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海の恵みを守り、守られ

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年6月24日
 

海の恵みを守り、守られ


岩手県洋野町

2844号(2013年6月24日)

2013年4月30日。種市南漁協宿戸漁業実行部会は、宿戸漁港の沖合いの増殖溝で、今季初となるウニ漁を行いました。この日、ドライスーツを着たダイバーたちは増殖溝に入り、 約700キロのキタムラサキウニを水揚げ。今年もゴールデンウィークに開催された「宿戸ウニ直売会」で販売されました。身入りがよく、甘みがあり、濃厚な味わいで有名な洋野町のウニ。 漁期が終わる8月上旬まで、町は海の恵みを享受します。

  

「宿戸ウニ直売会」のために、大量のウニを水揚げ

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「つくり育てる漁業」の誇りをかけて

東日本大震災による町での死者は0人であったものの、漁業へのダメージは大きなものでした。中でも町の「つくり育てる漁業」の象徴であり、海の畑と呼ばれる「増殖溝」には、 土砂やガレキが流れ込み、ウニ漁ができない状況に。「ウニの里・洋野町」としての事業が軌道に乗り始めた矢先の被災に、関係者の落胆の色は隠せませんでした。しかし、 日頃厳しい自然と対峙している漁師魂は、そう簡単には折れません。地域住民と力を合わせ、漁港周辺等のガレキ撤去作業を行うなど、復旧へ向け動き出しました。 津波に耐えた洋野町のウニを食べてもらいたいとの強い想いが実を結び、震災から3カ月でウニ漁再開。2011年度の水揚量は例年の3割程度でしたが、2012年度は5割近くまで回復しました。また、 津波の被害で全壊した「栽培漁業協会種市事業所」では、育てていた稚ウニが流失しましたが、漁協や地元の高校生たちの積極的な協力で、早期に復旧。その結果、 2012年5月には稚ウニ100万個が震災後初出荷され、漁業者たちの希望となりました。 

今年度は、ウニのエサとなる海藻が豊富なため、水揚量の増加が期待され、稚ウニも震災前の約7割となる200万個の出荷が見込まれています。減少したウニの再生へ向け、 漁業者たちは種苗の放流や移植などの作業を重点的に実施しています。 

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種市産ウニを知ってもらうために

町では、「種市産ウニ」のおいしさを伝えるため、地元の漁業者が「ウニが最も“うんめぇ”(おいしい)時期」という7月に「たねいちウニまつり」*を開催しています。 生ウニ(むき身や殻付き)の販売はもちろんのこと、ウニ を自分で割って身を取り出して食べる「殻割り体験」、格安のウニ丼を自分で作って食べる「ウニ丼づくり体験」や数量限定のウニ料理の試食など、 来場者の おなかも心も満足させる内容。ウニをほおばった時の笑顔や「おいしい!」のひとことを聞くたび、訪れてくれた方々と海の恵みに感謝しています。

ウニのワタ取り作業に一生懸命(「たねいちウニまつり」)

* 今年の「たねいちウニまつり」は7月14日(日)に種市海浜公園で開催される。

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森の恵みを海へ

良質のウニを育てるために、豊かな山から海へ栄養分を含んだ水が安定的に供給されることは必要不可欠です。2007年から毎年、地元の小学生や漁業関係者などが参加し、 ウニの漁場に注ぐ川の上流域に、コナラやクリの苗木を植樹しています。植樹体験を通して、漁場にとって山の養分が重要であることを知ってもらい、次世代へ伝えつなげていきたいのです。 あらゆる角度から取り組みを続け、ウニ漁の完全復活、「種市産ウニ」のブランド化に向けて、一歩一歩前に進んでいます。

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