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埼玉県杉戸町/開宿400年、今と昔がつながる時~日光街道杉戸宿開宿400年プロジェクト~

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年8月29日
第1回杉戸宿宿場まつりにて風船を打ち上げる様子の写真

杉戸宿開宿400年への思いを風船に込めて(第1回杉戸宿宿場まつり)


埼玉県杉戸町

2971号(2016年8月29日)  杉戸町 商工観光課


杉戸町の概要

杉戸町は埼玉県東部に位置し、首都圏40㎞圏内にありながら、自然と都市が調和した田園都市であり、人口46,064人、世帯数18,689戸(平成28年4月1日現在)と県内で最も人口の多い町です。

東西に10㎞、南北に7㎞、面積30.03k㎡で、東側は江戸川を隔てて千葉県に、南は春日部市に、西は大落古利根川を隔てて宮代町と久喜市に、北は幸手市にそれぞれ境を接しています。

杉戸町には、江戸時代五街道のひとつである日光街道の江戸から数えて5番目の宿場として、「杉戸宿」が設置されました。当時の杉戸宿には、大名などの有力者が泊まる本陣や脇本陣、一般庶民も泊まる旅籠などが建ち並び、荷物の運搬等のための「問屋場」も置かれていました。現在でも日光街道沿いには当時の面影を残す蔵や建物が残り、県内外から宿場を巡る観光客も多く訪れます。

開宿400年を契機としたプロジェクト

杉戸宿は、江戸幕府により1616年に日光街道に設置され、2016年(平成28年)に、開宿400年を迎えました。杉戸町・杉戸町観光協会・杉戸町商工会は、開宿400年を契機に、杉戸町の原点を再確認し、交流人口の増加、観光客誘致による中心市街地の商業活性化、郷土の歴史に対する町民の理解と誇りの醸成、並びに杉戸町らしさの確立と魅力発信のための施策「杉戸宿開宿400年プロジェクト」を進めています。

「杉戸宿開宿400年プロジェクト」の推進体制は、町内の商工業関係者、教育機関、住民団体、交通機関等により構成された「杉戸宿開宿400年プロジェクト会議」、さらに、プロジェクト会議で決定された各種事業を行う作業部会として「にぎわい部会」、「古民家再生・活用部会」、「プロモーション推進部会」、「食資源開発部会」があり、それぞれが連携しながら事業を進めています。

杉戸宿開宿400年プロジェクト会議の様子の写真

杉戸宿開宿400年プロジェクト会議の様子

これまでの取組と内容

(1)杉戸を紹介する冊子の作成

杉戸宿を活用した取組は、平成25年度から始まっており、平成25年には、住民参加型の「杉戸宿魅力再発見ワークショップ」を実施し、「日光街道杉戸宿 宿場めぐりマップ」を作成しました。また、ワークショップでのご意見の中に「日光街道沿いに案内看板や道しるべを設置してはどうか」という提案があり、案内看板のデザインや設置位置、パンフレット類作成のための資源調査などを行いました。

平成26年には総合案内板を2か所設置。さらに、現存する史跡等の詳細を記載した「杉戸宿まち歩きガイドブック」を作成しました。平成28年には町内のみどころや、グルメを紹介する「るるぶ杉戸」を発行し、また、今後見込まれる外国人観光客向けの英語版・中国語版のまち歩きガイドブックの発行、ガイドブックに合わせた道標及び高札(観光案内板)を整備するなど、ハード・ソフト両面から観光客増加を目的として作成しました。

(2)「杉戸宿案内人の会」の発足と杉戸宿めぐりの開始

「杉戸宿の歴史を多くの人に知ってもらい、杉戸の魅力を再発見してほしい」という考えから、平成25年度杉戸宿観光案内ボランティアガイド養成講座を開催し、認定試験に合格した10名によって「杉戸宿案内人の会」が発足しました。

杉戸宿案内人の会は、平成26年4月より町の観光資源である「杉戸宿」を案内する「杉戸宿めぐり」(事前申し込み必要)を開催し、現在では、14名(平成28年4月1日現在)がこの杉戸宿案内人として、活動しています。

参加者数は開始した平成26年度では398名でありましたが、平成27年度には640名と増加しており、町外からの参加者が約7割を占めています。

杉戸宿めぐりの様子の写真

杉戸宿めぐり

(3)杉戸宿新グルメの創出

杉戸宿を活用した取組が、町の商業活性化につながるよう、「杉戸宿のブランディング」を進めるプロジェクトも始めました。

その一つとして平成26年11月には、杉戸町の歴史や食文化をテーマに、新たな「杉戸宿グルメ」の創出を目的とし、町内の食品関係業者によって構成される「食資源開発部会」が発足しました。部会では江戸時代、本陣などで振る舞われたと古文書に記載があった「たまごふわふわ」(※現在静岡県袋井市が商標登録をしているため、杉戸町では「たまふわ」と表現する。)や、昔から杉戸でよく食べられていた「八つ頭」を埼玉県が品種改良し、開発した「丸系八つ頭」に着目し、美食プロデューサー小松美貴子氏監修のもと、試作開発や試食会を行いました。また、この「たまふわ」をテーマに、埼玉県立杉戸農業高校食品流通科の生徒に協力していただき、「たまふわ」の創作料理の研究開発を行い、町内事業者への試食会や、アドバイスなどを行いながら商品化を目指しました。

