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全国町村会長あいさつ

印刷用ページを表示する 掲載日:2003年2月25日

全国町村会長あいさつの写真

 今、私たち多くの町村は、自治とは名ばかりに、自らの将来を、自らが欲するところに従って決定することを困難にするような、様々な要因を抱え、その意に反する大転換を強いられようとしております。
 正に、町村自治は、存亡の危機にあると言えます。このような思いを抱きながら、本日ここに、町村自治確立総決起大会を開催いたしました。
 来賓の諸先生におかれましては、政務極めてご多端の折にもかかわりませず御臨席を賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
 また、全国の町村長、町村議会議長各位におかれましては、遠路ご参集をいただきまして、心から感謝を申し上げる次第であります。

 現在、関係各方面においては、諸般の事情により合併を選択しない、あるいは合併できない小規模市町村については、その存立を否定するような議論が公然と行われております。
 私は、合併をすることも、単独で行こうとすることも地方分権時代にふさわしい自己決定・自己責任の姿であり、価値的には等しいものであると考えます。
 その結果として、一定の人口規模に満たない町村が存在することは、むしろ当然のことであります。
このような町村を明確な根拠も示さないまま能力がないと一方的に決めつけ、その権限を制限・縮小したり、はては、強制編入合併の対象にするといったことは、町村自治を踏みにじるものであり、地方分権の理念にも相反するものであって、絶対に容認することはできません。
 私たちは、決して合併に反対しているのではありません。
 町村の将来は、町村自らが、自らの責任のもとに自ら決定できるようにせよと訴えているのであります。
 日本の国土は、多様であります。それぞれの地域には人が住み、歴史や誇れる文化や伝統があります。
 このような地域の個性や多様性を重視し、様々な市町村が、必要に応じて協力しあいながら共存できる自治制度こそ、分権時代にふさわしい制度であると考えます。

 そして、同時に、この町村自治を支える税財政の基盤を強固なものとしていくことが重要であります。
 私たちは、国、地方を通じ、現在の財政状況が極めて厳しいことは十分承知しております。
 「寡なきを患えずして均しからざるを患う」という言葉があります。痛みは、均しくわかち合ってこそ耐えることができるのであります。
 財政事情が厳しいからといって、小規模市町村に対してペナルティ的な措置を講じても何ら解決にはなりません。
 国においては、このことを銘記していただき、地方分権の確立、町村自治の確立を目指して、片山私案に沿って三位一体の改革を早急に進めていただきたいと存じます。
 それにつけても、私は関係各方面で「地方交付税の財源保障機能を縮小せよ、廃止せよ」といった議論が出ていることに対しては、強い憤りを感じざるをえません。
 これらは、日本の国土事情を背景とした、経済構造の実態や地方行財政運営の基本的な仕組みを認識しない論外の議論であると思います。
農山漁村地域の大半を占める町村は、税源、課税客体に乏しく、その中で、国土の保全、水源の涵養など重要な役割を果たしつつ、住民に身近な自治体としての全国共通の責務を遂行してまいりました。
 申すまでもなく、地方交付税制度は、自治体間の財源の均衡化を図るとともに、このような行政執行を可能とするために設けられた制度であり、地方団体固有の財源であります。
 今後、税源移譲が行われるとしても、税源の偏在という問題は解消されず、その意味での地方交付税の果たす役割は一層重要なものになると存じます。
 町村自治は、地方交付税制度のもつ財政調整機能、財源保障機能が堅持されてこそ成り立つものであります。

 地域の発展なくしては、国の発展はありえません。
 国全体が閉塞感に覆われている今、町村が元気を出し、苦しい財政状況下にあっても、知恵と工夫を凝らしながら、地域の特色を活かした個性豊かな地域づくりや地域の活性化に、安心して、全力で取り組めるようになれば、自ずから途は開かれてくるものと信じております。
 そのためにも、町村自治を確固たるものにしなければなりません。
 町村自治の確立を目指し、国等に対し、一致団結して強力な要請活動を展開していこうではありませんか。
 本大会が所期の成果を収めることができますよう、皆様方の格別のご協力をお願い申し上げまして私のご挨拶といたします。

平成15年2月25日

全国町村会長 山本文男