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高知県日高村/「安全・安心で笑顔と希望あふれる村」を目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年10月4日更新

水質日本一の仁淀川

▲水質日本一の仁淀川


高知県日高村

3175号(2021年10月4日)日高村長 戸梶 眞幸


日高村の概要

本村は、高知県のほぼ中央部、仁淀ブルーと称される水質日本一の仁淀川の中流域に位置しています。東西は10・0km、南北は9・2kmの広がりを持ち、総面積は44・85㎢です。北部には標高530mの妙見山、南部には標高440mの大堂山を有し、これらの山地に囲まれた盆地状の中央部にはJR土讃線及び国道33号線が走り、沿線に住宅地や農地が形成されています。

村の特徴としては高知市中央部から16㎞の距離にありながら、絶滅が危惧されているミナミヤンマや蛇紋岩地帯特有のドウダンツツジ、メダカや野鳥などの貴重な生態系があります。また土佐二宮の小村神社には、国宝「金銅荘環頭大刀拵・大刀身」や、国の重要文化財「木造菩薩面(2面)」があるなど、自然の豊かさと歴史的文化があります。特産品には、高糖度トマトのブランドとして、「シュガートマト」の生産が盛んに行われており、11月~6月頃まで出荷されています。また、中四国最大級の茶園を有する霧山茶業組合では、上煎茶から番茶まで生産しており、特に「炙り茶」として認定されているほうじ茶は、県内の多くの店舗でスイーツの原料として使用されています。

シュガートマト

▲シュガートマト

 

新しいむらづくりの基本方針

​▲新しいむらづくりの基本方針


日高村の村づくり

本村では、地方自治法に基づき「第6次日高村総合振興計画」を策定し、「誇りの持てる日高村の創造と持続可能な日高村の実現」という基本理念のもと、将来像の「安全・安心で笑顔と希望あふれる村」を目指して、総合かつ計画的な村づくりを推進しています。現在、地球温暖化や新型コロナウイルス感染症等により、新たな生活様式が求められるなど、世界的な情勢が大きく変化しています。本村においても、治水対策や南海トラフ地震、感染症対策など安全・安心が強く求められる一方、厳しい財政状況が続くことが見込まれていることから、行財政運営の一層の効率化を図り、新しい自治体経営を進めていくことが、今後の課題となっています。

日高村の人口推移

▲日高村の人口推移(e-stat 国勢調査)

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日高村の人口

平成27年の国勢調査では、本村の総人口は5、030人となっています。本村の人口の動向は、昭和60年の6、341人をピークに減少傾向で推移しています。また、年齢3区分別の構成をみると、15歳未満の年少人口は472人(9・4%)、15歳から64歳までの生産年齢人口は2、582人(51・3%)、65歳以上の老年人口は1、976人(39・3%)となっています。これを全国及び高知県と比較すると、年少人口比率(9・4%)は全国平均(12・6%)や県平均(11・6%)を下回り、老年人口比率(39・3%)は全国平均(26・6%)や県平均(32・8%)を上回っていることから、少子高齢化が急速に進行していることがうかがえます。

水との闘い

本村の歴史は、「300年を超える水との闘いの歴史である」といわれるように、仁淀川からの逆流や、内水被害を受けてきました。近年では平成26年に発生した台風11・12号による水害で戸梶川、日下川が氾濫し、延べ浸水面積が488ha、浸水家屋が延べ224戸となるなど深刻な浸水被害が発生しました。そこで、村では、永年の水との闘いを乗り越え、「水害の村」から、「水・自然と共存する村」を目指すべく、治水対策に取り組んできました。床上浸水対策特別緊急事業として令和4年度完成を目指し、日下川新規放水路の工事へ着手、まちづくりの指針として「日高村水害に強いまちづくり条例」の制定など、ハード対策とソフト対策の両方に取り組み、総合的に治水対策を推進しています。これらの治水対策は、村民の生命と財産を守るだけでなく、村の産業振興にもつながります。

放水路吐口(仁淀川合流点)より

▲放水路吐口(仁淀川合流点)より日高村を望む

 

放水路呑口完成イメージ図​​

▲放水路呑口完成イメージ図

 

 

