ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村の取組 > 山口県平生町/ふるさとの美しい自然と歴史を受け継ぎ、明るく住みよいまちづくりを

山口県平生町/ふるさとの美しい自然と歴史を受け継ぎ、明るく住みよいまちづくりを

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年8月7日
「大星山サイクルフェスタinひらお」のゴール地点の写真

「大星山サイクルフェスタinひらお」のゴール地点(大星山山頂から望む瀬戸内海の島々)


山口県平生町

3009号(2017年08月07日)  平生町長 山田 健一


平生町の概要

本町は、本州最西端山口県の東南部、室津半島の西側で瀬戸内海に位置しており、年間を通じて雨の少ない、瀬戸内海性気候の温暖な町です。  

この地に人々が住みついたのは縄文時代中期(約4千5百年前)で、町内には、広島県・山口県では最大の前方後円墳や、全国的にも珍しい女王を葬った古墳、瀬戸内地方で最大規模の縄文時代の遺跡も発掘されています。

また、日本の初代天皇とされる「神武天皇」が立ち寄られたという伝説が残る箕山(みやま) や、聖徳太子の御尊父である用明天皇により建立された「神峰山 般若寺」など、歴史上の重要人物にまつわる史跡も数多く残されていることから、古代より、安住の地であったことをうかがい知ることができます。

現在、人口は、約1万3千人弱。その約4割を高齢者が占め、年少人口は約1割と、全国的にも早いペースで少子高齢化が進んでいます。

一方、健康寿命が山口県内第1位、住民アンケートでは、6割以上の人が子育て環境に満足、7割以上の人が住み良さに満足(※)と回答しており、健康で安心して長生きできる町です。(※平成26年まちづくりアンケート結果より)

また、平成24年には、近隣自治体である岩国市に、日本で2番目の軍民共用空港として「岩国錦帯橋空港」が開港しました。本町から東京までの時間距離が、約5時間から約2時間30分に短縮されたことで交通アクセスも大幅に向上、都市部からのさらなる観光需要の高まりや、移住・定住促進も期待されているところです。  

このような状況を背景に、全国的な地方創生の動きも相まって、平成27年、「平生町未来戦略」を策定。現在、人口減少を克服するとともに将来にわたって活力ある地域社会を実現するため、様々な取組を進めています。

さて、本町には、昭和60年に制定した、「平生町民憲章」があります。今回は、この町民憲章に沿って、本町の取組をご紹介します。

平生町民憲章

自然を大切にし 環境をととのえ 美しいまちをつくります

本町を訪れる際、まず目に留まるのは山稜に連なる7基の真っ白な風力発電用風車。本町の風土等を活かし、平成16年に1基、平成21年に6基が民間事業者により設置され、町のシンボル的存在となっています。

「室津半島」の山稜に連なる風力発電施設の写真

「室津半島」の山稜に連なる風力発電施設

さらに、近年はメガソーラーが設置されるなど、環境負荷の低い再生可能エネルギーの普及促進が進んでいます。

メガソーラー(太陽光発電施設)の写真

メガソーラー(太陽光発電施設)

また、昭和50年代初頭から、有機農法等による環境保全型農業を進めてきました。害虫の天敵を導入することで農薬散布を極限まで減らし、アルギット(海草)などの有機肥料を施して育てた安全・安心の「アルギットみかん」は、濃厚な甘みが特徴で、現在も、みかんはもちろん、「アルギットみかん」の100%ジュースなどの加工品とともに町の特産品として愛されています。

平生町農産物の写真

平生町農産物

このほか、町内産の農海産物などを販売する「ひらお特産品センター」は、平成10年、都市と農村の交流を図り、地域の活性化の拠点とすることを目的に町が建設・運営を始め、平成17年から指定管理者制度を導入、現在は民間事業者が農薬や化学肥料の使用の有無等により野菜に三ツ星制度を導入して、町内産の安全・安心・新鮮な野菜を提供しています。

スポーツに親しみ きまりを守り健やかなまちをつくります

本町には、半世紀以上にわたり毎年行っているスポーツイベントがあります。「平生町駅伝競走大会」はその一つで、町内の小中学生から地元企業、近年では地域コミュニティ組織での参加もあり、生涯を通じてスポーツに親しむ取組を行っています。

また、過去には「永大産業サッカー部」という当時の日本サッカーリーグ(JSL)、現在のJリーグに相当するサッカーチームが存在しました。昭和47年に創部し、わずか2年でJSLに昇格、翌年には天皇杯サッカー選手権準優勝、昭和52年に廃部という「伝説のサッカーチーム」です。

永大産業サッカー部の偉業について執筆された本の画像

永大産業サッカー部の偉業について執筆された本

廃部後は、選手の一部が指導者としてサッカー文化を育み、Jリーガーなど多くの選手を輩出しています。現在は、サッカーを「我がまちスポーツ」として根付かせ、育成することで、地域スポーツの振興と地域交流を推進すべく、プロサッカー選手を招いたサッカー教室などを開催しています。

「レノファ山口」の選手を講師に迎えたサッカー教室の写真

プロサッカーチーム「レノファ山口」の選手を講師に迎えたサッカー教室

さらに近年では、本町の地形やインフラを活かした「大星山サイクルフェスタinひらお」や「HIRAO風緑マラソン」などの、民間主導のスポーツイベントも行われるようになり、スポーツ・ツーリズムによる観光振興の取組も増えています。

