ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村の取り組み > 沖縄県恩納村/農水産業と観光産業が融合する村 「サンゴの村宣言」プロジェクトで持続可能なむらづくり

沖縄県恩納村/農水産業と観光産業が融合する村 「サンゴの村宣言」プロジェクトで持続可能なむらづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年5月27日

沖縄県恩納村

養殖サンゴ


沖縄県恩納村

3081号(2019年5月27日) 恩納村長 長浜 善巳


恩納村の概要

恩納村は、県都那覇市より北に約50km、沖縄本島のほぼ中央部の西海岸側に位置し、西側は全域が沖縄海岸国定公園に指定され、東側は南北にわたり丘陵地(山林)となっており、豊かな自然に恵まれています。

村の人口は11,005人、世帯数は5,295世帯(2019年3月末現在)となっており、リゾート施設周辺の飲食店や関連産業の立地に伴い増加傾向で、沖縄科学技術大学院大学(OIST)やリゾートホテルの増加により外国人も増加している状況です。

風光明媚な自然に恵まれ、穏やかな環境とともに観光リゾート地として成長し、海岸沿いを中心に96件の宿泊施設が立地し、年間延べ294万2千人の観光客が宿泊しています。それに伴い、産業別就業者数も第3次産業の割合が多くなっています。

2012年には、世界最高水準の研究実施と人材輩出を目指す沖縄科学技術大学院大学(OIST)が開学し、世界各国から約500人の学生・職員が従事しており、観光リゾート施設だけでなく、学術機能としてもグローバル化が進んでいます。

また、海ブドウ、モズク、アーサをはじめとする水産業、小菊を主力とする花卉類やパッションフルーツ、マンゴー、アテモヤなどの果樹類を中心とする農業なども盛んに行われています。特に、糸モズクや天皇杯を受賞した海ブドウの品質は高く、県外にも出荷されています。

2018年には村制施行110周年を迎え、SDGsによる持続可能な地域経済の活性化、地域の振興などを推進し、また、若者定住の促進、子育て環境の整備、教育環境の充実など地方創生の取組を推進しています。

アーサ畑風景

アーサ畑風景

文化情報センターの魅力

恩納村文化情報センターは、2015年4月に開館し、現在5年目を迎える図書館機能を備えた複合施設です。恩納村文化情報センターの特徴は観光情報を図書館サービスに取り入れた点にあり、特筆すべきは、入館者・貸出人数・貸出冊数ともに毎年増加しつづけていることです。1階には観光情報フロア、イベントや学習スペースに使える多目的ルーム、2階は海を見ながら読書ができる図書情報フロア、3階が展望室となっています。また、既存の博物館と廊下で繋がっており、図書館・博物館が一体となった活動をしています。博物館の1階は村史編さん室となっているので、博物館・村史編さん室と協力したレファレンス体制も整っています。

恩納村文化情報センター

恩納村文化情報センター

●観光フロア機能

観光情報フロアは観光客の情報ニーズに応える様々なコンテンツを用意しています。提供する情報には、事業者から寄せられるもののほか、住民と一緒に作り上げていくコンテンツ(キオクボード/キオクバンク)などもあり、観光情報誌には載らない写真や村の情報なども閲覧できます。

●図書館機能

図書情報フロアの閲覧室は、東シナ海のコバルトブルーの海を眺めながら読書ができる眺望が特徴です。一般図書や児童図書、視聴覚資料のほか、郷土書を活用した観光情報を提供しています。村内のホテルに対しては団体貸出制度を活用したミニライブラリー事業も行い、村内の利用者のみならず、観光客も本を借りることが可能なため、県外の方の利用登録も多くなっています。

自慢の海が広がる読書スペース

自慢の海が広がる読書スペース

また、恩納村ならではの立地を活かしたイベントも好評です。

『サンセットウィーク』では「閉館時間は夕陽が沈むとき」をキャッチフレーズに、通常平日19時、土日17時の閉館時間を「夕陽が沈みきるまで」としています。夏場は20時ごろまで明るいので綺麗な夕日を楽しみながら普段より少しだけ長く滞在できるようになっています。『海辺のナイトシネマ』では文化情報センターの目の前、海のそばの遊歩道に大きなスクリーンを立てて映画上映会を行います。潮風のここちよさや海の匂いを感じながら夕焼けとともに映画を鑑賞します。また館内で楽器の演奏を楽しむ『ライブラリーコンサート』なども行っています。

潮風を感じながら映画を楽しめる「海辺のナイトシネマ」

潮風を感じながら映画を楽しめる「海辺のナイトシネマ」

●サンゴの村宣言関連の取組

後述する「サンゴの村宣言」と関連した事業として、サンゴの絵本作りやかるた作りにも取り組んでいます。サンゴに関する学習をセットにした講座で、出来上がった作品は製本や製品化することによって広く流通し、恩納村の取組を知っていただくことに役立っています。

文化情報センターで行う観光情報提供サービスの特徴は、単に観光客向けの情報を扱うのではなく、住民にとって有益な情報を観光客に提供するというところにあります。観光スポットや遊びの情報以外にも文化や歴史風土、芸能や文学など様々な角度から村や沖縄を知ってもらうことを心がけています。住民のために行うサービスが結果として観光サービスにもつながるというイメージです。

