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山本会長が地方制度調査会専門小委員会で意見

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年9月24日

内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会(会長・諸井虔太平洋セメント相談役)は、平成14年9月24日、専門小委員会(委員長・松本英昭自治総合センター理事長)を開催し、山本文男全国町村会長(福岡県添田町長)から意見聴取を行いました。
 当日は、「地方公共団体との意見交換」を議題とする内容で、山本会長からは、現在政府が進めている市町村合併について、理念が示されないままただ「合併」のみが進められていることに憂慮しており、合併を論議する前に地方制度のあり方をまず考えるべきであったとする旨の発言がありました。
 また、国家的に重要な役割を果たしている農山村地域を抱える町村は、小規模であっても、そこに暮らす住民が受ける必要最小限の公共サービスは、平等でなければならないとし、基礎的自治体の意義について述べました。
 さらに、広域連合の拡充等による広域行政の見直しを進め、小規模町村の事務分担を実情に応じ幅広く選択できるような仕組みの検討や、財政調整機能を確保するため人口配分を基礎とした地方交付税の見直しなどを求めました。
 山本会長の発言及び質疑応答の概要は次の通りです。

山本会長発言要旨

1.合併論議の問題点

 本日は意見を聞いていただく機会をいただきありがとうございます。
 私は第3回総会でも意見を申し述べさせていただきました。最初に恐縮ですが、前回の総会では私どもが平素から考えていることを申し述べ、時間があればそれに対してお答えを頂こうと思ったのですが、時間がなくてそのままになっております。どうぞ、この点を含め意見を聞いていただきますようお願いを申し上げます。
 現在の合併をめぐる問題は、申し上げるまでもございませんが、合併をするために、あるいは合併をさせようとしているために、こういうことになったのではないかと思っています。もう一つは財政運営の効率化のあまり、いわば何のために合併が進められているかということが分からないまま合併が促進されていると感じています。この点については、地方自治にとって大事な問題であり、憲法に書かれている地方自治の本旨にはずれるのではないかという気さえしているところです。ある意味では町村というのが無視されているのではないか、という考えまで出てくるような気がしています。
 合併というのは私ども町村にとって、これ以上重大な課題はないと思っています。そもそも合併というものにはまず理念がなければなりませんが、それが示されておりませんし、合併すると将来はこうなるのだということも全然聞いたことがありません。ところが法律だけはきちんと作られておりまして、現在の特例法を私どもはこのように解釈しております。すなわち、特例法は自主合併を標榜しているものであって、強要・強制するものではない、自主合併であるから国はそれなりの支援をしているんだという解釈をしております。
 ところが、先ほど申し上げたように、理念も理論も示されておりません。合併において大事なのは、常々申し上げているように、地域の地理的な条件や文化、歴史、社会的な諸々の事情があるわけでして、それらがうまく形作られてはじめて合併してもいいという気運が出てくるわけですが、そのようなことは全く考えていただけないまま、まず、「合併しなければ」と考えるさせられるようになっている気がいたします。説明の中で聞かされているのは財政状況からであり、もし合併しないと現在の財源を確保することは難しいと言われてきました。この点が合併の大前提になっているというのは悲しい思いがいたします。 合併するというのは夢がありロマンがあるから合併しよう思うのではないでしょうか。ところが今、そのような雰囲気は全くありません。何か、真冬の厳寒の中で木枯らしに吹かれているような感じがしているところです。その点をご理解いただきますようお願い申し上げておきます。

2.地方制度論議の進め方

 私は合併という問題は別にして、地方制度というものを考えるべきだと思います。21世紀が来たのだから21世紀にふさわしい地方制度を考えることは当然のことだと思います。前世紀から百年経った制度をそのままにしてよいと考える人はいない思います。地方制度を改正してより住民のためになるような行政ができるようにやっていこうと考えているのは、地方自治に携わっている人の共通した考えだろうと思います。したがって、本来ならば、この時期ではなくて、2、3年前に案をお示しいただいて、私どもの意見を聞き、皆さん達と協議をして決めていただいたら一番よかったのではないかと思います。地方制度をこうしていくんだということが決まった後、合併したらどうかと、今の財政の状況はこうなっているんだと、このように言われますと新しい制度に合わせた合併をしなくてはならないのではないか、と私ども町村も考えたに違いありません。ところが、合併の議論の方が先行し、地方制度の方は後からという話になっているものですから、私どもとしては理解しづらい、さらに言えば、なぜ先に地方制度をやっていただかなかったのか、私どもの自治権を踏みにじられている感じさえしているところで、非常に残念なところです。
 さらに、地方分権については、先生方が一生懸命考えていただき、多くの関係者の意見を聞きながら立派な地方分権推進策を作っていただきました。地方側もまた努力していくことによって分権は拡大してゆきますから、町村としても分権型社会を作っていくんだということで今大変な努力をしているところです。したがって、合併というものも地方分権の考え方からすれば、やはり合併をしてより高い地方分権の果実を得るということ、あるいは実証するという考え方に対しては、我々も全くそのとおりだと賛意を示しているところです。ところが、先ほど申しましたように、合併をしなさいと言いながらも将来像を示していただいておらず、また合併をしなければならないという理念も示していただいていないのが現状です。これは私ども現場から見た考え方ですので、それを前提に意見を申し述べさせていただきます。

