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かき小屋復活に確かな未来を信じて

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年11月18日
 

かき小屋復活に確かな未来を信じて


宮城県松島町

2860号(2013年11月18日)

立ち上る湯気と共に、充満するおいしそうな香りと音。テーブル中央の鉄板の上に、スコップで豪快に殻つきカキが盛られると歓声があがり、 熱々のカキをほおばったお客様から満面の笑みがこぼれます。地元の言葉で殻むきの指導をする女性たちも、その笑顔を見て嬉しそう。2013年10月26日、 松島町の冬の観光名所「かき小屋」が今シーズンもオープンしました。

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続けなければ

日本三景のひとつ、松島。東日本大震災の大津波によって、その風光明媚な島々は被害にあったものの、湾の地形的な特徴と点在する島が緩衝材となってくれたことなどから、 他の地域に比べて町の被害は小さいほうでした。「かき小屋」は、幸いにも津波による流出を免れたにもかかわらず、湾内のカキの養殖棚は壊滅的な被害を受けたため、 営業を断念せざるを得ない状況でした。しかし、「かき小屋」を経営する松島観光協会は、冬の観光客確保のために2004年に営業を開始した「かき小屋」を今やめてしまったら、 今後再開する時には一からのやり直し、振り出しに戻ってしまう。それならば、細々とでも続けていくことが重要なのではないか、と考えました。地元カキ養殖者の協力を得て、 津波被害を受けても残った松島湾産のカキを使用し、2011年11月から週末や祝日限定で、「かき小屋」を復活させることができたのです。

10月26日、県や自治体等関係各所、報道関係を招いて開催したオープニングセレモニーの試食会

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絆と信頼のもとに

翌2012年。カキ養殖棚の懸命の復旧作業もむなしく、夏の高温と少雨の影響で、湾内の養殖ガキは7割が死滅してしまいました。今度こそ営業をあきらめていたところ、 11月になって、カキの殻むき施設の復旧が大幅に遅れていた石巻のカキ養殖者から、殻つきカキを融通してもらえることになりました。松島湾産カキだけでの営業はかないませんでしたが、 「宮城産」と銘打って、12月から3月まで、年末年始を除いて毎日営業することができたのです。これもひとえに、たすけあいの精神と日頃からの連携で培ってきた絆のおかげと言えるでしょう。 「かき小屋」名物の時間制限付き焼きガキ食べ放題に、何度も再訪してくれるお客様も増え、「かき小屋」は完全に復活しました。

週末の予約は1カ月先までいっぱいという盛況ぶり

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観光振興のけん引力

現在、町への観光客は、震災前と比較すると8割程度。その原因は様々な要素がからみあっていると考えられています。 いまだに続く余震や護岸工事の遅れなどによる「安全」への不安、そして、三陸の海産物に対する「安心」への風評被害。町の力だけではどうにもならない部分も多々あります。それでも、 町にできることをひとつひとつクリアしていくしかありません。復興のためだけでなく、松島の良さ、おいしいものをたくさんの方々に知ってもらいたい、楽しんでもらいたい、そう願いながら、 町が一丸となって観光振興に邁進しています。そのけん引力のひとつとして、「かき小屋」は明るく元気に、「松島の冬」を届け続けます。

2013年は湾内のカキも多く提供できるようになった

  

かき小屋についての問い合わせ先:松島観光協会 022-354-2618

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