に議長である菅内閣官房長官が、「内閣改造間もない中で、このような国・地方の協議を開催した。大変闊達な意見交換になったように思う。私どもも地方の皆さんの話を真摯に受けとめながら、しっかり国の施策に反映させていきたい」と述べ、協議の場を締め括りました。

 

【参考資料】

資料1 地方創生及び地方分権改革の推進等について=地方六団体 [PDFファイル/273KB]

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