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長野県下諏訪町/移住者が集うクラフトタウン

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年2月3日

下諏訪町の街並み

下諏訪町の街並み


長野県下諏訪町

3108号(2020年2月3日) 下諏訪町 産業振興課


下諏訪町の概要

下諏訪町は、長野県のほぼ中央に位置する、面積66・90㎢のコンパクトな町です。南側は諏訪湖に面し、北側には和田峠・鷲ヶ峰があり、これらの山から流れ下る川の扇状地に発達した町で平成30年に町制施行125周年を迎えました。

町の発祥は古く、旧石器・縄文時代にさかのぼります。当時、多くの遺跡から狩猟用の石鏃や土器などが出土したばかりでなく、石器の素材となる黒曜石を採掘して東日本一帯に供給していました。町の北東部に広がる星ヶ塔黒曜石原産地遺跡は、縄文時代の資源開発と流通を考えるうえで極めて重要な遺跡として、平成27年3月に国史跡に指定されました。

下諏訪町は豊かな水をたたえる諏訪湖と美しい山々に囲まれ、国の天然記念物である八島ヶ原高層湿原を有するなど、自然に恵まれています。さらには古くから諏訪大社の門前町として、また、中山道と甲州道中が合流する温泉宿場町として栄え、歴史的遺産にも恵まれています。

豊富な観光資源と温泉により毎年多くの観光客が訪れており、観光業は町の主要産業の一翼を担っています。特に、1300年以上の歴史をもつ御柱祭には町内外から多くの人々が訪れ、町全体が賑わいます。

戦前は製糸業で栄え、戦後は「東洋のスイス」と呼ばれ、時計・カメラなどの精密工業の町として発展してきましたが、現在は電子精密機械製造を中心とした高度技術の集積、先端技術の導入などに積極的に取り組み、電子機器関連産業都市としても発展を遂げています。

八島ヶ原高層湿原

▲八島ヶ原高層湿原​

空き店舗対策で商店街を活性化

平成9年4月、町の商店街通りの御田町において、「みたまちおかみさん会」が発足。空き店舗解消のため、おかみさん同士のネットワークを活かし、空き店舗の掘り起こしや入居交渉等の住まいの相談に乗り、起業希望者と地域コミュニティの橋渡し役となるなど、女性の視点を活用した温かい支援に尽力してきました。

昔は下諏訪町で一番賑わっていた時期もあった御田町商店街は、町の中心部の宅地化、大型店の出店などにより、商店街を訪れる客が減少し、高齢化等も相まって廃業や閉店が進みました。平成15年には、約30軒あった店舗の3分の1が空き店舗となりました。

御田町の課題であった空き店舗の活用にあたり、「商店街の仲間だけでは新しい発想が出にくい」と、原雅廣氏(現専務理事)をリーダーに、おかみさん会や商店街の住人で商店街活性化の活動を始めた5人のメンバーで、平成15年5月、「匠の町しもすわあきないプロジェクト」を立ち上げました。

みたまち おかみさん会

▲みたまち おかみさん会​

原氏は会社員の傍ら、プロジェクトのメンバーや御田町の住民と一緒に「まずできることから形にしてみよう」と提案し、各々仕事が終わった後に集まり、空き店舗の改装を始めました。平成15年5月、工事期間およそ1週間で、空き店舗を活用した第1号店「あざみ工房」がオープンし、この事例を皮切りに、下諏訪町へ移住し開業したいという若者のために、空き物件の紹介や店舗改装からオープンまでをサポートすることで、成功につなげてきました。

この御田町での取組に欠かせない、①リソース(あるものを使い、ムリはしない)、②アクション(できることからはじめ、できる人がやる)、③シェア(情報と人脈を共有し、長を作らない)ーという3つのコンセプトのもと、商店街は活性化を続けてきました。

空き店舗ゼロ御田町商店街(WEBより)

▲空き店舗ゼロ御田町商店街(WEBより)

取組内容

⑴移住定住促進アクションプラン

下諏訪町では、平成28年4月に移住者及び定住者の増加を図るとともに、空き家等の有効活用を促進するための専門の係である「移住定住促進室」を設置し、移住・定住に関わる調査や分析を行い、「下諏訪町移住定住促進アクションプラン」を策定しました。

この移住定住促進アクションプランは、これまでの移住施策に加えて、町へ既に移住した方のインタビューや、都市住民グループインタビュー等を通じて、将来の移住者を発掘し、下諏訪を目的地と設定して移住するファンの育成を図る「移住者を見つけて育てる育成型移住促進施策」を新たに展開して、中長期的視点で移住・定住を計画的に進めていくための3つの戦略を位置づけたものです。

戦略1「接点創出から交流の拡大へ」は、古来より続く宿場町として多くの観光客が訪れる、観光を起点とした接点の創出から交流の拡大につながる事業を推進し、町を訪れる方との接点を拡大するための事業戦略です。

戦略2「下諏訪に目的地・居場所をつくる」は、人と人のつながり等から、下諏訪を目的地として継続的に訪れる方を増やすための移住交流拠点の活用や、遊休資産である「旧労災リハビリテーション長野作業所」を有効活用するための事業戦略です。