思いやりと 感謝の心をもち温かいまちをつくります

地域では、「おたがいさま」の精神で、多くの町民がボランティア活動や地域活動に参画し、高齢者への支援、子育て支援、学校と連携した教育支援を行っています。

その一例が、「年越しそば配食事業」です。平生町社会福祉協議会を中心に、配食ボランティアを募り、大人のみならず小学校・高等学校の生徒も一緒になって、毎年12月31日にお年寄りの単身世帯に年越しそばを届けています。この活動に携わった小学生の一人は、その後も地域や海外でのボランティア活動を継続、その活動が高く評価され、平成27年に第19回ボランティア・スピリット賞(アワード)(※)を受賞した6団体6名のうちの一人に選ばれました。

勤労をとうとび 活力にみちた豊かなまちをつくります

現在の町の中心部は、江戸時代まで海でした。当時、この地域を治めていた大野毛利氏が行った平生開作により、堤防によって海水が堰き止められ、広大な140haの干拓地(現在の平生町中心部の平生平野)が生まれました。この時、海面よりも低い開作地への海水の侵入を防ぎ雨水を排除するため、当時としては最新技術といわれるオランダ技法を用いて造られた「土手町南蛮樋(なんばんひ)」は、近年の河川改修工事により惜しまれつつ解体されましたが、平成28年には改修後の河川の横に移築復元しました。現在は、町の歴史を後世に伝えるシンボルとして、新たな観光資源となっています。

土手町南蛮樋の写真

移築復元された「土手町南蛮樋」

このような、先人の方々の開拓精神とたゆまぬ努力により築かれた平野部には、通勤・通学に便利なことから住宅地や商業地が密集し、サービス業を中心とする産業が発展しています。  

また、国際貿易港「平生港」があり、工業団地には、木材加工や金属加工などの関連企業が進出しています。

一方、豊かな瀬戸内海に面した本町では古くから漁業が盛んでしたが、戦後の高度経済成長期を経て、過疎化と高齢化による後継者不足により、その伝統の継承が危惧されています。このような状況の中、近年、Uターンした若者による水産業の復活に挑む事業者も見られるようになり、ストーリー性のある水産加工品開発や、未利用資源の製品化などにより競争力の高い商品開発が行われています。開発された新商品は、全国各地から寄せられる平生町へのご寄附(ふるさと納税)に対する町からのお礼の品として提供しており、多くの方々に喜ばれています。

イワシの魚醤の写真

イタリアの伝統調味料を再現したイワシの魚醤(瀬戸内コラトゥーラ)

加工された瀬戸内海産のいりこの写真

こだわりの伝統製法で加工された瀬戸内海産のいりこ

また、この瀬戸内海には世界最小のクジラ「スナメリ」が生息し、本町の有人離島「佐合島(さごうじま)」は瀬戸内海国立公園に指定されるなど、美しい海は観光資源としても注目が高まっています。近年、Iターン移住者によって起業された、シーカヤックの体験ツアーや、子どもが生きる術を学ぶ冒険学校なども始まり、新たな観光産業として期待されています。

スナメリウォッチングツアーの写真

シーカヤックによるスナメリウォッチングツアー

文化を創造し 若い力を育て伸びゆくまちをつくります

教育分野においては、「子どもは地域の宝」という考えにより、学校・家庭・地域の連携による取組が各地区や団体、学校PTAなどで行われてきました。平成23年度、これらの団体が連携する「平生町地域協育ネット運営委員会」が発足し、町ぐるみで子どもを見守り育てる取組を推進しています。その主な活動として、地域住民のボランティアによる学校支援活動や、放課後子ども教室、放課後児童クラブの運営などが行われており、この取組が評価され、「平成25年度優れた「地域による学校支援活動」推進にかかる文部科学大臣表彰」を受賞しました。  

このように、地域住民との関わりの中で育まれた子どもたちは、この町が「ふるさと」となり、この美しい自然と歴史を受け継ぎ、将来にわたって明るく住みよいまちづくりを担ってくれることと確信しています。

以上、ご紹介した取組を含め、現在、平成24年に制定した「平生町参加と協働のまちづくり条例」に基づき、住民・各種団体・事業者・行政が一丸となって課題を克服しながら邁進しているところです。

おわりに、平成12年に発足した「ひらおファンクラブ」についてご紹介します。この会は、町の情報を広く共有しながら会員相互の交流を図ることで町の発展に寄与することを目的としており、現在約130名の会員が全国各地にいらっしゃいます。平成24年度からは、SNS(フェイスブック)による情報発信を行っており、この度ご紹介した取組についても詳細に紹介していますので、ぜひご覧ください。そして、平生町のファンになっていただいた際には、

『ぜひ、平生町へおいでませ! 』

ひらおファンクラブフェイスブックページのカバー画像

ひらおファンクラブフェイスブックページのカバー画像

ひらおファンクラブロゴマークの画像

ひらおファンクラブロゴマーク

※「ボランティア・スピリット賞」とは、米国最大級の金融サービス機関プルデンシャル・ファイナンシャルが95年からアメリカにて開始した青少年を対象としたボランティアを支援する制度です。現在はアメリカ、日本、韓国、台湾、アイルランド、インド、中国、ブラジル、ポーランドで表彰式が開催され、それぞれの国からボランティア大使が選出されています。