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おいしいわかめを届けたい

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年9月4日
 

おいしいわかめを届けたい


  

岩手県田野畑村

2814号(2012年9月24日)

2012年5月17日、田野畑村島越の仮設魚市場倉庫。この日震災後初めて、田野畑のわかめを支援してくださる方々に送る新ものわかめの発送の準備をしました。 作業場に集まったわかめ養殖業の漁師さんたちはみな満面の笑顔。「田野畑、がんばれ!」とエールを送ってくださったみなさんの元へ自慢のわかめを届けるために、 ひとつひとつ心をこめて作業にあたっていました。

田野畑の誇り

田野畑村の沖合いは「三陸沖」として親しまれ、黒潮(暖流)と親潮(寒流)がぶつかる世界三大漁場のひとつ。そんな外洋の荒波で育った「田野畑わかめ」は、 ミネラルが豊富で、シャキシャキとした歯ごたえと深い味わいが自慢です。国産わかめのトップブランドとして7割のシェアを誇っていた三陸産わかめでしたが、 東日本大震災の津波により、三陸沖のわかめ養殖場がほとんど流されてしまったことで、「田野畑わかめ」は再起不能の危機に陥りました。壊滅的な被害を受けた養殖漁場や 港の関連施設の状況から、個人経営のわかめ養殖業者の中には、資金面などで再建をあきらめ漁業から離れざるを得ない厳しい現実がありました。

早春、わかめの発育を確認

  

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あたたかい支援の元で

震災から遡ること3年。「田野畑わかめ」を多くの方に知ってもらい、そして味わってもらうことを目的に、「わかめオーナー制度」がスタートしました。 わかめの種巻きや間引き、収穫作業が体験でき、収穫時には確実に新ものわかめを得られるというもの。震災後、この制度を少し方向転換して、1口1万円の支援金を募る 「復興サポーター制度」として2011年7月から募集を始めました。養殖業を本格的に再開するには、国や県からの補助金だけでは賄いきれないため、サポーターからの出資金の 7割を復興支援金として養殖資材、ボイル機材整備、わかめ仕入れ原価、加工費などに使用させてもらい、残り3割で塩蔵わかめ1キログラムの保証と発送等の費用に 充当することにしました。震災後の第1期募集では、それまでのオーナー制度を上回る668口の登録がありました。現在募集中の第2期もすでに300口を越える勢いに、 この制度を実施している「田野畑わかめ復興プロジェクト実行委員会」では、サポーターへの感謝の念が絶えません。

2年ぶりの塩蔵加工。まずは煮て、冷やす

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未来へつなげて…

震災でほとんどの船が流されたため、「田野畑わかめ」はまだまだ養殖業者同士協力しあわなければならない状況にあります。それでも、 船を取り戻す養殖業者も増え始め、5月に良質のわかめを出荷できたこともあって、みな手ごたえを感じ、活気に満ちあふれています。「復興サポーター制度」に頼ることなく、 少しでも早く従来のわかめ養殖業に戻りたい、戻るべきだと村は考えています。「震災」「復興」という枠から脱し、「田野畑わかめ」を未来へつなぐため、 「わかめオーナー制度」の再開や後継者の育成など新しい取り組みに動き始めました。

心をこめて復興サポーターへの発送作業

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