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広島県神石高原町/誰もが挑戦できるまち神石高原町の創造

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年9月2日

国定公園 帝釈峡と遊覧船

国定公園 帝釈峡と遊覧船


広島県神石高原町

3092号(2019年9月2日) 神石高原町 政策企画課


神石高原町の概要

神石高原町は、広島県東部、標高約500mの中国山地が南に張り出した地形の中に位置する面積382㎢の森林に囲まれた高原のまちです。備後の中心都市である福山市までの距離は約30km、町のほぼ中央部を、岡山県新見市と福山市を結ぶ国道182号が縦断しており、中国自動車道、山陽自動車道へアクセスしています。

神石高原町の大自然 塚ヶ峠の雲海

神石高原町の大自然 塚ヶ峠の雲海

神石郡は、大化の改新の際、国府による郡制が敷かれたことにより発足しました。その後、歴史の変遷を経て、昭和34年に油木町、神石町、豊松村、三和町の神石郡内4町村体制となり、平成16年11月5日、4町村が合併して「神石高原町」が誕生しました。

合併時の人口は、12,000人余りでしたが、現在は、人口9,026人、高齢化率46.9%(平成31年4月1日現在)で、過疎化、高齢化が進行し、人口減少対策が急務となっています。

高冷地気候として、夏は涼しく冬は寒いのが特徴で、特に夏期においては、昼夜の温度差が大きいため、高い糖度で品質のよい神石高原野菜が生産されています。また、良質な米の産地であるとともに「赤と黒のプロジェクト」として、トマト、ぶどう(ピオーネ)、地元のブランド和牛「神石牛」を振興しています。これらの特産品とあわせて、町全体の知名度の向上、産業振興及び地域活性化に資することを目的として「神石高原町でかがやく、もの・ひと・こと」などを神石高原プレミアムブランド「JIN(神)プレミアム」として認定し、その魅力を町内外へ発信しています。

神石牛

神石牛

「 JIN(神)プレミアム」ロゴマーク   神石牛ロゴマーク

「 JIN(神)プレミアム」ロゴマーク  神石牛ロゴマーク

本町は、国立社会保障・人口問題研究所において2060年に人口3,000人と推計され、広島県内で最も消滅可能性が高いとされています。これに対応するため、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、「挑戦のまち」を掲げ、同年に7、500人の人口規模を維持するべく、誰もが挑戦でき、一歩ふみだすことができる環境づくりに取り組んでいます。

ビジネスチャレンジを支援

平成29年9月に神石高原町の資源を使ったビジネスチャレンジ事業者を支援する目的で「一般財団法人 神石高原地域創造チャレンジ基金」(通称:チャレンジ基金)を設立しました。チャレンジ基金は、事業者に対して資金的な支援を行うと同時に、経営指導などの伴走型支援を実施し、事業者の経営を安定させるとともに、自律的な運営を促すことで、新規事業者の参入を容易にすることを目指しています。

平成29年度に1回、平成30年度に2回の案件募集を行ったところ、合計で16件、3億4,000万円の支援申し込みがあり、4件、4,200万円の支援を決定したところです。

支援第1号の事業者へは、農産品の加工施設整備に係る資金を支援しました。個人で6次産業化に取り組まれていたところを、法人化し生産量や販路の拡大に取り組まれています。

支援第2号の事業者へは、町のブランド牛である「神石牛」の繁殖から肥育までを行うための牛舎建設資金を支援しました。平成31年2月には1棟目の牛舎が完成し、続いて次の牛舎建設準備を進められており、着実に事業を拡大されています。

このチャレンジ基金の支援事業者については、町としても総務省の「ふるさと起業家支援プロジェクト」の対象事業者として、ふるさと納税型クラウドファンディングを実施することも可能としています。

チャレンジ基金のイメージ

チャレンジ基金のイメージ

また、同年から「神石高原町チャレンジアワード(ビジネスプランコンテスト)」を開催しています。賞金を最優秀賞100万円、優秀賞50万円とし、1年目には9件、2年目には3件の応募がありました。

