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宮崎県三股町/花と緑と水のまち

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年8月26日
上米公園の写真

都城盆地を一望できる上米公園。ソメイヨシノ500本が植えられている。例年3月下旬から4月上旬に見頃となり、夜はライトアップされる。


宮崎県三股町

2851号(2013年8月26日)  三股町長 木佐貫 辰生


三股町は、宮崎県の南西部に広がる都城盆地の東部に位置し、町の約72%が鰐塚山系に囲まれた平均標高250メートルの台地です。そして、九州山地の高峰、 高千穂の峰をはるか西に望み、東は鰐塚山、雪が峯、柳岳、東岳の4つの峰が連なる鰐塚山系に囲まれ、これらの山地を背景に平野が広がる中、 東西に大淀川の支流「沖水川」が貫流している自然豊かな土地柄です。町の人口は、平成25年7月1日現在で、25,286人となっており、県内で唯一人口が増加している町です。また、 15歳以下の年少人口の割合が16.2%と県内でもその割合は一番高くなっております。

歴史的には、明治2年、薩摩藩士で弱冠35歳の三島通庸公が都城の地頭として赴任し、三股建設の大事業を起こし、教育振興をもって開拓の大本としました。その頃、 荒涼とした原野であった山王原地区をこの地の麓と定め、縦横に大道路を建設し、そして近隣集落から70戸を移住させ、政庁と学校を建設しました。わずか2年の在任期間ではありましたが、 短日月に開拓整備したものは多く、三股発展の礎は三島通庸公にあるといっても過言ではないと言われています。そして、明治22年の村制施行により三股村、昭和23年に三股町となり、 今年で町制施行65周年を迎えます。

本町の基幹産業は、農畜産業であり、温和な気候と肥沃な土壌が生み出す農畜産物の品質は高く評価されております。肉用牛、ひな、サトイモ、ラッキョウ、 荒茶は全国1,800市町村の中でも100位以内に入る産出額を誇っています。特に肉用牛においては、平成24年10月に開催された「和牛のオリンピック」と呼ばれる第10回全国和牛能力共進会において、 本町の肥育牛が宮崎県代表として出品され、二大会連続で日本一を獲得するなど、高い実績を残しています。

福永透さんの受賞報告の写真

昨年の全国和牛能力共進会で見事日本一に輝いた福永透さんの受賞報告。

文教のまち

三股町には、小学校6校、中学校1校があり、昔から「文教のまち」と呼ばれています。藩政時代、薩摩藩に属していたこの地域では、 郷中教育と呼ばれる伝統的な教育が盛んに行われていました。郷中とは今でいう自治会組織のようなものです。その中で、年少者は年長者から武芸、学問のほか、 社会生活を送るために大切なことを学んできました。明治初期になり、三島通庸は郷中教育をさらに振興し、「礼儀を正しくせよ」などの教育が徹底されていました。 この精神を受け継いで三股町には独自の「あいさつ」があります。登校時には感謝の心をもって校門で一礼、授業前には心を落ち着けて黙想・座礼をします。また、無言清掃で学校を磨くとともに、 心を磨くことを学びます。また、毎月3の付く日を「みまたの日」と定めて、「みまたの日」には三股の文化・歴史などを給食時間に放送して郷土を愛するこころを育てています。 このように「あいさつ」「無言清掃」「郷土学習」など、「三股ならでは」の理念をもとに義務教育課程の9年間を通して、継続した一貫教育を行なっています。特に、郷土学習については、 未来を担う子どもたちに、ふるさとを想い、大切にする心を育てるため、伝統芸能を各学校で練習しています。地域の人々が学校を通して教えており、 子どもたちと地域の大人を結びつける役割を持っています。まさしくこれが学校と家庭・地域社会が連携して育てる「文教みまたの伝統教育」であると言えます。

平成22年11月24日、「文教みまた子どもサミット」が開催され、町内全児童生徒(約2,600名)が三股町の伝統について話し合いました。その結果、 文教三股の歴史と伝統をもとにした三股町児童生徒憲章が制定されました。 

町では、三股町児童生徒憲章をもとにして、文教みまたにふさわしい子どもを育てることで、人間性豊かな文教のまちづくりに取り組んでいます。 

また、最近は教育用コンピュータの更新、書画カメラや校務支援ソフトの導入など教育の情報化も進めています。 

そのほか、地域における創造的で文化的な表現活動のための環境づくりに特に功績のあった公立文化施設として、三股町立文化会館が財団法人地域創造による 「平成24年度地域創造大賞(総務大臣賞)」を県内で初めて受賞しました。平成13年の開館以来、劇団こふく劇場と連携し、「戯曲講座」「演劇ワークショップ・みまた座」「まちドラ」 「開館10周年記念演劇・おはよう、わが町」などを実施し、活力ある地域づくりに貢献したことが評価されました。ここにも、「文教のまち・みまた」の意気が受け継がれています。 