戦略3「移住者が移住者を呼ぶ」は、移住経験者の方のネットワークや移住者を受け入れている地域の方々に核となって頂き、移住者の受入環境整備や移住支援のためのネットワークづくりを推進する事業戦略です。

こうした3つの戦略に関する具体的な事業の推進をしているところです。


⑵移住交流スペース
「ミーミーセンタースメバ」

気軽に相談できる移住交流スペースとして、平成29年2月に「mee mee Center Sumeba(ミーミーセンタースメバ)」を開設しました。

ここは、旧生花店の空き店舗を活用し、古民家等の空間デザインを手掛けている「ReBuilding Center JAPAN(リビルディングセンタージャパン)」等の協力を得て、リノベーション体験ツアー(参加者10名)の実施により、天井、壁、床などの内装を建物本来の構造を活かしながら、町を訪れる移住希望者や地域の方々が気軽に立ち寄れる暖かみのあるスペースにリノベーションしました。

町に遊びに来た方や住んでみたい方、既に移住された方、地元で生活している方が交流できる場所として、町の魅力、観光情報、移住相談など、“地元の人に聞きたいこと”を通じて、住民から地域への来訪者に情報提供が行われる、人と人をつなぐ交流拠点となっています。

ミーミーセンタースメバ

▲ミーミーセンタースメバ


⑶ホシスメバ基本構想

平成29年6月より「テレワーク・クラフトタウン構想プロジェクト」として、遊休資産となっていた土地4、000坪、建物延べ床面積1、600坪の広大な旧労災リハビリテーション長野作業所を有効活用するため、民公協働のプロジェクトによる検討会を経て、ホシスメバ基本構想を策定しました。

この基本構想では、基本理念を、「しごと創生拠点 Resource to Renovationホシスメバ」と定め、あるモノ・できるコトをつなぎ、起業・創業による移住・定住を進める場所、また、地域の方との交流を基本にコミュニティを構築するための場所として利活用を図ることとし、既存の制約を見直しながら、具体的で段階的な計画の推進を行います。

ホシスメバ基本構想戦略ビジョン

ホシスメバ基本構想実行計画

▲ホシスメバ 基本構想

目的

あるモノ・できるコトで、未来へ繋ぐ。

新しいヒトとコトを星が丘に。

この街の100年後の未来を創造する。

目標ー段階的な計画の推進

1.コミュニティづくり

2.新たなヒトとの交流

3.企業を巻き込む

この段階的な活用や地域との交流をもとに、まちづくりのビジョンを共有しながら、町の担い手を育て、次の100年後の世代へつないでいくことを目指しています。

また、将来的にホシスメバは「道の駅」としての活用も検討していますが、それまでの間に核とすべき想いやビジョンをホシスメバの段階から育て、つないでいきたいと考えています。

ホシスメバ 将来イメージ図

▲ホシスメバ 将来イメージ図


⑷ホシスメバ リノベーションツアー・WS

旧労災リハビリテーション長野作業所の活用にあたり、既存公共施設を活用したリノベーション、町内外住民の参画を促し、新たな目的地を整備することによる居場所づくりを行っています。

旧寮室の個室部分をシェアワークスペースとして活用できるように、施設の構造を活かしたまま、趣のある古材を使用したおしゃれで格好良い空間づくりを行いました。

このように、都市圏の参加者向けのリノベーションツアーや地域の事業者等を講師としたリノベーションワークショップを開催するなど、施設を活用する前段階からホシスメバ事業に参画する機会を創出することにより、建物のリノベーションが進むとともに、人と人との交流が促進されています。

また、基本構想を策定する段階からビジョンを共有することにより、まちづくりや地域活性化に関わるキーマンである若者メンバーが遊休公有資産の活用プロジェクトに参画することで、新たな価値観や新しい取組への後押しとなっています。

ホシスメバリノベーション

▲ホシスメバ リノベーション

ホシスメバワークスペース

▲ホシスメバ ワークスペース

現状と今後の課題

下諏訪町は、御田町商店街をはじめとし、新たな移住者や若者が空き家を活用して、新たな店舗を構え、人が人を呼ぶ取組が定着しつつあるとともに、トライアンドエラーを実践し、できることからはじめることで、街が常に活性化しています。

しごと創生拠点施設ホシスメバでは、現在リノベーションした空間に新たな移住者8組を迎えています。地域との交流イベントやリノベーションワークショップを通じて、新たな交流が生まれる、そして入居者の方が自己実現できる場所として、今後さらにホシスメバを進化させていく計画です。

また、起業・創業による新しい働き方や、女性も参加しやすい小商いへの支援メニューの強化を行うとともに、大きな建物や設備のダウンサイジングを推進し、次世代のニーズを取り入れながら事業運営をしていくことが不可欠です。

このように、遊休資産であったホシスメバは、多種多様な検討が進められ、計画ありきではない、地域コミュニティの創出と、起業・創業の拠点としての活用が始まっています。

これからのホシスメバにご期待ください。