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町村長代表が西田自治大臣と意見交換

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年8月10日

   自治大臣と町村長との懇談会が8月10日、正午より全国町村会館で開催されました。
 この懇談会は町村長と自治大臣が重要政策課題についての意見交換を行う目的で開催されたものです。
 懇談会には自治省側から西田自治大臣のほか、中谷総括政務次官、荒井政務次官、二橋事務次官、香山官房長、林総務審議官、中川行政局長、嶋津財政局長、石井税務局長、鈴木消防庁長官等が出席。町村長側は、全国町村会から山本全国町村会長、佐々木・宇都宮両副会長、平野政務調査会行政部会長、衛藤同財政部会長、林田同経済農林部会長が出席し、山本会長及び西田自治大臣のあいさつの後、渡辺全国町村会事務総長の司会により当面する町村の行財政課題等について活発な意見交換が行われました。
 懇談会における主な発言要旨は次の通りです。  

 

1、開会あいさつ

全国町村会長 山本文男(福岡県添田町長)

 二度目の大臣就任を心からお祝い申し上げます。大変お忙しい時期にもかかわらず、大臣以下自治省の幹部の皆さん方に私どもとの懇談会のためにお越しいただきありがとうございました。厚く御礼申し上げます。また、大臣には平素から私ども町村に対して大変深いご理解をいただいております。この場をお借りしてお礼を申し上げる次第であります。
 まず最初に、今日私は大蔵省に1時間くらいおりました。この前の税調で、ある委員が交付税に関して大変厳しい意見を出しており、こんなことがどんどん通っていくと、私どものような町村は運営上大変影響を受けることになると思いまして、主税局長と約一時間くらい議論しましたが意見が合いませんでした。もう少し交付税というものに対して、それから地方自治というものに対して理解をとにかく深めていただきたい、地方自治というのはいったい何なのかという議論もしなければならないだろうが、交付税というのは、東京に住んでいようが田舎に住んでいようが法律上における利益が同じで共通していなければならず、そのために不足するものを補うものだと理解しています。ところが向こうもなかなかでございまして「この人だけじゃない、みんなそう言っているのです」と言って議事録を出してきました。そういうふうなことがまかりとおるというようなことになると私どもとしては大変です。みんなで協議をした上でまたどうするかご返事しますと言って分かれてきましたが、そういうような厳しい状況下にあるということを知りました。おそらく自治省の大臣以下幹部の皆さん方が大変苦労なさっているのではないかと頭が下がる思いがしました。どうぞ一つ町村がこれからもやっていけるように最大の努力をしてくださるように最初に申し上げます。
 次は、市町村の合併についてでありますが、市町村の合併についてだんだん声が高くなってまいりました。今、合併をするために、どういう根拠か解りませんが、人口3万人でもいいということまで言われておりますが、そうすると今現在3万人を超えている町村はどうするのかということになっていきます。これは少し考え方が現実からずれているのではないかと思います。実は私の県で各町村長の意見を聞きましたら、一番多いのは平成17年の3月31日までに合併することはできない、それ以降に考えたいというもので、これは要するに合併はしないということなんです。平成17年というのは時期尚早であり、それ以降に将来について考えてみたいという言い方をしているのが大半でございます。
 中には合併の協議会を設けているところもあり、これからどんどん皆さんと協議をして合併機運を高めていかなくてはならないと思っていますが、全体を見ると大半は合併を考える時期ではないという意見です。合併をせざるを得ない理由というものがまだ周知徹底されていないというところがあるような気がします。
