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山形県真室川町/光ネットワークで便利、安心・安全の町づくり 情報通信基盤の整備で豊かな生活環境を創造する

印刷用ページを表示する 掲載日:2008年11月3日
山形県真室川町の写真

山形県真室川町

2658号(2008年11月3日)
企画課


町の概要

真室川町は山形県の最北端、秋田県との県境に位置し、374.29平方kmの広大な面積を有し、その87.6%を山林が占める、人口9,740人(平成20年5月1日現在)の山村です。気象は、周囲の山岳の影響を受けて変わりやすく、年平均気温は10℃前後、年間降水量は3,000㎜前後となっています。また、根雪期間は12月中旬から4月上旬までの長期にわたり、最深積雪は271㎝を記録する豪雪地帯です。さらに、夏は盆地特有の高温多湿な気候条件下にあります。

68回を数える秋山スキー大会
68回を数える秋山スキー大会

これらの自然条件の中、先人によって生み出された民謡「真室川音頭」をはじめとする番楽、童歌等の伝承文化が数多く受け継がれてきています。

基幹産業は農業で、全国食味コンクールで5年連続金賞を受賞している米、全国トップレベルの品質と生産量を誇るタラの芽、原木なめこをはじめとする農作物は本町を代表する特産品として高い評価を受けています。

地域情報化の取り組み

本町の地域情報化への取り組みは、急速な情報通信技術の浸透により、社会のあらゆる分野でインターネットをはじめとする情報通信基盤が社会基盤として不可欠な要素となっていることから、第4次真室川町総合計画の基本構想"人がいてこその町づくり"、町民1人ひとりが町を愛し、協働・参画しながら英知と創意を集結し、みんなが生き甲斐と住みよさを実感できる町づくりを実現するために、情報の格差を少なくし、誰もが手軽に情報化の恩恵を受けられる環境づくりを行うため真室川町情報化計画を策定し、町民の意向を把握しながら段階的な整備を行ってきました。

平成14年度には地域インターネット導入促進基盤整備事業により、町中心部においてインターネットを通じて行政情報の提供や公共施設予約、伝承芸能・地域資源情報の発信を行う環境、平成16年度には地域イントラネット基盤施設整備事業及び情報通信システム整備促進事業により、地理情報システム(GIS)を基盤とした「総合行政情報システム」「教育学習情報システム」「福祉・医療情報システム」「防災情報提供システム」の各アプリケーションサービスの構築、学校間テレビ会議システムによる遠隔授業、本庁・出先機関間のテレビ電話による各種相談業務を行うため、地域公共ネットワークを総務省の支援を受けながら整備を行い、情報格差の是正に努めてきました。

真室川町情報通信基盤イメージ図
真室川町情報通信基盤イメージ図

しかしながら、家庭へのブロードバンド回線の普及は、民間電気通信事業者による町中心部の一部でADSLが使えるのみで、大半の地域はISDN回線による低速な通信しか行えず、町民の満足度も低く、企業活動においても支障をきたしていました。このような状況から、町民が電気通信事業者に対し、署名活動による要望活動を行いましたが、人口規模による採算性、山間地域の地理的悪条件により、民間電気通信事業者単独によるブロードバンド環境整備は望めない状況であり、都市部との情報通信格差の是正が大きな課題となっていました。

また、本町は過去に大規模な土砂災害が発生していますが、広大な面積、山間 地域という悪条件により防災行政無線の整備が行われておらず、災害・緊急時の連絡手段の整備、さらには難視聴対策として共同受信施設でテレビを受信している家庭が約2割あり、2011年に完全移行となる地上デジタル放送への対応も課題となっていました。

こうしたことから、町は平成19年度に地域公共ネットワークを活用し、町内全域に光ファイバー網を整備し、

  1. IRU方式により町内全域がブロードバンド環境を利活用できる環境を整備する
  2. メール・web技術による災害、緊急行政情報の連絡・確認システム及び避難場所指定地域及び携帯電話不感地帯に 住民向けのVoip技術を利用した音声による情報伝達システムを整備する
  3. テレビ共聴組合への地上波再送信のための光ファイバー網を整備することにより、情報通信環境の整備、都市部との情報格差の解消、行政放送による情報伝達の拡大、地上デジタル放送の対応などを実現するため、総務省の地域情報通信基盤整備推進交付金により、情報通信基盤の整備を行いました。

情報通信基盤整備事業の概要

この情報通信基盤の整備については、電柱・電話柱等に光ファイバーを共架して各戸が接続する加入者系光ファイバー網の整備事業で、町内のすべての家庭が接続できるよう平成16年度に総務省の地域イントラネット基盤施設整備事業の補助を受けて公共施設間で構築した基盤の一部を有効的に活用し整備しています。

