岩手県普代村
2862号(2013年12月09日)
2012年2月26日、震災後空き店舗となっていた「普代駅食堂」は、大勢の人で賑わっていました。それは、「ふだいの昆布で村おこし!」プロジェクトの一環として、 いつもは盛岡市で行われる「普代フェア」を地元の村民にこそ体験してもらおうと村が企画したイベントが開催されていたからです。前売りチケットを購入して楽しみに待っていてくれた方々は、 これまでに見たことも、味わったこともないようなメニューに感心しながら、豊かな地元食材の美味しさとその可能性を再認識したようでした。
普代フェアin普代村ではフェアの立役者でもある盛岡の飲食店「ヌッフデュパプ」の伊東代表が参加者にメニューの解説
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2009年から、村の特産品である「昆布」を使って、村を盛り上げていこうという「ふだいの昆布で村おこし!」プロジェクトが動き出しました。ところが、 プロジェクトが軌道に乗り始めた矢先に起きた、東日本大震災。沿岸部の他の市町村に比べれば、被害は少なかったものの、 漁業施設などは大きな痛手を被り、「ふだいの昆布で村おこし!」プロジェクトの続行が危ぶまれました。それでも、このプロジェクトの中核をなす「普代フェア」は、 冷凍で保存されていた昆布などを活用して、震災からわずか8カ月後の2011年11月に開催することができたのです。開催地盛岡の飲食店・販売店の協力や支援なくしては成し得なかったことでした。 こうして震災を経て、プロジェクトは、村おこしを目的とするだけでなく、村の復興に対する村内外の強く熱い思いも、その原動力となっていきました。
昆布を活用した新商品の試食会
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2012年には、特産の昆布をそのまま売るだけでなく、昆布をテーマに商品を開発してもらおうとあらゆる事業者に呼びかけを始めました。ただ新商品を公募するのではなく、 食品加工やマーケティングなど専門家からのアドバイスを受けられるよう、村の事業者を対象とした商品開発セミナーを開催するなどして、役場が事業者をサポート。そうして、 これまでの常識を覆すような新商品が誕生しました。2013年2月には発表会と試食会が行われ、正式に商品化。普代駅に隣接する「ふだいのアンテナショップ」や、 盛岡市内の産直施設などで常時販売できるまでになりました。新商品で注目を集めることで、昆布を提供する漁業者の励みにもなり、村全体で村の魅力を発信していると関係者はみな実感しています。
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“普代ブランド”とは、何か特定の食材の知名度を上げるのが目的ではなく、生産者、事業者、村民、漁協、商工会、行政、支援機関が連携して、工夫し、支え合い、補い合うことで、 村そのものがブランドとして確立していくことを目指しているもの。「復興」を掲げて前へ進むだけではなく、村の中から元気になり、外へ発信していくことで、 震災以前よりもっともっと発展していくだろうと、村の未来を思い描いています。
新商品を開発した事業者のみなさん
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