 それからもう一つは、県で推進要綱を作ることになっていますが、下手なパターンを作ると合併の障害になる恐れがあります。それからまた、合併をしたらどういうメリットがあるのかというのもございます。自主的に合併を行うべきであるが、自主的に行うにしてもまだまだ、なぜ合併を行わなければならないのかという啓蒙が少し欠けているのではないかと感じましたので、そういうことでご検討いただければと思います。
 次に介護保険でございますが、介護保険について10月から保険料をもらうことになっています。私どもは72の市町村で広域連合を作っていますが、保険料を徴収する通知書を送りましたところ問い合わせがずいぶんたくさんありました。初めてだからこういう問い合わせがあるのはある意味であたりまえなのですが、極めて基本的というか素朴な問い合わせがたくさん来ています。あえて言えば私どもの説明不足から起こるものばかりで大変申し訳ないと思っており、常々広域連合の職員にも周知徹底だけはやってくれよと言っており、各市町村でそれぞれやっているのですがそれでも周知されません。これから介護保険制度のことを皆さんに解っていただくにはどうしたらいいかというのが課題のような気がしました。
 それからもう一つ介護保険制度で私どもが一番気になるのは、費用全体の25%を国が負担することになっていますが、そのうちの5%が財政調整金ということになっています。いまは予定している額より少し低いのですが、来年の1月以降はかなり増額になるのではと思います。従って本当の意味での財政調整金の5%が活かされてくるのは来年以降になると思うのですが、これが枠内の25%の中に入っていると本当の
意味で財政調整にはならないと思います。だから25%の国の負担はそのままにしておいて5%の2,000億くらいを枠外で財政調整していただけるようこれからも国側で考えていただきたいと思っているところでございます。
 それから介護において機器をたくさん使えるように助成を行っていただきたい。私どもの所では携帯電話のようなものに自分の受け持っている要介護者の情報を全部打ち込んで、実施したらプリントできるような機器を持たせています。これが1台5万円くらいかかります。これ1台持っているとホストと繋がっているので請求書まで全部発行できるようになっているが、認定用の機器もありますし、こういうものを充実させるための助成をしてやる必要があるのではないかと思っています。
 次は国保事業でございますが、国保についてはご存じのとおり毎年一般会計から繰り出しているのが3,000億くらいあるんですが、それでも1,000億程度の赤字収支になっており、合計しますとトータルで4,000億の赤字を毎年抱えることになります。しかもこの10月から介護保険を国保に上乗せすることになっており、下手をすると徴収率が落ちるのではないかと心配しています。国保事業は根本から見直す時期が来たのではないかと思いますのでお汲み取りをいただければと思います。
 最後に住民訴訟では大変ご迷惑をおかけしております。中間的な報告を私どももいただきました。どうやら個人に対する訴訟はこれを改正していただいて全部行政機関がこれを受けることにしたいということで地方制度調査会の方でご検討いただけるということを伺いました。ぜひ一つお願いいたしたいと思います。ただ中には住民に幅広く参加させて監査をやってもいいんじゃないかというご意見もあるようですが、それに対して抵抗感を感じる人もあるようです。これは皆さんによく説明し、納得いただくということが大事かもしれません。
 長々と申し上げ恐縮ですが、ごあいさつをさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

