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20.水産業対策の充実

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年11月27日

我が国の水産業及び漁村をめぐる環境は、周辺水域における水産資源の低迷や漁業生産の担い手の減少・高齢化、さらには輸入の増大による水産物価格の低迷等極めて厳しい状況にある。このような状況に的確に対処し、水産業の一層の振興と活力ある漁村の形成をはかるためには、新たに策定された「水産基本計画」に基づく具体的施策の早期実施等水産業対策をさらに充実させる必要がある。
よって、国は次の事項を実現されたい。

1.水産基本計画」に基づく具体的施策の早期実施
水産物の安全と安定供給を確保し、併せて水産業の健全な発展と漁村の振興をはかるため、「水産基本法」に基づき策定された「水産基本計画」に従い、具体的施策を早期かつ強力に実施すること。

2.水産物の安全・安心の確保と供給体制の整備
(1)水産物の食品としての安全と安心を確保するため、衛生管理体制を強化するとともに、消費者の適切な消費行動に資するため、生産履歴や原産地表示など適正な情報提供に関する対策を強化すること。
また、引き続き魚食の普及に努めること。
(2)地域水産物の特色を活かしたブランド化のための総合的対策を推進すること。
(3)産地市場の統合を促進し、その機能を強化することにより、水産物流通の合理化・情報化を一層推進するとともに、水産加工地域の再生強化と水産加工業の体質強化をはかること。
(4)平成14年度末で期限切れとなる「水産加工業施設改良資金融通臨時措置法」を延長すること。
(5)水産物の需要と価格の安定化をはかるため、引き続き漁獲物の調整保管事業を実施すること。

3.適切な資源管理に資する貿易ルールの確立
水産物に関するWTO交渉においては、各国がそれぞれ自国の水産資源を適切に管理することを前提とする貿易ルールの確立を目指すとともに、我が国の水産業の安定と発展に支障が生じることのないよう、関税の引き下げ、非関税措置の撤廃が行われることのないよう努めること。
また、輸入の増大によって我が国の漁業者等の経営に著しい影響が生じた場合は、速やかに一般セーフガード(緊急輸入制限措置)を発動すること。

4.漁業経営対策の強化と漁業就業者の確保・育成
(1)漁業経営の安定をはかるため、漁業信用保証保険制度を拡充し、漁業経営の維持に必要な資金の融通の円滑化をはかること。
(2)意欲ある漁業者の経営基盤の強化を支援するとともに、漁業就業者の確保・育成をはかるため、労働環境の改善、漁業技術や経営管理能力の向上等の諸対策を総合的に推進すること。
(3)漁業の経営基盤を充実・強化するため、平成14年度末に期限が到来する「漁業協同組合合併促進法」を延長すること。
また、合併を行う漁協に対する支援や漁協の人材の育成等、漁協に関する施策を総合的に推進すること。
(4)漁業災害補償制度が、漁業経営の一層の安定に資するよう、制度の充実・強化と加入の促進等に努めること。

5.資源管理対策の強化と操業秩序の確立
(1)我が国周辺水域の資源回復と持続的利用をはかるため、資源回復計画の作成・普及、漁獲努力量の適正化、多元的な資源管理型漁場の推進等に努めること。
また、あわび、うに等の沿岸定着性水産動物資源に対する密漁について、罰則の強化やすべての漁船に船位報告機器の搭載を義務づけるなど、効果的な防止対策措置を講じること。
(2)遊漁における資源利用の適正化及び遊漁船業に対する指導の強化に努めること。
(3)日韓及び日中の漁業協定の発効以来、特に韓国漁船による違法・無謀操業が目立っているが、我が国の水産資源及び漁業者に悪影響を及ぼすことのないよう暫定水域全域における資源管理体制を早期に確立するとともに、取締体制を強化して協定水域全域における操業秩序の確立をはかること。

6.つくり育てる漁業の推進と内水面漁業の振興
(1)栽培漁業の継続的かつ積極的な事業展開を推進するとともに、栽培技術の開発、指導及び関連施設の整備等に努めること。
また、養殖漁場環境の維持・改善を推進する等、養殖業にかかる施策の充実・強化に努めること。
(2)内水面漁業・養殖業の一層の振興と内水面地域の活性化をはかること。 また、ブラックバスなどの外来魚に関する施策を講じるとともに、地域の実態に即した魚類の生態系に配慮した増殖手法を確立すること。

7.活力ある漁村づくりと水産基盤整備の計画的推進
(1)漁村の活性化をはかるため、漁村の生活環境、都市との交流、生産・流通体制等、魅力ある漁村づくりのための基盤施設の整備を一層推進すること。
(2)新たに策定された「漁港漁場整備長期計画」に基づき、引き続き漁港と沿岸漁場の整備を一体的・計画的に推進すること。
(3)海岸災害の防止対策を強化するとともに、自然環境の保全や都市との交流など地域のニーズに対応した海岸事業の推進をはかること。
(4)平成14年度で終了する「第6次海岸事業七箇年計画」に続き、平成15年度から新たな海岸事業長期計画を策定し、国土の保全と海岸環境の整備等を推進すること。

8.漁場・沿岸環境保全対策の推進
(4)漁場環境及び生態系の保全をはかるため、引き続き漁民の森づくり活動を支援するとともに、磯焼け現象の解消など藻場・干潟の再生・造成、水質の改善等に努めること。
(2)漁業系廃棄物の処理・再利用システム及び赤潮・貝毒による漁業被害防止等に関する技術開発を促進するとともに、ダイオキシン類などの有害化学物質の魚介類への影響調査等、水産関係の環境問題全般についての対策を早急に確立すること。
(3)海浜及び漁場の美化を総合的に推進する施策の充実をはかること。
特に、町村の海浜清掃等環境美化運動に対し積極的に支援するとともに、外国等からの漂着物の処理に対する助成措置を講じること。
(4)平成12年漁期に発生した有明海におけるノリ養殖の大規模な不作については、その原因究明のための調査を引き続き実施するとともに、有明海及び八代海の再生をはかるため、当該海域の環境の保全・改善及び水産資源の回復等の抜本的対策を、立法措置を含めて速やかに講じること。

9.海外漁場の確保等
(1)我が国周辺水域からのみでは不足する漁業生産を補完するため、国際的な資源管理に貢献する調査を実施する等して、海外における遠洋漁業の漁場の確保に努めること。
(2)鯨類による魚類の捕食量が漁業生産に与える影響が看過できない状況にあるので、その影響の減少と鯨類資源の合理的利用をはかるため、捕鯨業の早期再開に向けて努力すること。

10.試験研究と技術開発の推進
水産各分野の持続的発展をはかる上で不可欠な試験研究・技術開発については、課題の重点化と一層の効率的な推進をはかること。

11.漁村地域に対する財政措置の拡充
漁村は、沿岸、離島、半島等条件不利地域にあり、財政基盤も脆弱な町村が多いことから、農山漁村対策にかかる地方財政措置を拡充すること。

12.水産関係の税制改正
(1)特定の漁業協同組合の合併についての課税の特例措置を創設すること。(所得税、法人税等)
(2)漁業協同組合等の留保所得の特別控除制度の適用期限を延長すること。(法人税)
(3)漁業協同組合等の貸倒引当金の特例措置の適用期限を延長すること。(法人税)