3.数値目標と市制要件の問題

 まず最初に、現行の合併特例法は自主合併を標榜しており、合併はあくまで市町村の自主的な判断で行うべきだというのが法律の趣旨であり、そういう考え方で取り組みを進めているところです。ところが、一方で1,000という数値目標を出しています。なぜ、1,000という数字が出てきたのか分かりませんが、政府は、正式に決定したものではないと言う。ところが説明を聞くと1,000と言っており、その根拠を示していただければいいのですが、未だに示していただけません。しかし「論点整理」の中には「合併が進んで」という言葉が各所に出てきていますが、この「合併が進んで」と言っている場合の数値はどれくらいなのか、それが達成される年次というのはいつなのかということを教えていただくようお願いいたします。
 次に、合併後を見据えた「基礎的自治体論」や「小規模市町村論」ですが、これが進む前にプロセスとして現在の市町村制の整理を行うことが先ではないでしょうか。現状を見てみますと、市の中でも政令市、中核市、特例市と一般市に分かれており、人口要件なり権限なりに違いがあります。人口という面から見れば、地方自治法では市は5万人以上でしかもダウンタウン(中心市街地)がなければならないといういうことになっております。したがって3万人の市が誕生することになる一方、現在でも町村には5万人を上回る町村もあり、3万人以上の町村もかなりの数になります。まず、こういうところを整理すべきではないでしょうか。6千人しかいない市もありますが、私のところの隣の市は1万2千人しかいません。こういうところは我々町村から見ると市の体裁を整えることができないのではないかと思います。その辺りをきちんと整理しなければ、合併後の「基礎的自治体論」や「小規模市町村論」を言えないのではないでしょうか。そういうことを全然無視して新たなものを作っていくということはどうかと思いますので、この整理をするのかしないのかお聞かせいただきたいと思います。

4.基礎的自治体の意義

 次に「小規模市町村」についてでありますが、町村は人口が少ないといえども現に住民生活に関わる広い分野での様々な公共サービスを行っております。また、その多くが農山村地域を抱えており、国土の保全といった重要な国家的な役割を果たしています。こういう実態を認識されているのかという声も数多く聞こえてきます。この点の認識を欠いた地方批判には寂しさを感じるところです。
 規模というものを人口要素だけで考えるのではなく、町村のように広い面積を抱えている地域の状況等を十分考えていくべきではないでしょうか。今の経済状況から考えてみますと、財源面がこのまま推移すれば大変厳しくなってくることはよく分かっておりますし、これまでやってきたような様々な公共サービスを継続することも困難になるかもしれません。それは私どもも十分認識しております。しかしながら、ここは大事なことですが、東京の真ん中に住んでいようが、私どもの町の山の中に住んでいようが、法律から受ける利益というものは平等でなければならないと思います。これを不公平にしてしまうということは非常に寂しいことであり、先進国のやることではないと思います。住民生活にとって公共サービスというものは最も身近な自治体が実施するものであります。したがってどこに住んでいようとも必要最小限の公共サービスを受けることは平等でなければならないと思います。
 もう一つは自治体の中でも財政の豊かなところとそうでないところがあります。豊かだから「基礎的自治体」であって、貧乏だから「小規模市町村」になるんだという考え方は少し行き過ぎた考えではないかと思います。小さいところであっても小さいなりに住民サービスをやり得るだけの能力と理解を役場の職員や地域の人たちは持っていると思います。その点ついて十分ご認識いただきたいと思います。
 次に、住民生活にとって何が必要不可欠な公共サービスであるかということを考えますと、地域によって実情が違いますので、その点は議論しなければならないと思いますが、一つ言えるのは違いを作るのではなくて、全部できるような仕組みを作り、自分の町や村でやる住民サービスはこれとこれが適切であるという選択肢を町村に与えるべきだと思います。制限しないで何でもやれるような仕組みにしておいて、その中で当該町村で行うことが合理的・効率的であるサービスと、広域的に行うのがより効率的である事務とを町村自ら判断して行うやり方が一番いいのではないかと思います。その辺りを考えていただければ「小規模市町村」というような議論はなくなっていくと思います。