自治大臣 西田司

 2度目の自治大臣を拝命した西田司です。地方行政の最前線において日頃から地方自治の発展のためにご尽力をいただいている町村長の皆さん方に心から敬意を表する次第であります。
 本年4月1日地方分権一括法が施行され、地方分権はいよいよ現実の歩みを始めました。地方分権推進法が1年延長されたところでございますが、自治省といたしましてもこの分権改革の定着と一層の進展を図るため今後とも強い決意で皆様方のご理解もいただきながら取り組んでまいりたいと考えております。こうした中、地方公共団体においては分権型社会を担うにふさわしい簡素で効率的な行政体制の整備が一層求められております。今もかなり力をいれてお話がありましたが、市町村合併については、私はこれは時代の変化というかこれからの21世紀を考えたときに避けて通ることのできない重要なテーマであると考えております。国、都道府県、市町村が一体となって積極的に取り組んでいきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。このことについてはまず基本的には自主、自立、住民本位をという考え方は私も全く一緒であります。ですからそのことによって国が強圧的に合併をするのだという考え方は毛頭持っておらないわけであります。ただ、かれこれ40年ほど経ちましたが私もかつて市町村長をやった経験がありますが、特に高度経済成長期の中でどんどん進んでまいりましたが、今また一つの大きな時代変革に直面してきています。市町村のありようやそういう変化の中でどういうことを目標にやっていくかということは我々政治や行政に携わる者として、避けて通ることのできない課題ではなかろうかと、思っておるわけでございます。
 また一方、お話にもありましたが、地方財政が極めて厳しい状況にございます。これは今まで市町村においてもこの問題については県が解決してくれるのではないか、あるいは国が何とか始末をつけてくれるのではないかというやや依存型の空気もなきにしもあらずであったわけです。ところが国と地方の財政を見たときに、いま国民預金が1,3000兆円といわれておりますが、大体その半分の640兆円の国と地方をあわせた借金があるということから考えると、これからも依存型をやって行くだけの力が国にあるのか、そういうことを考えると、いろいろ批判もありますが、引き続いてこれらを立て直していくために地域経済の建て直し、景気を自律的回復基調に乗せていくことなど、森内閣もそういうことを一つの目標としてやっているわけであります。だから地方財政の問題についても合併の問題においてもそういうことを視野に入れながらさてどう進んでいくことが間違いのない将来をつくることになるのか、また住民が本当に安心して生活できるような国家社会、地域社会をつくっていくのかということになってくるのではなかろうか、こう思っております。
 交付税についてもございましたが、交付税の算定方法の基準などの是正や改善をその時々の世の中の変化に伴ってやっていかなくてはならないと思っております。しかし、交付税というものの根っこから、これはおかしいじゃないか、あるところからないところへ金をばらまくなんていうことはおかしいじゃないか、というのには私は賛成ができません。この問題は財政のみならず地方自治の根幹にかかわるものだと思っておりますのでこれらはぜひ中身の改善を図りながらやっていかなければならないものだと思っております。
 続いて地方税に関しましては先般政府税制調査会の中期答申がとりまとめられたところでありますが、この答申の方向に沿って個人住民税の充実や固定資産税の安定的確保など地方分権を支える地方税財源の充実確保にさらに邁進していかなくてはならないと考えております。また先般情報格差を是正し、地域住民の利便性の向上を図るなど地域における情報化施策を積極的に推進するため地域IT推進本部を自治省内に設置したところであります。
 以上当面する諸課題について、簡単に申し述べました。今後とも活力ある地域社会の発展のためにここで力を入れてお話しいたしたいのですが、国は国、県は県、市町村は市町村という縦割り的なことでは今後本当に地方や地域で生活される人たちは、介護のお話も出ましたが、国保もしかり、医療や教育もしかりでありましょうが、そういうことはお互いが連携をとりながら少し言いにくいことや耳障りの悪いことでもお互いに率直に意見交換をしていく中でどういう方向を見いだしていくかということでなければ新時代に対処することはできないだろうと思っております。本日ご出席の皆様方の益々のご健勝とご活躍、それぞれの地域社会の発展をお祈りを申し上げまして私のごあいさつといたします。

2、懇談

全国町村会副会長 宇都宮象一(愛媛県宇和町長)

 基本的には町村合併の問題が町村にとって大きな課題であります。全国町村会としては真に住民が望む自主的なものということでいろいろと検討している段階であります。特に私どもが懸念いたしますのは、交付税などの財政的な措置によってやむを得ず合併ということにならないかということであります。例えば4,000人未満の町村に対する交付税算定基準が変わって大幅な減額になっているところがあるという実態がありますが、こういったことになっていくと町村自体が自主自立ができなくなるような状況に追い込まれては困るということが一番頭にあるわけであります。どうか財政的なものも含めまして自主自立の精神が活かされるような町村合併に対するご指導をいただきたいと思っております。
 次に、国の方では来年から1府12省庁と大幅な省庁再編が行われますが、仄聞いたしますと地方の出先機関に非常に権限を移譲していくというようなことも聞いておりますが、そうなりますと地方分権でやっております市町村や県がその出先機関によって制約されるというようなことがあっては困りますので、よろしくお願いいたします。

