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埼玉県滑川町/愛ふるタウンから住まいるタウンへ 子育てナンバーワンを目指して!!

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年4月17日
郡内を一望できる二ノ宮山の写真

郡内を一望できる二ノ宮山は自然散策も楽しめる憩いの場となっている


埼玉県滑川町

2997号(2017年4月17日)  滑川町長 吉田 昇


滑川町の概要

滑川町は、埼玉県の中央部、首都60㎞圏内に位置し、町内には今なお多くの緑が残る首都圏のオアシスとなっています。東西約4.8㎞、南北7.2㎞、面積29.68㎢、全域の60%がなだらかな丘陵地からなり、北東部には、明治100年記念事業の一環で昭和49年に日本最初の国営公園として開園した国営武蔵丘陵森林公園が広がっています。町の中央を、町名の由来ともなっている一級河川の滑川、南部を市野川、北部を和田川が流れています。  

交通は、首都圏の主要鉄道である東武東上線の森林公園駅、つきのわ駅の2駅があり、東京都心まで約1時間で通勤・通学ができる利便性に優れ、町の大きな魅力の1つとなっています。また、関越自動車道のICからも近く、各地へのアクセスは良好で、今後一層の発展が期待されています。近年は、2つの駅周辺の住宅開発が進み、5年間で約1,000人以上の人口が増加しています。特に若い世代の転入が多く、合計特殊出生率でも常に上位となり、将来を展望するのに喜ばしい状況が続いています。

国指定天然記念物ミヤコタナゴが棲すめる町

なだらかな丘陵地の里山の間に、田んぼが並び、その奥にはため池(沼)があり、里山と田んぼとため池がセットになった「谷津(やつ)」の風景が今でも残されています。稲作を行うために必要不可欠なため池ですが、町内にはかんがい用水として関東一の数を誇る、大小合わせて200以上のため池が点在しています。かつては暮らしの生命線、今では町の貴重な財産となっています。ため池の水を利用する家々が共同で行ったのが沼普請(水漏れを防ぐ補修作業)で、ため池にミヤコタナゴが生息していたのも、定期的な沼普請のたまものであると言われています。  

ミヤコタナゴは日本固有の淡水魚で、古来より関東地方の小川などに広く生息していましたが、都市化に伴う環境の変化により現在は絶滅が危ぶまれる中、昭和61年に町内の農業用ため池で相次いでその生息が確認されました。昭和49年には国の天然記念物に指定され、本町では平成8年に町の魚に制定しました。3月末から8月初旬までの産卵期を迎えると、雄は朱赤を基調とした美しい婚姻色が見られ、雌の腹部からは産卵のための透明な管が現れます。

ミヤコタナゴの人工繁殖やその生態に関する調査・研究など、野生復帰の実現に向けた取組を行うため、平成12年にエコミュージアムセンターを竣工し、現在は、約4,000匹を飼育しています。今では、町の自然や文化をまるごと博物館に見立て、活用するための拠点施設として町内外の多くの皆様に親しまれています。本町ではミヤコタナゴがいつまでも棲める環境を目指し、自然と共存できる町づくりを進めています。

ミヤコタナゴの写真

国指定天然記念物ミヤコタナゴ

町のマスコットキャラクターで妖精の「ターナちゃん」も、このミヤコタナゴをモチーフにしています。町の魅力とミヤコタナゴを多くの人にアピールするために生まれてきた女の子。ターナちゃんの役割は、町の清らかな水(川や池)を守ること。体の前にある「秘密のポシェット」には、草花の種子のほかに、子どもたちの夢と希望を与える種子がいっぱい入っています。町一番の人気者となっています。

ターナちゃんの写真

町のマスコットキャラクター「ターナちゃん」は町一番の人気者

愛ふるタウンから住まいるタウンへ

平成13年に策定した15年間計画の第4次総合振興計画では、「愛ふるタウンづくり」をテーマに施策を進め、農村地域から大きく脱却を図り、人と自然が共生する町へと変貌を遂げてきました。現在は、平成28年策定の第5次総合振興計画により「住まいるタウンづくり」をテーマに推進しています。  

この間、町の南側を東西に横断している関越自動車道の東松山ICや嵐山小川ICを身近に利用することができます。平成14年には森林公園駅に加えて、つきのわ駅が開設しました。平成25年には、東武東上線がこれまでの地下鉄有楽町線、地下鉄副都心線に加え、東急東横線、横浜高速みなとみらい線とも相互直通運転を開始したことにより、首都圏への交通の利便性は一層向上しました。また、羽田空港や成田空港への高速バスも発着するなど、全国、世界へと開く重要なアクセス拠点となっています。

つきのわ駅の写真

子育て支援日本一を目指して(つきのわ駅)

