ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 災害関連情報 > “絆”となる子どもたちのために「までい*の心」で

“絆”となる子どもたちのために「までい*の心」で

印刷用ページを表示する 掲載日:2012年6月11日
 

“絆”となる子どもたちのために「までい*の心」で


  

福島県飯舘村

2803号(2012年6月11日)

2012年4月20日、福島県川俣町に建設された仮設校舎で、飯舘村の小学校の開校式が執り行われました。村立の草野、飯樋、臼石の3校合同の小学校として 児童220人が通うこの校舎には今、屈託のない明るい笑顔があふれています。   

子どもたちの教育環境を最優先に

2011年3月11日、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故により、福島県飯舘村の日常は奪われました。「まず子どもたちの生活をなんとかしなければ…」。

同年3月下旬から幼稚園や学校の移設先を探し始め、村から1時間程度の「村の見える場所」として、川俣町の学校の一部を使わせてもらえることになりました。 しかし同年4月20日の始業式直後、飯舘村全域が計画的避難区域に指定されてしまいます。「村の絆となる子どもたちをバラバラにしてはいけない!」そう考えた村は、 今度は村民の避難先も学校から1時間以内のエリアに確保していきました。

 こうして、間借り状態の学校生活が始まりましたが、子どもたちの精神的負担は大きなものでした。すぐに仮設校舎の建設に向けて動き出し、校舎、体育館、 校庭の建設・設置に必要な約6400平方メートルの土地を村で購入。2012年度の始業式に間に合うようにと、2011年秋頃から着工しました。校舎は国の補助金を充当し、 体育館は日本赤十字社からの約2億円の寄付で建設。そのほか、校庭内のモニュメントや植栽なども寄付や善意によるもので整えられました。こうしたたくさんの厚情に支えられ、 2012年4月6日には入学式、4月20日には校舎お披露目の開校式が行われました。

開校式にて挨拶する菅野典雄村長

  

上に戻る

合同小学校のメリット

 この仮設校舎は草野、飯樋、臼石の3校合同の小学校としてスタートしました。できるだけ教育環境を従来通りにするため、3校を統合せず、 それぞれの学校の教職員全員で学校運営に携わっています。校長も3人、養護教諭や用務員も3人ずつ。ともすれば、指示系統が混乱してしまいそうですが、リーダーを決め、 知恵を出しあい、子どもたちにできる限り最上の学校生活を提供しようと日々頑張っています。合同にしたおかげで学年ごとのクラスが実現。1クラス36~ 40人の児童に3人の 担任を置くことで、きめ細やかな授業が可能になりました。子どもたちへの対応や授業の進め方など、教員同士も切磋琢磨しています。スクールバスを村所有の8台から12台に 増やしたことで、子どもたちの負担になっていた通学時間も短縮されました。今後は、「地産地消給食」として有名だった村の学校給食も、独自の給食センターを持つことで 復活させられないか検討しています。

上に戻る

までいの心で子どもたちを見守る

「自分たちの校舎」を得て1カ月が過ぎ、子どもたちの笑顔も輝きを増しています。気兼ねせず、学び、遊ぶ子どもたちの姿は、何にも代えがたいものがあります。 現在、子どもたちにとって学校生活の一大イベントでもある運動会を開催しようと準備を進めています。秋に完成予定の中学校の仮校舎の校庭で、子どもたちだけでなく、 村を離れざるを得なかった村民全員で、一緒に汗を流し、楽しめる運動会を目指しています。飯舘村全体の絆となる子どもたちに、「までいの心」を伝え、 学習環境を提供していこうと、これからも取り組んでいきます。

体育館での授業。子どもたちも先生も、いい笑顔

  

*「までい」=「手間隙惜しまず」「丁寧に」「心をこめて」といった意味で、東北地方に昔から伝わる言葉。飯舘村の村づくりの基本となっている。

上に戻る