村の魅力を村民とともに発見し、情報を蓄積し、訪れる観光客に伝える情報センターとして、村の情報収集・情報発信拠点施設としての役割を担っています。

シンカプロジェクト

若い農業者の就農や遊休農地の有効活用など農業の新たな取組として、日本一のレタス産地である長野県川上村との農業技術交流によるレタス栽培「シンカプロジェクト」に取り組んでいます。恩納村を訪れていただいたみなさまに、地元産の安全・安心なレタスを提供し、おもてなしをしたいと考えています。

恩納村と長野県川上村とは30年来の交流があり、2016年度には友好姉妹都市提携を締結しました。川上村の夏場の気候と恩納村の冬場の気候が似ているため、レタスを通して農業技術交流ができないかと始まったのが「シンカプロジェクト」です。「シンカ」とは、沖縄の方言で仲間を意味する「シンカヌチャー」に由来しています。これまで、恩納村ではパッションフルーツやアテモヤの果樹のほか、小ギク、切葉、観葉の花卉類やサトウキビなどを栽培していましたが、レタス栽培は行っていませんでした。レタス等の生鮮野菜を栽培することは、農地の有効活用や農業の効率化のために有効ですが、野菜栽培の技術や経験が少なく恩納村としては大きな課題でした。

まず始めに取り組んだのが土壌作りです。恩納村の土壌は沖縄県特有の赤土の酸性土壌であるため、野菜づくりには適していません。そこで、川上村シンカプロジェクト代表である、遠藤喜幸氏(川上村農家)の指導の下、土壌改良剤等を投入し試行錯誤を重ね、レタス栽培に適した土壌までPH(6.5~7.0)を調整することができました。次に、定植から出荷までの栽培を行っていく過程において、有害鳥獣であるタイワンシロガシラに食べられたり、糞を落とされたりする被害があったため、捕獲箱や凧及び防鳥ネットを設置する対策を行ってきました。苗作りからレタス栽培工程等については、11~2月の期間中、川上村から農家の方に来沖していただき、丁寧な技術指導により良品なレタスを栽培することに成功しました。

試験栽培を経て本格的に恩納村レタス研究会を立ち上げ、農家が栽培を開始してから3年目を迎えますが、徐々に秀品なレタスが安定的に栽培できるようになっています。今後の課題として、村内での地産地消が十分に浸透していない状況であるため、現在取引を行っている仲卸業者や量販店の協力を得ながら安定した販路を確保するとともに、リゾートホテル等地域で需要の高い生鮮野菜などの高付加価値品目への転換を図り、農業を活性化させたいと考えています。

レタス収穫体験をする子どもたち

レタス収穫体験をする子どもたち

イベントでレタス販売

イベントでレタス販売

サンゴの村宣言

本村の最大の特徴は、サンゴ礁海域をはじめとする恵まれた自然環境であり、この自然環境のあり方が本村の衰退に関わるといえます。しかし、近年はオニヒトデの大量発生、赤土等の流出、海水温の上昇によるサンゴ白化現象等により、サンゴ礁が減少している状況です。

そのため、村民一人ひとりの自然環境に対する意識の向上を図り、本村の豊かな自然環境の保存と育成を行い、地域資源を活かした「恩納ブランド」の確立に向けた「サンゴの村宣言」プロジェクトに取り組むこととしました。

「サンゴの村宣言」ロゴ

「サンゴの村宣言」ロゴ

2017年度から事業に取り組み、ロゴマーク・キャラクターの公募、キックオフイベントの開催、庁内プロジェクトチームや恩納村サンゴ礁保全再生活動地域協議会を設立し、2018年7月21日の「第35回うんなまつり」で宣言しました。セレモニーにはオリジナルキャラクターの「Sunna(さんな)ちゃん」が登場し、子どもたちと一緒にセレモニーを盛り上げました。

「サンゴの村宣言」キャラクター

宣言セレモニーで子どもたちとSunnaちゃんがダンス

宣言セレモニーで子どもたちとSunnaちゃんがダンス

宣言に伴い、「サンゴのむらづくりに向けた行動計画」を策定し、サンゴに関するオリジナルの絵本とカルタを作成、小中学校の総合的な学習の時間でのサンゴに関する学習・観察会の開催、3月5日のサンゴの日にはサンゴの苗植え付け・グリーンベルト植え付け・ビーチクリーンを実施し、村内外から多くの方が参加しました。

また、恩納村コープサンゴの森連絡会や日本UNEP協会とパートナーシップ協定を締結し、より一層の連携を図り、SDGsによる様々な取組が推進されるものと期待しています。

今後の具体的な取組として、環境税(持続的なむらづくり推進税)、ローカル認証制度、Green Fins(グリーンフィンズ)の導入など、観光・消費活動が環境保全につながる仕組みを導入し、自然環境負荷の小さな観光スタイルの創出や観光客への啓蒙を行い、本村の観光の高付加価値化・ブランディングに結びつくような有機的なつながりを構築していくこととしています。これにより一次産業から三次産業まで村民各々の個性に合わせた雇用を生むことができ、「誰ひとり取り残さない」村民全員参加型社会を実現し、住民が自己実現できるだけでなく、格差解消に向けた積極的な打ち手になると考えています。

グリーンベルト植え付けの様子

グリーンベルト植え付けの様子

おわりに

現在の好調な観光産業により、恩納村は沖縄県を代表する観光リゾート地として発展し、多くの観光客で賑わいを見せている一方、少子高齢化が進み若年層の減少が顕著となっています。「サンゴの村宣言」プロジェクトにより、農水産業と観光産業が連携し、付加価値の高い雇用を生み、若者世代が住みやすく子育てしやすい、持続可能なサービスが集積したむらづくりを目指していきたいと考えています。