5.広域行政制度の見直し

 次に、広域的な行政を進めていくことについては、広域でやったほうがコストも安く、技術力も高くなり、現実に一部事務組合や広域連合の仕組みで事務を行っていることはご存じのとおりです。私は福岡県で72市町村で介護保険の広域連合を組織しておりますが、今日まで順調な運営をしているところです。ところが、連合長の選挙の方法や、課税権がないなど制度的な欠陥がありますので、もう少し柔軟に選択ができるような制度改正が必要だと思います。これにより広域連合を進めていくと合併の前段階にもなりうるかと思いますので、広域連合制度の改善を図ることにより、合併を緩やかに進めることができるのではないかと思っています。真剣に検討していただきたいと思います。
 その次は「事務委託方式」についてですが、これも改善していただければ合併を前提とした方法になるかもしれません。この点について、広域連合にも入れない、入ろうとしない町村も出てくるでしょうが、「論点整理」の中で示されているような小規模市町村の権限を制限・縮小して、「垂直補完」や「水平補完」をしたらどうかということが言われていますが、とても難しくうまくいくとは思えません。特に垂直補完は無理だと思います。水平補完も、先ほど申しましたように、事務委託方式や広域連合、一部事務組合等でやっておりますので、今、特別に水平補完をやる必要というのは、余程のことがない限りないと思っています。もし私の町が水平補完を頼むとすると、補完してくれる市町村はコスト扱いして、頼む方も頼まれる方もうまくないのではないのでしょうか。先ほど申し上げましたように、小規模町村の権限を制限・縮小するという方向ではなく、権限は幅広く与え、市町村が主体的な立場で地域の実情に応じて事務委託なり代行なりを頼める仕組みを検討すべきではないかと考えています。これは考え直す必要があると思います。

6.地域コミュニティのあり方

 次に、基礎的自治体内の地域組織等についてですが、「論点整理」ではネイバーフッドガバメントということが書かれておりますが、コミュニティ自治組織の制度化ということについて申し上げます。合併が進んで基礎的自治体の規模がある程度大きくなった時にいわば住民自治の形骸化を防ぐといういことで、こういった議論になったのだろうと思われます。ある人はこう言いました。「合併して今まで役場があって中心地を形成していたのがなくなってしまうとその地域が廃れていくので、それを防ぐためにはネイバーフッドガバメント方式をとったらいいのではないか」という話でした。これは、二元制にするということであれば簡単にいくかもしれませんが、選挙で選ぶということになると、もう自分の町も村がないにもかかわらず、さらにまた選挙で決めるのですかと。さらにその選ばれた人達には権限がないわけです。主たる権限のない、住民の要望事項をまとめる審議会だと思います。立候補をする人もいないのではないでしょうか。もう少しどういう方法でやるかということを十分検討した上で進めたらいかがでしょうか。合併すると周辺地が廃れていくことを防ぐために審議会をおくということでしょうが、選挙で選ぶというのは無理ではないでしょうか。検討の余地があるのではないかと思います。
 それから単位についてですが、旧町村単位にするのか、それともネイバーフッドですからもう少し小さな単位にするのか、それをどういうふうに単位を決めていくのか。ひとつは学校区というのがありますからそれで決めるのか。いずれにしてもどういう単位にするかということを考える必要があると思います。どうしても廃れていかないようにするためには、例えば私のところでは行政区というのが36ありますが、各区で区長を選んでいただいており、その区長36人の中から適当な人を選ぶ、あるいは輪番でやるということであればうまくいくだろうと思います。行政区というのはどこにでもありますので、それでやれるのではないでしょうか。全然意見が食い違って合わないと思いますが、お考えいただきたいと思います。