その他に情報センターと各拠点公共施設及び8箇所の通信条件不利地域に設置した屋外放送塔に放送のための各種設備機器を整備しています。

民間電気通信事業者によるサービスの提供

行政からの緊急放送・行政放送を除いて、通信サービスについては民間の電気通信事業者に提供してもらうこととし、町が構築した情報通信基盤は、長期的かつ安定的な使用権であるIRU契約により民間電気通信事業者に貸し出しています。インターネットとIP電話の通信サービスは東日本電信電話㈱山形支店が提供します。

これにより、町内全域で超高速・大容量のインターネット通信サービスが一般市場価格で使用できます。

アプリケーションの構築

本町では、情報通信基盤を活用したアプリケーション作りにも取り組んでおり、平成16年度に総務省の情報通信システム整備促進事業によりGISを利用した次の4システムを整備しています。

(1)総合行政情報システム

ホームページから情報を地図(GIS)上で検索表示するシステムで、利用者がPC端末やKIOSK端末から各種行政情報を地図(GIS)上での表示・検索や行政情報等のコンテンツから必要な情報を容易に入手できます。また、交通手段の乏しい高齢者等が、近隣公共施設の簡易テレビ電話を利用して行政相談を行うことができるシステムです。

(2)教育学習情報システム

遠隔テレビ会議授業や、遠隔地にある学校同士との交流を活発化し、情報活用能力を身に付けた人材の育成の支援を行うことができます。また、パソコン画面のGIS表示を通じて、教育に必要な情報(郷土の歴史等)を簡単に検索し収集できることにより、児童生徒のインターネットを活用した学習能力の向上を図り、地域の文化財や学校教材映像等の収集情報をGISとリンクしたコンテンツとして幅広く利用できるようにすることができるシステムです。

(3)福祉・医療情報システム

地域の公共施設に設置する簡易テレビ電話から、診療所や在宅介護支援センター、病院に医療や介護等の相談等を行い、在宅福祉サービス、保健サービスの向上を図ることができます。

(4)防災情報提供システム

インターネットに接続されたパソコンから、気象、防災、広域避難場所情報をGIS画面から容易に入手できるようにし、また、本庁、出張所等や広域避難場所との連携により、双方向型の情報提供システム状況や避難状況の情報を収集でき、さらに、国土交通省及び山形県の防災情報とリンクして、地域に特化した防災情報を、住民に対していち早く情報を提供するシステムです。

平成19年度には、昭和50年に激甚災害の第1号指定を受けた真室川災害(8.6水害)の被害を受けていますが、町土が広大な範囲に及ぶことと、山間地帯で電波の受信状況が悪いことから、整備を行うには膨大な経費が必要となるため、同報防災無線の整備が行われていませんでした。このような状況から災害時の地域住民への情報提供、安否確認を行うシステムの構築が町民より強く求められていたことから、整備を行った情報通信基盤を活用した次のような緊急連絡システムの整備を行いました。

(5)緊急連絡システム

災害発生時や防災対策時に住民や消防団に対して正確で迅速な情報の収集・伝達、災害や救助への移動体制の早期確立、消防防災活動の円滑化を図るためのシステムです。

常時は、目的別に行政情報(不審者情報、イベント告知等)の配信・収集を行い住民サービスの向上を図るものです。主な機能は次のとおりです。

  1. 災害発生時に防災対策本部から、町民宅や消防団等のパソコン、携帯電話へ緊急連絡をメール配信し、緊急情報の収集・伝達・確認(安否・状況)を行えます。
  2. 災害発生時に防災対策本部から、町内各公共施設22箇所と、8箇所の屋外放送塔のスピーカーから防災・緊急情報を伝達するシステムです。

地域情報化の今後の展望

ブロードバンド環境を全地域に整備するため推進してきた情報通信基盤整備は、平成20年3月24日にサービスの提供が開始され、町内全域で超高速インターネット通信サービスが利用可能となりました。

都会と同等の通信環境で町民の生活の便利さは、大きく拡大し、インターネットを通じて情報収集、ホームページ、ショッピング等の様々なサービスが享受できるとともに、情報の発信による営業範囲の拡大も図られることから産業の活性化や企業活動の促進が期待されます。

将来、通信と放送の融合が進めば、インターネットでテレビ放送が視聴可能となり、現在の難視聴地域の解消につながります。

PC講習会
PC講習会

また、テレビなどの操作の簡単なインターネット端末が開発されれば、パソコンの操作を難しいとしている高齢者の方々の利用も進み、インターネットは、日常生活に欠かせないものとなってくると思っています。

今後は、これらの情報通信基盤を有効に活用する人材や、地域の情報リーダー、サークルの育成により、地域の情報リテラシーの向上を図ることにより、新規起業や事業の拡大、企業の誘致などにつながり、地域全体の活性化に期待できるものと考えています。

町民が、緑豊かな自然に恵まれた真室川町で、町が整備した情報通信基盤を活用して、安心・安全で、豊かに暮らせるまちづくりを今後も推進していきます。