全国町村会副会長 佐々木隆人(北海道えりも町長)

 私から2点お話申し上げたいと思います。まず合併の問題ですが、全国で一番合併が推進しにくいのは北海道ではなかろうかと考えております。全国の町村の平均面積が116ですが北海道の場合は約3.4倍の394でございます。北海道の場合は非常に面積が広くそういうところが最大のネックになるわけでございます。町村会としてアンケート調査しましたところ、178町村ありますが60%は合併に賛成であるという答えをいただいています。ところが道が93の具体的なパターンを示しましたが、その結果賛成は30%に減りました。それはやはり面積が非常に大きくなり、東京都や大阪府より大きな町村ができるというようなことが原因ではないかと思います。町民が役場に行くのには一時間が限度であろう、そうすると半径40㎞が限界であろうと思っているわけです。そういうわけで道といろいろ話し合いを持っているところでありますが、道は6月の定例議会に合併推進要綱案を提示しようという考えでしたので、私は「合併の当事者は町村なのだから全町村に説明し、意見を聞く機会を持たなければ民主的な手順にはならない。」といって待ってもらいました。14支庁の地区町村会を対象に道から説明をしてもらい、それぞれ意見を求めているところで、あと2,3回やりますと地区町村会との話し合いが済むというところまで進んでおります。
 従って9月には北海道としての合併推進要綱案ができるというふうに考えていますが、何といっても北海道の場合は面積がネックになっておりまして、今後どのように推移するのか予断を許さない段階でございますのでこういった事情についてご理解をいただきたいと思います。
 次に税財源の問題でありますが、地方分権の推進に伴いまして地方税財源の充実確保はまずもって重要な課題であると考えております。私ども町村会といたしましてもこれから地方分権時代にふさわしい町村税財政制度の確立を目指しまして町村の立場からそのあり方の検討を行うために検討委員会を去る7月28日に立ち上げ、いま鋭意取り組んでいるところでございます。何といいましても結論的にはどうしても地方交付税に行き着くわけでありまして、政府税調あたりではこのことについて厳しいことを言っているようであり、かねてから中央で上げた利益を地方が略奪していくというような厳しい意見もあることを承知しております。しかし、国と地方は一体となって国民のための行政を進めているわけでありまして、国が決めた枠組みに従って私どもは国民のためにいろいろやっているわけでありますから、国から交付税という形で交付されるのは当然のことだと考えているわけです。略奪しているというような考えについてはぜひこれを払拭していただかなくてはならないと思っているところであります。
 それから地方税の関係ですが、町村の基幹税であります個人住民税を一層充実していただきたいのと、固定資産税についても安定的確保の方向でよろしくお願いしたいと思います。
 また道路特定財源を一般財源化するとの方向で検討すべきという意見が出ているようでございますが、ごれも受益者負担の観点から、また道路整備の必要性からこの制度はぜひ維持していただきたい。地方はまだまだ道路整備が必要でありますのでご理解をいただきたいと思います。


西田自治大臣

 自治省の方でもそういう方針・方向に向かっていまあらゆる角度から検討を進め、方向を定めているところであります。もし皆さんの方から話のあったことに対して話があるようならお答えしてください。

