自由民主党は8月28日、党本部で総務部会関係合同会議を開催し、平成31年度予算概算要求及び税制改正をとりまとめるにあたり、地方六団体等からヒアリングを行いました。本会からは荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)が出席しました。
はじめに挨拶に立った野田総務大臣は、我が国の最大の危機である人口減少に立ち向かうため、2040年頃の姿から逆算する形で課題を整理し、地方公共団体と各府省の施策がうまく機能するよう、自治体行政の改革を進めるとともに、この危機をチャンスと捉え、ICTの積極的な導入などにより、「実現したい未来の姿」への変革を促進することで、全ての人にとって、落ち着いて、やさしく、持続可能な社会を実現することを目標とし、総務省が来年度に向けて積極的に取り組む重点施策を取りまとめたことを紹介。地方財政については、地方公共団体が地方創生などの重要課題に取り組みつつ、安定的に財政運営を行うことができるよう、一般財源総額を確保していくこと、地方税制については、地方税を充実確保しつつ、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築する観点から、平成31年度税制改正において、地方法人課税の偏在是正に係る新たな措置を検討し、結論を得ることとすると述べ、総務省関係予算全般にわたる支援と協力を求めました。
これを受け、地方六団体を代表して上田清司全国知事会長(埼玉県知事)は、地方が責任を持って地方創生、人口減少対策をはじめ、国土強靱化のための防災・減災事業など、地域の実情に沿ったきめ細かな行政サービスを十分に担うためには、一般財源総額確保・充実が不可欠であると強調。本年6月に公表された骨太方針において、一般財源総額については、2018年の地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保すると明記されていることにも触れ、平成31年度以降の地方財政計画の策定にあたっても一般財源総額の確保・充実を求めたほか、地方交付税の財源保障機能と財源調整機能の維持・充実や法定率の引き上げ等抜本的な見直しについても要請しました。
地方創生に関しては、地方も全力を挙げて取り組み、地方創生を日本創生に繋げていくという強い決意と覚悟をもって臨んでいるとし、地方がその実情に応じた息の長い取り組みを継続的に続けていくために、平成30年度地方財政計画に計上されているまち・ひと・しごと創生事業費1兆円を拡充・継続するよう訴えました。
防災・減災対策や大規模災害からの復旧復興については、平成30年7月豪雨への対応における激甚災害の指定や、普通交付税の繰り上げ交付、人命救助の実施など国の迅速な支援に対し謝意を述べた上で、復旧・復興に必要な人材の派遣や災害廃棄物の早期処理、被災者の生活再建支援等に係る柔軟な支援のほか、住民生活の安全・安心が脅かされる災害に対し、地方においても計画的に対策に取り組めるよう、国土強靱化や防災・減災対策を加速するための財源の十分な確保を求めました。
最後に、地方法人税課税の偏在是正措置について、都市には日本の成長のエンジンとしての役割があるのに対し、地方は非常に長い海岸線や離島、山間部を少ない人口でしっかり守っているなど、地方の役割も重要であると強調し、地方団体間の財政力格差が拡大している中、平成30年度与党税制改正大綱に基づき、都市と地方が支え合う社会の構築に向けて、偏在性の少ない地方税体系を構築すること、またその際には、地方法人課税の意義や、都市も地方もそれぞれの役割を果たしていけるよう、各地域の行財政需要や活力の維持・向上にも配慮するなど、今後の地方税及び地方法人課税のあるべき全体像を見据えた検討を要請しました。
【参考資料】