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町の希望の灯となれ

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年3月11日
 

町の希望の灯となれ

  

岩手県大槌町

2832号(2013年3月11日)

通称「ひょっこりひょうたん島」と呼ばれる大槌港の蓬莱島で、東日本大震災の津波から1年9カ月を過ぎた2012年12月13日に、新しい灯台の点灯式が 行われました。町民を含む約50名の参列者に見守られ、復興への思いがこめられた灯台の明かりがともると、拍手と歓声が辺りに響き渡りました。また一歩前へ進む 原動力が生まれた、と多くの町民が胸に刻んだ瞬間でした。

  

新しい灯台は鎮魂の祈りをこめてロウソク型。光源部は昇る太陽、本体は「時が経てば復興する」ことを信じて砂時計を模した

  

町のシンボル「ひょっこりひょうたん島」

テレビの人形劇で大人気となった「ひょっこりひょうたん島」の作家、故井上ひさし氏と町のつながりは古く、氏にとって縁の地である大槌の海に浮かぶ 蓬莱島は、その形から「ひょっこりひょうたん島」のモデルになったとされています。物語に出てくるたくさんの個性的なキャラクターたちは町民に親しまれ、特に 「ドン・ガバチョ」は、人形劇を知らない世代の子どもたちにも大人気です。そして、人形劇の主題歌もまた、耳馴染みの良さと前向きな歌詞が町民の心を捉え、 2003年から毎日正午に防災無線を利用して放送していました。

しかし、東日本大震災の津波で、蓬莱島の一部が崩れ、鳥居や灯台は倒壊。正午に主題歌を流していた放送機器や音源も流失してしまったのです。

人形劇団ひとみ座の友松正人さんが操るドン・ガバチョに「おさなご幼稚園」の園児も大喜び

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日常を取り戻して

震災から4カ月半ほどで、正午の時報の「ひょっこりひょうたん島」がまた町に流れることになりました。井上氏と親交のあったジャズピアニスト 小曽根真さんが事実を知り、主題歌をジャズピアノにアレンジして録音したものを提供してくれたのです。そして、その2カ月後には、第二管区海上保安本部が灯台の デザインを町民向けに公募し、翌年春には着工、年末に完成となりました。復興への道は長くとも、少しずつ日常を取り戻すことで、町そのものの“力”にも 活気がみなぎってきています。多くの支援に支えられながら、自分たちの足で立ち、しっかり歩んでいく。このように町民を奮い立たせているのは、震災前から毎日 耳にしていた歌「苦しいこともあるだろさ 悲しいこともあるだろさ だけど僕らはくじけない 泣くのはいやだ笑っちゃおう 進めー」※という歌詞が心に 息づいているからかもしれません。

※「ひょっこりひょうたん島」主題歌(作詞:井上ひさし、山元譲久/作曲:宇野誠一郎)

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希望の灯

町は、観光だけでなく、町おこしとしても「ひょっこりひょうたん島」を活用してきました。震災後、東京都の文化芸術による復興支援を受け、 「ひょっこりひょうたん島」での協働の理念に基づき、「ひょっこりひょうたん塾」をNPOと協力して立ち上げ、勉強会やイベントなどを企画。町を盛り上げるための 人材育成の一環として実施してきています。町の豊かな自然を財産とし、“くじけない町力”を備えるために、観光、産業、福祉、子育てなどあらゆる分野で対策を 進めています。灯台の光が町の未来をも明るく照らしてくれると信じて。

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