これらの取組の結果として、平成27年9月に「まちの駅・道の駅アグリパークゆめすぎと」にて「金ゴマ入りたまふわミルクセーキ」、平成28年1月に「杉戸天然温泉 雅楽の湯」にて「たまふわ杉農カレーうどん」、同3月に「アトリエ ル・ミュゲ」にて「ふわとろたまふわプリン」、「たまふわクリームシフォン」の商品化が実現しました。今後も、杉戸宿新グルメの取組は継続して進めていきます。

たまふわ杉農カレーうどんの写真

たまふわ杉農カレーうどん

金ゴマ入りたまふわミルクセーキの写真

金ゴマ入りたまふわミルクセーキ

たまふわクリームシフォンの写真

たまふわクリームシフォン

ふわとろたまふわプリンの写真

ふわとろたまふわプリン

(4)第1回杉戸宿宿場まつりの開催

このように、杉戸宿めぐりを活用した観光客の誘致は、少しずつ広がりを見せてきましたが、「杉戸町」=「杉戸宿」の認知度はまだまだ低く、「宿場めぐり」等に興味のある中高年層のみではなく、若年層にも認知・来訪してもらうため、平成27年12月6日(日)に杉戸宿開宿400年プレイベント「第1回杉戸宿宿場まつり」を開催し、町内外にPRを行いました。宿場まつりの実施にあたり、住民参加型のイベントとするため、町内業者や民間団体、一般公募者などから構成された検討・実施組織である「にぎわい部会」が平成27年7月に発足し、各々のアイデアや視察した祭りなどからヒントを得て企画を行い、部会員は当日のスタッフとしても活動しました。

宿場まつりでは、旧日光街道沿いを会場とし、商工物産の模擬店、フリーマーケット、ステージイベント、杉戸宿新グルメの金ゴマ入りたまふわミルクセーキの無料配布など、幅広い年齢層をターゲットとした試みを実施しました。

また、メインイベントとして、時代衣装を身に纏い、400年前の杉戸宿のにぎわいを連想させるような企画として「町人行列」を開催し、最後には杉戸宿開宿400年への思いを込め、来場者と399個の風船を空へ放ちました。

第1回杉戸宿宿場まつりは、来場者数12,000人と盛大に開催され、平成28年の本イベント「杉戸宿開宿400年宿場まつり」の開催も決定しました。

第1回杉戸宿宿場祭りの様子の写真

平成27年度実施した第1回杉戸宿宿場祭り

平成28年度の取組

杉戸宿開宿400年を契機とした取組は、開宿400年を迎える平成28年が集大成の年となりますが、主なソフト事業として10月30日(日)に開催を予定している「杉戸宿開宿400年宿場まつり」があります。

「杉戸宿開宿400年宿場まつり」では、当時の和装や甲冑など時代装束に身をまとった方々による行列なども予定しており、昨年よりも規模を大きくして、実施したいと考えております。

杉戸宿開宿400年を契機に、町内外に広く「杉戸町」をPRするため、町・観光協会共同で作成した「るるぶ杉戸」やフリーペーパー「スギトゴト」を活用するとともに、ホームページやフェイスブック、ツイッターなどのSNSによる広報を進めます。

パンフレットの写真

PR用に作成した「るるぶ杉戸」などのパンフレット

さらに、日光街道沿線の市町や東武鉄道とも連携し、PRを進めていきます。

その他にも、日光街道の埼玉県内にある、草加市、越谷市、春日部市、杉戸町、幸手市、旧栗橋町(久喜市)の六宿において、日光街道埼玉六宿連携スタンプラリーを、9月から12月に実施することを予定しております。

杉戸宿開宿400年への取組は、テレビや新聞など多くのメディアに取り上げられていますが、今後も、メディアを活用したPRにも力を入れ交流人口の増加につなげていきたいと考えております。

また、既存施設である流灯工房の1階を、観光案内所として活用し、町の観光や商工みやげ品等の紹介をおこなうとともに、町民の休憩や憩いの場としても活用していきます。

今後の課題と展望

これまでの取組は、杉戸宿案内人の実施する「宿場めぐり」を目的とした中高年層への認知度の向上や誘客には一定の効果がありますが、これを継続し、杉戸町に経済循環の仕組みを作ることが今後の課題となります。

また、杉戸宿開宿400年プロジェクトの財源は、国の交付金や町の補助が大半を占めており、今後は財源・人員の自立も必要不可欠です。その為には、プロジェクトの構成員等の理解はもちろん、ハード・ソフト両面で整備してきた資源を有効活用していく事が大切となってきています。

観光事業において「経済効果を生む」ためには、杉戸町に来てもらうきっかけを作り、「食」、「体験」、「宿泊」などの多角的なアプローチから、長時間滞在してもらう必要があります。

これまでの取組の中から、効果検証を行い、ターゲット層を明確にするなど、現状をしっかりと把握し、プロジェクトを進めていく事が大切です。

今後は、行政主体のプロジェクトとならぬよう、町民が主体となり盛り上げていく取組とすることが重要であると考えています。