7.大都市と都道府県のあり方

 次に、大都市と都道府県の問題ですが、これについては私どもは門外漢ですのであまり申しませんが、私は道州制は絶対に実施すべきであると思います。ただその前に、九州は一つだと言っておりますが
人口単位で考え、地形単位と併せて道州制という単位を考えてゆくと、九州は一つといってもそう簡単にはいかないと思います。その辺りは考えていくべきではないかと思います。
 大都市についてでございますが、福岡県には福岡市と北九州市がございますが、すが、両市の人口は県人口の約半分を占め、そこから出てくる議員数が非常に多く、
結束力が強い場合に、その議員たちが議案を出すと通ってしまうことが懸念されますので、このような点から考えますと、大都市は分離して独立させるべきではないかと思います。
 しかし、政令指定都市の分離・独立の方向が、都道府県が広域的な調整の役割を果たしていくうえでの支障となり、結果として政令指定都市と周辺市町村との広域的な連携協力を損なうような事態を招くことは、もとより望ましいことではないので、このことも念頭におきながら、都道府県のあり方と合わせて議論する必要があると考えております。

8.財源問題

 次に財政の問題について申し上げます。合併をするかしないか悩んでいるところは、合併したら交付税がどうなるか、安心して行政運営できるようになるのか、あるいは合併をしなかったら、交付税をどんどん絞られて身動きできないような状態になるのではないかという心配をしています。このように財源の問題というのは非常に力が強いということが言えると思います。さてそこで税財源の問題についてですが、これを人口配分でされるとたまったものではありません。地方税財源の消費税と所得税をの配分方法は人口配分になっています。人口の多いところにはお金をたくさん配るということになります。一人あたりにすると確かにそのとおりになるかもしれませんが、地域を運営していくという意味では、人口だけで税財源を配分するというのは止めるべきであり、それでは人口の少ない地域は運営することができなくなってしまいますので、考え方を変えていただくことが必要だと思います。
 片山プランというのがありますが、地方税財源の移譲と交付税と補助金・交付金がうまくバランスさせたやり方が必要だというのが大臣の提言だと思います。ところが、言葉の上ではそのとおりかもしれませんが、その配分を決める基準が人口であるとするならば町村はとても立ちゆきません。地方交付税というのは全国どこに住んでいようとも平等な公共サービスを受けることになっているわけであり、財源の調整機能のためにあるわけであり、どこでも公共サービスを受けられるための財力を与えているわけですが、それも人口配分にしてしまうと平等に受けることは不可能になってしまいます。ですから地方交付税については人口配分について考えることをやめていただくようお願い申し上げます。
 それから国庫補助金の整理・合理化についてですが、これも国の負担だけがなくなって、残りは地方にというやり方とならないようにお願いを申し上げます。もし国庫補助金をそういうふうにして整理していくということであるのならば、地方に一般財源を十分に与えるようにしてください。そうしないとそれを負担するだけの力がありません。
 なぜ人口だけの配分ではよくないかといいますと、どうしても偏在性を避けることができないからです。そもそも市町村が生まれた時から偏在性はあるわけですから、それはどうしようもありません。これから一生懸命に生きていこうとしている町村に関しては大都市と同じような財源を与えることが必要ではないかと思います。もう放っておいていいと言われるのならば別ですが、それは余りにも残酷ではないでしょうか。毎日中山間地帯を守っているからこそ、水や食料を作ったり、美しい国土を守っているではありませんか。だから、こういうところをどうでもいいというやり方をすることには私はどうしても納得できません。いつも申しますが、中山間地帯の住民も東京の住民も家、地域、国のために働いてきたことは事実です。差があるはずがありません。中山間地帯に関することを皆さん方に考えていただきたいとお願い申し上げます。

9.合併のスケールメリット

 また、合併をして3万人くらいでスケールメリットがあるのでしょうか。10万人以下のところでスケールメリットが生まれてくるのでしょうか。そういった合併促進は適当でないと私は思います。とにかく「合併」という言葉が出れば、「それでよい」というやり方はいかにもずさんなやり方のような感じがします。その点を私どもが指摘すると、いえ自主性にお任せしていますからという返事しか返ってきません。確かに自主性であるかもしれませんが、自主性を尊重するのならば合併しろと言わずに黙っておけばいいのです。地方制度調査会の中で「合併が進んでいる」などと言わなければいいのです。ところがそういうことを考えずに合併さえすれば1万5千でも2万でもいいということになれば、何のメリットも出てこないのはないでしょうか。その辺りを考える必要があるのではないでしょうか。合併をしたくてもできない町村や合併しないと言っている町村に対していったいどうお考えかお聞かせいただきたいと思います。
 みんな一生懸命に自分たちの地域と住民のために頑張っていると私は思います。そのような地域や町村に対してどのように考えているかお聞かせいただければと思います。以上、まとまりのない話でしたが、ご判断いただきましてお答えをいただけるものはお答えいただきますようお願い申し上げまして意見陳述を終わらせていただきます。