日高村の産業振興

本村の基幹産業として農業があります。特産品にシュガートマトがあるように、トマト生産が盛んに行われてきました。しかしながら、水不足に悩まされている状況や次世代型ハウスの建設に適した広さの区画が不足しているという課題がありました。そこで、平成28年に地域再生のため、「日高村トマト産地拡大プロジェクト」を計画し、揚水ポンプ等の整備、トマトハウス団地の拡大等の基盤整備を行いました。これにより参入企業が次世代型ハウスを建設し、ミニトマトの栽培に取り組み、新たな雇用が創出されました。また、JA出資型法人が研修ハウスを建設し、新規就農者の受け入れを開始しました。加えて、規格外のトマトを活用した加工品の開発・販売といった加工業の拡大、新たな選果ラインの導入や予冷庫の拡張により、安定的な集出荷を実現し集出荷場の機能強化につながりました。そのほかの効果として、地元飲食店と連携した観光集客策、「オムライス街道プロジェクト」の取組が推進され、「第4回ディスカバー農山漁村の宝」に選出されました。

次世代型ハウス外観

▲次世代型ハウス外観

 

次世代型ハウス内

▲次世代型ハウス内

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産業振興と移住者へのつながり

「日高村トマト産地拡大プロジェクト」による新たな雇用創出が与える影響は産業振興だけではなく、本村の人口増加にもつながりました。農業が盛んな村への移住を機に、農業に挑戦したいと県外から移住してきた方で、参入企業に就職し、トマト栽培をしている方がいます。現在では、参入企業が保有する農園の日高村農場長を務め、本村の農業振興、地域活性化に取り組んでいます。また、新規就農への挑戦やトマトを始めとした地場産品を活用した飲食事業をするため地域おこし協力隊として着任・移住し、活躍している方もいます。

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地域おこし協力隊

本村は平成28年度より地域おこし協力隊制度を導入しており、これまでに18名の方が着任し、地域の課題解決・新しい取組にチャレンジし、村を元気にするべく日々活躍しています。農業の分野でいうと2名の方が活動をしています。それぞれシュガートマト農家になること、トマトの栽培管理・指導を行い、出荷量を増加させ、県内一のトマト産地にすることを目指し活動しています。特産品のトマトを通して日高村が活性化していけるよう、日々の活動に精力的に励んでいます。飲食事業では2名の方が活動をしています。それぞれキッチンカーでタコス販売、古民家カフェをオープンするなど食を通しての地域おこしに取り組んでいます。今後はタコスを軸に高知県の生産者との関わりや昔ながらの食材を大事にし、高知県の食を文化的に広げていくことや地元の方に愛され、料理を食べて元気に過ごしてもらえるような店にしていくことを目標に活動をしています。

地域おこし協力隊

▲地域おこし協力隊

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村まるごとデジタル化事業

近年の社会情勢の変化は著しく「Society5・0」といったデジタル革新等による新たな社会が形成されています。日高村においても社会情勢に適応し、公的サービスの質の向上や地域のコミュニケーション活性化に取り組むべく、令和3年6月1日より「村まるごとデジタル化事業」を開始しました。また、この事業を推進するため日高村、株式会社チェンジ、KDDI株式会社の「包括協定」を締結しました。これによりスマートフォンの普及促進活動や防災・健康・地域通貨・メッセンジャーアプリの利用促進を通じて令和3年度中に村民の「スマートフォン普及率100%」実現を目指します。両社の役割として主に株式会社チェンジには本事業全体のプロジェクトマネジメント、運営支援、デジタル化やDX化支援を、KDDI株式会社にはスマートフォンの出張販売及び利用促進支援を担っています。村としては本事業の促進、村内事業者の共助と村民同士の互助による高齢者層への普及と利用の継続的なフォローを行っていきます。具体的な施策として、スマホの使い方がわからない、不安だという方に向けて地域ごとに説明会を実施しています。そして村内の協力事業者を公募し、「デジタル共助ステーション」の準備をしています。これは近所の店舗等でスマホに関する困りごとを相談できる場として設置するものです。これによりシニア世代を含めたあらゆる世代がスマートフォンを使いこなし、より便利な生活を送るための支援を実施します。

日高村・チェンジ・KDDI「村まるごとデジタル 化事業」における連携協定締結式

​​▲日高村・チェンジ・KDDI「村まるごとデジタル 化事業」における連携協定締結式

 

 

最後に

現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、行動が制限されたり、経済活動にも大きな影響が出ているところです。その中で感染症対策に注力しながらも、行政、民間、地域が一体となって地域活性化、安心・安全の基盤づくりに取り組んでいます。皆様におかれましても、日ごろからの対策をお取りいただきつつ、お時間がありましたらご気軽に日高村へお越しください。