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語り継ぐ想い 明日を見つめて

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年5月20日
 

語り継ぐ想い 明日を見つめて


宮城県亘理町

2840号(2013年5月20日)

2013年4月10日。「ふくしま浜街道・桜プロジェクト」2013年4月10日。好天に恵まれ、町の沿岸部、荒浜地区 を走る観光バス。東日本大震災で大きな被害を受けたエリアに降り立ち、町のボランティアガイドがツアー客に語りかけてい ました。お揃いの緑のビブス(ベ スト)を着たガイドたちは、「震災語り部の会『ワッタリ』」のメンバーです。町に興味を持って訪れてくれる方々に震災の実態を見て、感じてもらいながら、 自分たちの体験を伝えているのです。

  

2012年月上旬に開催された震災語り部ガイド育成講座開講式

  

 

観光ガイドから

亘理町は、震災前から町内のボランティアガイドの育成に積極的に取り組んでいました。「観光ボランティアガイド」として 活躍してもらうため、応募してきた町民たちに史跡めぐりの研修を行っているさなかに、被災。やむなく解散に追い込まれたままになっていました。震災後しばらくすると、他の被災地で「震災語り部」による 活動が始まりましたが、ボランティアガイドの下地はあったものの、町として一歩踏み出す余裕はありませんでした。ところが、 「亘理町でも取り組んでみたらど うか?」という声が上がり、県や旅行会社、他の被災地などからの支援の輪が広がり始めました。ガイドツアー企画の具体案が寄せられたり、アドバイザーを派遣してくれたり、と心強い 後押しがあって、震災語り部の会の発足が具体化していきました。震災からちょうど1年経った頃のことでした。

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震災を風化させまい

2012年、「広報わたり」7月号で震災語り部の募集を告知し、10数名の応募がありました。ガイド育成講座は、8月に3回 行われ、9月3日の第1回定例会で正式に発足となりました。初代メンバーは、12人。その大半が60代です。「ワッタリ」という名前は、メンバー間の話し合 いの中から生まれました。その後、月1回の定例会(勉強会)を開講。ガイドのポイントを覚えるだけでなく、どう語りかけたらわかりやすいだろうか、想いが伝わるだろうか、と試行錯 誤しながら、震災の記憶を後世に伝えたいとの想いを胸に、ガイド実施の日まで準備してきました。そして、宮城県が推進する観光プロジェクト「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」のスタートに合わせて、「ワッ タリ」によるガイドツアーは始まったのです。

生き生きとした笑顔のワッタリのメンバー

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感謝の気持ちをこめて

初めてのツアーを終えて、「ワッタリ」のメンバーは、達成感と安堵感に包まれました。と同時に、もっと上手にしゃべれたはずなのに、と反省点もあれこれ。けれども、たとえたどたどしいガイドであっても、想いは伝わったと実感しています。真剣に耳を傾けてくれたツアー客のみなさんの涙や笑顔がどれ ほど励ましとなったことか。今後は、より多くのツアー客の要望に応えるため、コースを増やすことも考えています。ただ震災の記憶を共有するためだけでなく、全国からの支援に対し、前向きに復興の道を歩んでいる町民の姿を見てもらうためにも、「ワッタリ」の活動は続きます。

語り部ポイントで被災状況の写真パネルを使ってのガイド

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