梶山棒踊りの写真

町には各地区に古くから伝わる棒踊りや奴踊りなどがあり、今も子どもたちへと継承されている。写真は梶山棒踊り。

9期生本公演の様子の写真

三股町立文化開館の長期人材育成事業として始まった、小学生から高校生による演劇ワークショップ「みまた座」。9期生本公演の様子。

アスリートタウンみまた

さらに、近年では、スポーツ振興にも力を入れており、生涯スポーツや競技スポーツ等、様々な面からスポーツ振興を図るため、平成22年度にスポーツ振興計画を策定しました。 町民一人一人が、健康で充実した生涯を送ることやスポーツ水準の向上を目的に、子どもも高齢者も、町民誰もが、それぞれの体力や年齢、身体、目的に応じて身近な地域で「いつでも、どこでも、 いつまでも」スポーツを楽しむことができるよう「“アスリートタウンみまた”の創造」をスローガンに掲げ取り組んでいます。特に、毎年夏に開催する「みまた町民総合スポーツ祭」では、 自治公民館対抗のソフトボールをはじめ、グラウンドゴルフ、パークゴルフ、卓球、テニスなど、計16種目を行い、千人を超える参加者が熱戦を繰り広げています。また、 誰でも参加できる持久走とウォーキングの大会として「チャレンジRUN&ウォーキング大会」も開催しています。持久走の部には、男子の部、女性の部、ファミリーの部など5つの部門を設定し、 それぞれにレースを開催、ウォーキングの部門では三股町の自然や景観を楽しみながら参加者全員が7キロメートルの道を歩きます。さらに、同時開催する「地区対抗駅伝」では、 9つの地区の小学生から一般までの代表選手が力走し、地域間および世代間の交流促進が図られています。 

ハード面においても、平成24年に10人立ちが可能な南九州でも有数の広さを誇る県産材をふんだんに使用した町弓道場を新設するなど、「アスリートタウン三股」の基盤づくりを進めています。 

町民総合スポーツ祭の様子の写真

ことしの町民総合スポーツ祭の様子(新弓道場にて)。

自立と協働で創る 元気なまち三股

平成の市町村合併が進められる中、本町は自主自立の道を選択しました。自立の道は決して平坦なものではなく、経済・産業の環境変化、価値観の多様化、 地方分権の進展や地方の財政状況の悪化など町政を取り巻く環境もまた著しく変化しています。このような社会環境の変化や町民の要望を踏まえ、さらに、より良い地域づくりのためには、 町民と行政、企業、各種団体などのさまざまな活動主体が互いに連携し、協働の意識をもつことが不可欠だと考えます。このようなことから、町では「自立と協働で創る、 元気なまち・みまた」を実現するため、町役場と町民がお互いに創意工夫しながら連携協力してまちづくりを行うルールとして「三股町まちづくり基本条例」を制定し、 平成25年6月から施行されました。現在も、町民一人一人がまちづくりの主役として、皆でつくる「まち」を目指してさまざまな活動をしています。

毎年7月には町内一斉の環境美化活動である「クリーンアップみまた」を実施しています。個人で参加される方のほか、ボランティア団体、各種民主団体、 スポーツ少年団などが参加し、町内を流れる沖水川の河川敷や公園のごみ拾いなど、各地域で清掃を行います。今年度も7月7日に開催し、67団体950名が参加し、 約5トンものごみが集められました。1回の清掃作業で、毎回数トンのごみが集められ、参加者はごみの多さに驚くとともに、力をあわせて取り組むことの大切さを感じる一日となります。 

「クリーンアップみまた」で清掃作業を行う参加者の皆さんの写真

「クリーンアップみまた」で清掃作業を行う参加者の皆さん。

また、町内には多くの自主活動グループやボランティアグループがあります。  

上米地区の20代から30代の若者を中心に構成される「上米棒踊り若武者会」は、 三股町の桜の名所である上米公園に冬にも“サクラ”を咲かそうと平成20年よりイルミネーションの設置を行なっています。「地域を盛り上げたい」という若者たちの一途な想いで始まったこの試みは、 地域の協力で徐々にイルミネーションが増え、輝きを増しています。 

子どもを狙った犯罪が増える中、学校のみならず、地域全体で子どもを見守り、安全を確保しようという動きは全国的にも広がりをみせる中、 勝岡小学校地区みまもり隊は平成17年に発足しました。以来、児童の登下校時の見守り活動を続けています。同地区から始まったこの活動は、現在、町内の小学校区全6校区で取り組まれており、 町内の防犯意識の高揚に役立っています。 

読み聞かせを通して地域の人々とのコミュニケーションを図ることを目的として結成された読み聞かせボランティアグループ「大きな木」や、 町の中心地である「みまたんえき(三股駅)」周辺地域に賑わいを再生させようと様々な想いをもって結集した有志たち(通称「えきにぎ」)、 独居高齢者や認知症高齢者を見守る近隣の商店や宅配サービス事業者、急な残業や保護者の病気など少しの間子どもをみててほしいという時などに住民同士で助け合う 「ファミリーサポートセンター」など、どのグループも互いに認め合い支えあう地域づくりに貢献しています。 

行政としましても、毎年、地区別、自治公民館別に町民の皆さんに集まってもらい、座談会を開催しています。町の重点施策、各事業概要の説明、地域の実情を把握しながら、 意見・提言を聴くことで、町民と行政が一体となったまちづくりに取り組むよう進めています。 

今後も「自立と協働で創る 元気なまち三股」をスローガンに、町民の皆さまとの対話・交流を行いながら、町民目線で町民参画のもと、町政に果敢に挑戦してまいります。 

子育て支援センターにて読み聞かせを行うボランティアグループ「大きな木」の写真

子育て支援センターにて読み聞かせを行うボランティアグループ「大きな木」

キャンドルナイト(ハート)みまたんえきの写真

三股駅周辺地域ににぎわいを再生させようと集結したグループ(通称「えきにぎ」)と公募したボランティアで創りあげた「キャンドルナイト(ハート)みまたんえき」。 昨年は8,000個のキャンドルに明かりがともった。