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地域のつながりを守るために

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年10月22日
 

地域のつながりを守るために


  

福島県富岡町

2817号(2012年10月22日)

遠藤勝也町長を始め総務省東北総合通信局武井俊幸局長ほか多数の来賓によるテープカットと共にセレモニーが開催された2012年9月3日。 町の情報を共有するための「町民コミュニティ支援システム」が始動しました。震災の翌日から、全国各地へばらばらに避難せざるを得なかった町民の「ふるさと富岡」への思いを 受け、点と点を結ぶ新しい形のコミュニティを目指しています。   

突然の離散に戸惑いながら

3・11、東日本大震災。激震の恐怖の中、目の前の惨状に呆然としながらも、ひとつずつ片付けていき、再建するしかない、と気持ちを奮い立たせようとした 矢先のこと。東京電力福島第一原子力発電所の事故が伝えられ、震災の翌日には近隣の町村への避難指示があり、町民はみな着の身着のまま自宅をあとにしなければなりませんでした。 そのまま親戚を頼って他県に渡ったり、避難所生活を強いられたり、町は形態を失くし、町民は散り散りに。震災の被害だけなら、自分たちの手で元に戻すことができるのに… 町民誰もが歯がゆい思いを抱きながら、先の見えない生活が始まりました。報道に触れるたび、ほとんどの町民がわが町・富岡の未来に悲観的になっていったのです。

遠藤町長(右から3人目)や来賓によるテープカット

  

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離れていても、町でありたい

2012年2月。このままでは、たとえ数年先に町に帰還できる時が来ても、町民の心は離れてしまうのではないか。そんな危機感から、なんとかして 町民ひとりひとりをつなぐネットワークを作らなければ、と発案されたのが、「町民コミュニティ支援システム」でした。タッチパネル式タブレット型情報端末を町民に配布し、 町の情報を共有したり、町民同士の交流の場として開放することで、町民のコミュニティが維持できるのではないかと、1億1400万円の費用を投じて早速システムの構築に 取りかかりました。IT端末に馴染みのない高齢者でも簡単に操作できる画面構成や画面展開を、という大きな課題も、試行錯誤しながらなんとかクリア。6月下旬には、 町民約7000世帯の避難先に情報端末の「配布申請書」を送付し、希望者に無料で配布する旨を告知することができました。

遠藤町長のタブレット操作で運用開始

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進化するコミュニティ

3000世帯を超える登録を得て、いよいよ9月3日に試験運用が開始されました。町の公式ホームページが閲覧できるほか、町からの各種お知らせや議会・ 町内の様子などの映像、臨時災害放送「おだがいさまFM」を配信しています。運用開始後、さらに200件以上の追加申請があり、簡便なツールであることが着実に伝播している 手ごたえを感じています。国の助成を受けて構築できたシステムも、2013年1月にはグレードアップ。タッチパネルを活用したアンケートや町民同士の交流の場など双方向性を 強化していく予定です。今後も継続的な運用をするためには、タブレット端末1台1台の通信料等の財源確保やシステムの見直しなど問題は山積しています。「ふるさと富岡」で 笑顔を交わせる日が来るまで、まだ始まったばかりのこの新しいコミュニティシステムを町全体で進化させていきます。

操作性の良いタッチパネル(高さ15センチ、幅23.3センチ、ディスプレイサイズ8.9インチ)

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