特に、土地区画整理事業では、平成12年に森林公園駅の南側に22.3haの「みなみ野」地区が誕生し、平成21年には、東上沿線で一番新しい駅となるつきのわ駅を中心として94.4haが完成しました。住宅地や道路、公園、商業施設が整えられ、大手不動産会社をはじめとした住宅販売が好調で、人口が急増しています。30年前には見渡す限り雑木林だった地域がすっかり様変わりし、新しい町並みが出現しました。町の人口も約8,000人増加し、今でも毎年200人以上の新住民が誕生しています。多くの子育て世代の転入や出生により、平成22年には新しく月の輪小学校を開校しました。

また、町内には商店街がなかったことから、住民は買い物のほとんどを近隣市町村に依存していました。住民アンケート調査でも、町内で買い物ができる環境を整えて欲しいという要望が常に1位となっていました。そこで、様々な施策を検討し、町の中央部に8.9haの開発面積を確保、大型商業施設の誘致を進め、ついに平成18年に滑川森林モールとして待望のオープンを迎えることができました。現在は、大型スーパー、ホームセンター、有名書店、人気コーヒーショップ、レストランなど、日常生活で必要となるものを町内でまかなえるようになり、住民の生活環境の向上が一段と図られています。

住宅地に整備された公園の写真

住宅地に整備された公園

子育てナンバーワンを目指して

福祉にかかる予算は、毎年、増加の一途をたどっており、厳しいものがありますが、子育て世代の転入や核家族化が一段と進んでいる今、将来の町を担う宝物である子どもたちを社会全体で応援していこうと、子育て支援を町の重要施策に位置づけて取り組んできました。  

全国に先駆けて給食費の無償化を実施

子育て世代から町づくりの高い評価を得ていることから、若年者の転入が増加しています。より子育てしやすい環境を目指して、平成23年度から私立を含めた幼稚園及び小学校、中学校、認可・認可外保育園などに通う全ての子どもたちの給食費を無償化にしました。全国的に給食費の滞納が問題化している中、国の施策を先取りしたこの事業は、町内外から大きな注目を集め、国会の審議の中でも取り上げられています。

給食風景の写真

給食費無償化(給食風景)

高校生までの医療費の無料化を実現

子育て世帯の経済的負担を軽減するために取り組んできたのが、子どもの医療費を無料化することでした。対象年齢の段階的な引き上げを行い、平成16年度からは小学校3年生まで、平成18年度からは小学校6年生まで、平成20年度からは中学校3年生まで、そして平成23年度からは現在の高校3年生までの通院・入院の全ての医療費を無料化し、医療機関窓口払いも廃止しています。お金を持たずに安心して、早期に受診できるようになり、病状が長期化しないなど、多くの保護者から感謝の声が聞かれています。

検診風景の写真

医療費無料化(検診風景)

子育て支援金の給付

合計特殊出生率では、県内で常にトップクラスとなっており、出生率の維持、向上を目的に平成15年度より出産祝金の支給を制度化し、子育て世代を応援しています。本年度、長期的な町づくりの観点から制度を一部見直し、引き続き安心して出産に臨んでもらえるように、第3子以降の出生時、小学校入学時、中学校入学時の成長段階に合わせ、3回に分けて総額15万円をお贈りし、長期間にわたり経済的な支援を行っています。

健康で長寿な町づくりを目指して

高齢化が進む中、福祉計画や介護計画を策定していく中で、町の医療費の支出を精査したところ、国民健康保険や介護給付費に係る財政支出が急増していることが判明しました。町の財政基盤を安定させるためには、将来的な医療費負担の上昇をどう抑制していくかが重要なポイント、鍵となると予想し、町の重要施策の柱に追加しました。 

本町は平成24年度に「滑川町健康づくり行動宣言」を行い、健康づくり行動計画を策定してきました。「自分の健康は自分でつくる」ことを基本理念に、病気の発症を防ぎ健康を保持増進する「1次予防」、病気を早期に発見し、早期に対応する「2次予防」、病気や障害の進行を防ぐ「3次予防」まで、総合的な取組を実施しています。

行動宣言では、①食生活を見直し、運動に親しみ、元気な身体をつくります。②禁煙や生活習慣など、家族みんなで健康について話し合います。③健康診査を毎年受け、自分の身体の健康を考えます。④仕事や家事の手を休め、心とゆとりをつくります。⑤元気な地域づくりを目指します。⑥人と自然とが共生した、みんなが住みよい環境を作ります。―を提唱しています。

町では、地域ごとに健康づくりグループの設立を呼び掛け、認定を受けたグループには、活動を支援するための補助金交付、運動や食に関する相談受付などグループの活動を積極的に応援しています。

マレットゴルフの写真

高齢者支援(マレットゴルフ)

ラジオ体操の写真

健康づくり(ラジオ体操)

将来の町のために

町は、住民に一番身近な基礎自治体としての責務をしっかりと果たし、真の地方分権を実現すると共に、新しい時代にふさわしい地方自治の確立と住民福祉の向上を図っていくために、今後も一層「町民と共感した町づくり」に取り組んでいかなければなりません。

この緑溢れる「ふるさと滑川」を後世に伝え、誰もが、生まれてよかった、住んでよかった、ずっと住み続けたいと思える魅力ある町づくりを目指します。