1年目の最優秀賞プランは、全寮制インターナショナルスクールを設立するというもので、現在、2020年4月開校に向けて準備が進められています。

2年目の優秀賞プランは、帝釈峡神龍湖の湖上に舞台を設置し、遊覧船から神楽を鑑賞するもので、周辺の観光資源とあわせて体験型観光プログラムを提供するものでした。

過疎地域においては、新たな挑戦がなかなか困難だと思われますが、この2つの取組によって、潜在的には、挑戦の意欲を持った方々が存在するということが確認できました。今後も新たなビジネスチャレンジを支援していきます。

チャレンジ基金の支援により建設した牛舎

チャレンジ基金の支援により建設した牛舎

帝釈峡神龍湖 湖上神楽

帝釈峡神龍湖 湖上神楽

広島県立油木高等学校の魅力化

神石高原町では、合併直後から町内唯一の高校である油木高校の魅力化に取り組み、通信衛星授業の実施、校外活動・クラブ遠征の支援などを実施してきました。平成26年度からは、連携型中高一貫教育を開始し、公設学習塾「はやぶさ塾」の開設、さらには海外交流支援などを行ってきました。

平成29年8月には、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)と「地方創生に関する連携協力協定」を締結し、本町に全国で初となる「地域おこし研究員」が就任しました。「地域おこし研究員」は、総務省の「地域おこし協力隊」制度の枠組みの中で、自治体とSFCが連携して、SFCの大学院生を自治体が任用し、地域の現場で実践的な研究開発を行うものです。

SFCとの協定締結式の模様

SFCとの協定締結式の模様

本町の研究員は、「広島県立油木高等学校魅力化+プロジェクト」に取り組みました。正式な部活動ではないものの生徒15名の参加によりドローンスクールを開催し、ドローンの仕組みやプログラミング、空撮動画の編集などを学び、実際に屋外で空撮・測量などを実践してきました。この生徒たちが培ってきたドローン技術を活用した取組をさらに発展させるため、「生徒の新たな挑戦」、生徒主体プロジェクト「油木高校ドローンアカデミー」が発足しました。

ドローンを飛ばす高校生と地域おこし研究員

ドローンを飛ばす高校生と地域おこし研究員

また、平成29年12月、楽天株式会社と連携協力に関する協定を締結しました。その一環として、平成30年8月から楽天が提供する地域課題解決プログラム「Rakuten IT School NEXT」に参加し、高校生が楽天社員と地域住民とともに地域の課題について考察し、解決策を立案してきました。この中から耕作放棄地の課題解決策について、12月に楽天本社で発表を行いました。

さらに、放課後における学びの場、【神(JIN)ゼミ】を開講しました。これは、総合的な学習の時間の中に地域を舞台に学び、体験し、解決策を考える「地域学」を取り入れ、授業と連動して「自ら課題を設定し、その解決に向けて探求・行動し、振り返り、改善し次に活かしていく」学びをサポートするものです。

このほかにも、同校の産業ビジネス科の取組として、「ナマズの養殖」を行い、広島東洋カープ球団の本拠地マツダスタジアムで「なまずのてりやき丼」を調理・販売するなど、町の新たな特産品として6次産業化を目指しています。

高校の魅力化を通じて、自ら考え行動していく姿勢を持った人材を育み、大学進学などで町を離れたとしても、やがてこの町にかえってくる人材となり、地域の将来を担っていただくことを期待しています。

楽天ITスクール

楽天ITスクール

おわりに

神石高原町は、豊かな自然と地域の人々が永年にわたって築きあげた歴史と文化が豊富にあり、長期総合計画の将来像である「人と自然が輝く高原のまち」の実現を目指して、産業・歴史・文化・自然など豊富にある地域の特性を生かしながら、住民と行政の協働による「小さくても元気のでるまちづくり」を進めています。

同時に、全国的に人口が減少する中で、各市町村が知恵を絞り、地域の特色を活かして対策を進めています。

本町としては、自治体はもとより、民間企業、教育機関、金融機関などさまざまな分野と連携しながら、新たな挑戦が生まれることを支援していくことにより、誰もが挑戦できるまち神石高原町を創造し、持続可能で魅力的なまちづくりを進めます。

マツダスタジアムでの販売の模様

マツダスタジアムでの販売の模様