合併に関する質問への答弁(芳山自治行政局長)

合併の理念について

 合併の理念がないではないかという点については、我々が申し上げているのは、地方分権の担い手としての基礎的自治体は、足腰の強い自治体であるべきであるということ。ただ、広域行政のやり方として広域連合や一部事務組合なり事務委託ということについては、責任の問題や住民から遠いということで、徹底が難しいということもあり、広域の究極の姿として自主的合併が望ましいというのが、これまでの政府の考え方である。
 また、少子高齢化により人口規模が30年後には相当数減るということもあり、市町村の担う能力として今の体制でやっていけるのかということがある。財政だけを議論しながら合併を進めるのではなく、その他の諸課題への要請に対応し、これからは市町村が中心だということが理念として掲げられるかと思う。

数値目標について

 数値目標については、昭和の合併が8千人以下の小規模自治体はなくすということで進められたが、今回の合併については、21世紀を担う自治体ということであり、その適正規模論というのは、一義的には言いにくい。合併パターンを整理してみると最大の場合で1,200くらい、最少の場合で650くらいになろうかと思う。政府として目標数値は定めていないが、与党が定めている1,000というのを一つの大きな実現目標としながら、平成17年3月という合併特例法の期限をにらみながら自主的合併を進めていく。

市町村の定義について

 会長の指摘は一つの論点であり、今後の課題であると思う。

住民自治組織のあり方について

 今回の論点整理のひとつの課題であり、「地域審議会」という形で制度化されており、採用例が出てきているが、これは諮問組織ではなくある程度大きくなった自治体の中で住民自治の組織をどう位置付けるかということ。行政区とのあり方についても課題だろうと思う。

合併出来ない自治体のあり方について

 今回の論議の大きなテーマになっている。

委員との質疑応答(概要)

岩崎美紀子(筑波大学教授)

・現場の声を聞かせていただいて大変勉強になった。町村の中で農山村地域の町村と都市部の町村とで抱える問題などに違いはあるのか。
・農山村地域の町村と都市部の町村では、自治を重視する場合と実際のサービス供給を重視する場合とで違いはあるか。

山本会長

 都市部と山間部の町村の違いというのは、それぞれ特色はあるが、もともとは農業や林業が主体にあったはず。都市化したところは財政力は豊かになると思う。一方農村というのは、地域を守って行かなければならない存在であり、この違いは仕方のないことである。
 大都市の近郊にある町村は財政力も豊かであり、合併しなくてもよいという所もあると思う。

西尾勝(国際基督教大学教授)

・山本会長がおっしゃったことは、ごもっともだということが大変多かったように思う。
・今の合併がどうなるのかということについては読み切れない部分があるが、さらに第二次の合併促進をするとした場合、目標なり理念なりを根拠付け、その後の姿をはっきり示し体制を立て直して合併ということを考えたとき、理解を示していただけるか。

山本会長

 道がきとんとあれば歩いていくと思う。今は道がない。どの道を歩いて行ったらよいか、今は道から造らなければいけないから問題がある。我々は闇雲に反対だとは言っていない。最初申し上げたように、いったい財政状態がどうなるのかということがわからないまま、ただ合併しなければ交付税を減らすということが言われており、ある意味強要ではないかという捉え方をしている。もう一つは、合併するとこういうことになるという理論、地方自治体とはこういうものだということを作れば、皆理解するだろう。

山本会長

 一言だけお願いしたい。今までこのような会合では意見を聞いただけで、事務局の作成した案をそのまま実施してきた。我々は真剣にいやものはいやだと言ってきた。いやと言うのは勇気がいることだ。だから、小規模市町村の問題についても、財源の問題についてもいろいろと申し上げてきた。しかし、回答はいつも「検討課題」と言われる。これでは全く分からない。そのようなことはしないでいただきたい。聞くだけ聞いてあとはそのままだということは止めていただきたい。いまの町村は可哀想である。やっていけない町村があるのであれば、そういう町村が生き生きとやっていけることを考えることが大事なことである。