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兵庫県猪名川町/~魅力あるまちづくりへ邁進~

印刷用ページを表示する 掲載日:2008年2月4日
兵庫県猪名川町の写真

兵庫県猪名川町

2628号(2008年2月4日)
総務部企画財政課


猪名川町民憲章

猪名川町は、猪名川の清流に沿 い、北摂連山に囲まれた豊かな自然 と、将来への限りない希望を持った 町です。

わたくしたちは、このふるさとの 町を愛し、育てるため、責任と誇り をもって町民憲章をさだめます。

一、 めぐまれた自然を守り、清潔な環 境の美しい町をつくりましょう。
一、 社会の道徳をまもり、平和で安 全な明るい町をつくりましょう。
一、 たのしく働き、物を大切にし、 豊かな町をつくりましょう。
一、 スポーツと文化に親しみ、健康 でほがらかな、ゆとりある町を つくりましょう。
一、 おたがいが励まし合い、ささえ 合い、みがきあって、しあわせ な町をつくりましょう。

(昭和54年制定)

はじめに

本町は、兵庫県内阪神地域の東北 部に位置し、南北約20㎞、東西約8㎞、面積は約90%で、約80%が緑豊 かな山々で、ほとんどが県立猪名川渓谷自然公園に指定され、その中央 を清流猪名川が流れ、この川を囲むように田園風景が広がっている。ま た、南部地域を中心とした丘陵地に阪神間のベッドタウンとして大規模 住宅地整備の誘導と自然環境に配慮した都市基盤整備に努めている。

昭和30年の合併により誕生した猪名川町は、7,600人の人口で あったが、都市と自然との調和を基本に住宅地開発が進み、現在32,000人を超え引き続き増加傾向にある。

しかしながら、昭和50年から入居が始まったニュータウンでは高齢化 が進み、高齢化率を引上げているものの新たなニュータウンへの入居を 合わせると高齢化率は県下41市町中40番目である。今後さらに高齢化が進 む中で、町民憲章を尊重し住民の皆さんと協働して幸せなまちづくり を進めることとしている。

気軽に外出を

当町の公共交通は鉄道と路線バス があり、鉄道は始発駅を有するもの の町内の移動に利用できず、路線バ スが公共交通の役目を果たしてい る。しかし、路線バスも幹線道路の みの運行で、高齢者にとっての外出 機会を少なくしている。

ふれあいバス
ふれあいバス

そのため、町内に新たなバス路線 を設けるとともに中型バス2台を購入し、高齢者や障害者の外出支援 (ふれあいバスの運行)を行っている。このふれあいバスは、「総合福 祉センター」「文化体育館」「図書館」「役場」、また、「ふるさと館」「多田 銀銅山悠久の館」などの公共施設や資料館、さらに、スーパー等の量販 店や日生中央駅など町内を隅々まで循環運行している。

また、文化体育館において、有料の自主事業では、観覧料を半額に、 ゆうあいセンターでのプールの入場料(一般200円)や入浴料(一般 100円)を無料にするなど、車に乗れなくても、「気軽に外出しよう」 とする気持ちが生まれるように取り組んでいる。

宇宙の散歩

天文台「アストロピア」
天文台「アストロピア」

当町の北部にある阪神間の最高 峰、大野山(753m)には、猪名 川天文台「アストロピア」があり、 肉眼の約5,000倍もの集光力を もつ口径50㎝のフォーク式反射望遠鏡を設置し、土星の輪、火星や木星 の模様などの迫力ある姿や星雲や流星などの無数の星に囲まれた雄大な 宇宙空間を楽しむことができる。

例えば、流星とは、宇宙にただよ うごく小さなチリが地球の大気に飛び込んで、大気圏との相互作用に よって発光する現象のことを言う。

流星のもとは、直径数ミリにも満 たないような小さな砂粒のようなもので、流星のほとんどは地上120 ㎞から80㎞の間で起こる現象であることが知られている。

こうした活発な流星群を何度とな く見ることができ、望遠鏡をとおして大宇宙を散歩しているような感じ を楽しむことができる。

清流猪名川を取り戻そう町民運動

「アストロピア」のある大野山から 流れ出る雫が、下流へと流れ、一級 河川猪名川に注がれて40数㎞を経て、神崎川と合流後、大阪湾へと流れている。

高度経済成長による社会経済活動や生活様 式の変化に伴い、大量生産、大量消費、大量廃 棄などによる大気汚染や水質汚濁などによっ て猪名川が一定水量を保てなくなり、魚や蛍が生殖しにくい現状となっている。