嶋津財政局長

 冒頭に宇都宮町長さんの方から交付税の算定、段階補正の関係だと思いますが、それと合併問題との結びつきについてみたいなことをご意見としていただきました。これは繰り返し申し上げておりますので長くは申しませんが、交付税の算定の簡素化ということで分権推進委員会の答申等も踏まえてやっていることでございまして、私どもはむしろ交付税制度を守るためにはやはり算定の合理化というのは避けて通れないと考えておりまして、こういうふうな是正に伴い適応された団体において例えば今年は保健衛生費や老人保健福祉費や社会福祉費について段階補正の是正をしました。交付税の基準財政需要額はその費目の決算の一般財源充当額を上回るというのは、これはやはり周りから指摘された時に需要額の方が決算を上回るというような算定をそれぞれの費目についてしていると、交付税制度はそれではもっていかないだろうと思いますので、そういう点でこれからもある程度算定の合理化、制度を守るためにも算定方法の合理化は進めて行かなくてはならない。また会長からもお話もございましたが、国土保全、森林を守るとかそういう行政も大事だと思うので我々も交付税の費目で相当毎年重点的に算定をしてきているわけでございますので、そういうこともそれぞれの団体で理解していただいてそういう施策に結びつけていただく。ある程度の期間それで検証してみてやはり決算と交付税の費目の整合性を確保して行かなくてはならない。そういうことの繰り返しで交付税制度をより良いものにしていくということをやらなければならないと思いますので、合併を進めるために4,000人未満の団体をいじめてるんだというような説を外に向かって言うこと自体地方財政にとってはあまりプラスにならないと思っています。

中川行政局長

 最初に、会長さんの方から3万市の話がございました。皆さんご存じのとおりですが、かつて3万でも市になれるという時期がございまして、特に戦後の大合併の29年から41年くらいまでは合併をする場合は3万市ということで市の要件がありました。過去にも例がございました。特に最近の状況としましては、たとえ都市部でも人口がなかなか増えていかないという状況の中で、なんとか3万を超えて市になるのであれば合併を前向きに考えてもいいという地域もかなりでてきておりまして、特に離島など他の地域とくっつきようがない場合は特にそういう要望が強く、こういう要望を受けて自民党を中心に党の方でいま考えておられるということなので我々としてはその状況を見守っていきたいなと思っております。ただその中には来年の4月に合併をしたいという町村もございますからその話が進むのであればかなり急いで進展するのではないかという気がいたしております。
 それから、いま各都道府県で要綱を作っていただいておりまして大半の都道府県では年内を目途に発表していただくということでいろいろ努力をしていただいております。その中にあって、かねてより町村会の皆さん方の要望の中にもございましたが、やはり当事者である市町村のご意見を充分聞くようにということで、いま佐々木副会長さんが仰ったように各都道府県で市町村の意見をできるだけ聞くという形を織り込んでやっていただいているように思っています。
 それから面積の話がございました。北海道は特に面積が広いためになかなか合併できないという意見があることは十分承知いたしております。昭和の大合併の時も北海道は他の地域に比べて合併がなかなか行われなかったということもございました。面積がネックになったというのはおそらくそのとおりだろうと思います。ただ、当時と比べて道路事情・交通機関などの発達は大きく変わっておりますし、IT革命と言われるようにいろんな情報機器を活用した行政展開ということもできるわけですので、必ずしも面積というのは合併の大きな阻害要因になるとは思っておりません。そこを克服して合併を考えていただくというのが、北海道をはじめとする関係地域の課題ではないかと思います。もちろん支所や出張所を設置していろいろ面積が広い部分をカバーするということことも考えられると思っております。
 それから宇都宮副会長の方から地方出先機関の権限のお話をいただきましたが、これは中央省庁の再編に伴って特に国土交通省などは地方整備局というかなり大きな権限を持った出先機関を持ちますが、現在我々が承知している限りでは従来の国が持っている権限を中央でやるか地方でやるかということでありまして、地方の権限を吸い上げてそちらでやらせるということは一切考えてないと聞いております。ただ分権の時代でありますので今の権限配分に満足することなく更に権限移譲していただきたいと考えておりますが、来年の1月の施行後どのような動きになっていくのか我々としても関心を持って見守っていきたいと思っているところでございます。

 このあと本会政務調査会の各部会長からそれぞれ次のテーマについての発言が行われた。

政務調査会行政部会長 平野博(宮城県柴田町長)

 私の町は早くからバリアフリーに取り組んでおり、多額の経費をかけて駅のプラットフォームやエレベータなどの施設を整備したが、電車そのものが二段の踏み込み式のままで改善されず困っている。それから都市と地方の財政問題について、都市の税収を地方にばらまいていると言う発言もあるが、地方で得た利益を東京本社に集めたにすぎず、地方に循環させるのは当然のことと思う。
 税制その他のすべてについて都市と地方を対立させてはいけないと思うのでよろしくお願いしたい。

政務調査会財政部会長 衛藤龍天(大分県久住町長)

 私からは税財源問題について申し上げます。税源の乏しい町村にとって地方交付税制度はますます重要となってきますが、算定基準等は大臣がおっしゃるとおり時代にあわせて対応して行くのは当然と思います。
 ただ交付税というのは一般にはあまり知られていないので、制度の本質を性格に啓蒙することが大切と思います。それから株式の譲渡益については、既定方針どおり申告分離課税で、また、ゴルフ場利用税については充実強化でお願いしたい。また、環境税という議論もありますが、農山村のもつ公益的機能をきっちり評価して国民の理解が得られるようにしていただきたい。

務調査会経済農林部会長 林田敦(宮崎県西郷村長)

 一言申しあげたいのは、地方交付税の問題です。
 時代の変遷と情勢の変化に対応して交付税の中身を改善して行くことは当然のことだと思いますが、町村と都市との関連で、人口1人当たりどれくらい交付税が交付されているかという物差しで見るのは非常に問題がある。
 町村は面積の9割程度は森林であり、森林を育て国土を保全しているという大きな役割を果たしている。このため、交付税の見直しに当たっては、面積(森林)に重きをおいて試算する必要があります。
 また、林道等思い切った整備が必要であり、道路並みの維持費を交付税の算定の中に入れて行く必要があります。

3、閉会あいさつ

田自治大臣

 私どもも会議・会議と続けているわけですが、今日は町村会の代表の皆さんと膝をつき合わせて、率直なご意見をいただきました。私の方も気に入る、気に入らないは別として率直に意見を申し上げた。そういうことで今日の会議は私は非常に有意義なものであったなと先ほどから思っているわけでございます。我々の手の届かない問題等もございました。それからまた私たちが不退転の気持ちで将来を考えていることもご理解をいただきたいというようなことで今日の会議は良かったと思います。時にはこういう会議を持ち、皆さん方と意見交換をしながら当面の課題を解決していくようにぜひお願いしたい。それから平野さんからご発言のあったことは私が常日頃考えていることと全く同じで、都市と地方というのは考えてみたら、やはりまず都市に人が集まり、仕事が集まり、そして結局金が集まる。だからだんだん人が集まってくる。均衡ある発展を考えると地方というより国の一つの最大の課題であるという印象を持ち、今後皆さんと一緒に頑張っていきたいと思っております。ありがとうございました。

山本全国町村会長

 大臣以下皆さん方にはお忙しい中ありがとうございました。しかも今日は有意義な懇談会ができました。
 私が言ったことでご理解いただきたいのは、今日大蔵に行ったのは私が進んで行ったのではなく、向こうが来ると言うから表敬の意味で私が行ったということです。
 もう一つ町村合併のことで、3万人以下の市が70いくつかあります。3万以下になったところはなぜ市からはずれないのか。そういうところは町なり村なりにもどるということでないと制度としておかしいのではないではないかと思います。
 それからもう一つは17年以降はどうなるのかということですが、いいにくいでしょうがある程度ニュアンスを含めた説明をしないと合併の促進の障害になると私は思いますが。それをちょっと申し落としておりましたので、お考えの中に入れてください。
 いずれにしても私ども全国町村会は皆一致協力をして努力をして参ります。せっかく今日大臣が私どもに有意義な話をしていただきましたので、これを旨にして努力していく所存であります。ご迷惑をかけることもあるかとおもいますが適切なご指導をくださるようお願いします。本日の皆さん方のご厚意に心から感謝申し上げてお礼のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。