河川清掃
河川清掃

「清流」とはどのような川をいうのか。川魚などが泳いでいて、水が透 きとおっている川。大きな岩に遮られ岩と岩との間を水が流れている 川。子供たちが歓声を上げて遊んでいる川。など、様々な川の姿を連想 できると思う。

当町では、猪名川の源流のまちと して、先人から受け継いだ豊かな自然を守り、自然との共生の心を取り 戻し、誰もが水に親しめる河川の環境を取り戻す運動に取り組んでい る。

水の循環と水量確保のために、雨水再利用の貯留タンクの設置、雨水 を直ぐに川に流さず、一度桝にためゆっくり流す雨水浸透桝の設置の推 進や山林・農地での水源涵養の促進などに努めている。

河川環境の改善のために、親水護 岸の整備、滞留水や砂の堆積を防止するため常時流水するシステムの構 築、ヨシ等の草の増殖を抑制する施策と活用方策などを検討するととも に地域や学校(児童生徒、教職員)・PTA・役場職員が一体となって年 2回河川清掃を実施している。

ロマンを求めて

多田銀銅山は、北摂(大阪府北部、兵庫県南東部)地域にわたり鉱区が 広く、奈良東大寺大仏建立の際に、多田銀銅山で採掘された銅が使用さ れたという伝説がある。

猪名川町域では、銀山地区を中心 に栄え、豊臣政権時の直轄鉱山として「台所間歩(だいどころまぶ)」や「瓢箪 ひょうたん」など秀吉ゆかりの間歩(坑道)が残っている。 また、江戸時代には、代官所が設置され、幕府直轄地となり「銀山三千軒」 と言われるほど賑わいをみせ、我が国の鉱山史の一端を担っていた。

魅力あふれる歴史街道
魅力あふれる歴史街道

こうした歴史を、来訪者の方々に より楽しく歴史文化に接してもらうとともに、地域住民の方々にも歴史的な地域に住んでいるという実感をもって、誰でも親しめる地域づくり を進めるため、国土交通省近畿地方整備局から都市地方連携推進事業の採択を受け、平成16年からの3ヵ年事業として15kmの歴史街道遊歩道の整備を進め、平成19年3月25日に全線開通した。さらに、歴史街道の拠点施設として、平成19年4月1日オープンした「多田銀銅山悠久の館」で多田銀銅山に関する貴重な資 料を展示している。

歴史街道は、伊勢~奈良~京都~大阪~神戸を結ぶ300㎞のルート上に古代以来の歴史の舞台が連なり、楽しみながら歴史や文化を体感できるコースとして設定されている。平成16年・19年には、テレビ朝日の番組「歴史街道ロマンへの扉」で、多田銀銅山ロマン伝説として、青木間歩、代官所の門など当時の様子、また、静思館、木喰仏など猪名川町の歴史文化が紹介された。

この魅力ある歴史街道を訪ねていただき、四季折々の豊かな自然の中でロマンを描きながら、悠久の館で 歴史文化に触れるとともに、再発見・新発見を体験することを勧めて いる。

シニアパワーで地域おこし

「悠久の館」展示室(内)
「悠久の館」展示室(内)

これまで社会経済の中核を担って きた団塊世代が第二の人生に希望を 持って暮らすことができる地域づく りを進めている。

今まで培ってきたシニアパワーと 地域の資源を活用した生きがいづくりの場として、農林業に関心があ り、新規に就農を希望する方を対象に、野菜づくりやきのこ栽培などの 「シニアファーマー養成講座」を公募したところ、多数の応募があり、関 心の高さがうかがえた。

「悠久の館」の外観

講師に農業高校元教諭や県農業担 当職員を招き、平成19年4月に開講した講座は5月には畝立て、夏野菜 の代表作物であるトマト、キュウリ、ナスの植付け作業、支柱立てを 行った。受講生は慣れない手つきで悪戦苦闘しながらも実習を通じて学 び、交流を深めている。

はじめて農業体験する受講生が、 非常に関心を持って、講義日以外も農場に出向き、日常管理に努めるな ど青空の下で技術習得をした。収穫した野菜を持ち帰り、隣近所にプレ ゼントすることによって、新しい会話が生まれ「立ち話に花を咲かせた」 と嬉しい感想が寄せられた。

次の課題は、商品価値を生む生産 を行うため、栽培知識や技術等の営 農知識を習得する「応用コース」を 設けることとしている。