「国と地方の協議の場」(平成28年度第1回)が、5月23日、首相官邸で開かれ、本会の藤原会長(長野県川上村長)はじめ、地方六団体代表が出席しました。 政府側は、安倍内閣総理大臣、麻生副総理・財務大臣、菅内閣官房長官(国と地方の協議の場議長)、高市総務大臣、石破内閣府特命担当大臣・まち・ひと・しごと創生担当大臣、 石原内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、加藤一億総活躍担当大臣などが出席し、「骨太の方針」の策定等や 一億総活躍、地方創生及び地方分権改革の推進について協議しました。
続いて、地方六団体を代表して上田全国知事会副会長(埼玉県知事)が挨拶。「熊本地震に関し、激甚災害の指定や補正予算の成立等、迅速に対応いただいたことに御礼申し上げる。 南海トラフ巨大地震など新たな危険が迫りつつある一方、平成27年~29年にかけて、約1兆円の防災関係の財源が消失することに直面しているため、こうした問題についてもお力添えを賜りたい。 少子化対策については、子供の貧困対策が大事であり、そのためには教育費の負担の軽減が必要。東京一極集中の是正では、2015年には東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に約12万人の転入超過があり、 この傾向を分散することも危機対策や災害対策部門で必要である。今後、企業収益の拡大や、雇用の増加等の循環を確かなものにするため、国・地方が連携・協力して対応することが重要だ。」と述べました。
この後、協議に移り、「骨太の方針」の策定等に関し、藤原会長は、熊本地震への対応について、自身が被災地を訪れたことを踏まえ、被災市町村で大量に発生しているガレキの処理が急務となっていることや、 熊本県は有数の農業県であり、今後の生産への影響が懸念されることから、被災生産者等への適切な財政支援が不可欠であることを指摘。その上で「被災町村は中山間地域が多く、 西原村のように被害が甚大でありながら一般財源規模が小さいところは、災害復旧費等の地方負担に耐えられないと訴えている。被災した全町村が一日も早く復旧・復興を果たせるよう、 政府には東日本大震災を踏まえた、万全の財政支援をしていただきたい。また、庁舎の耐震補強をしっかり行い、十分な防災機能を果たせるような対策を講じて頂きたい。」と要請しました。
さらに藤原会長は、「地方行財政改革等に関しては、小規模町村は、民間の委託先を見つけることが困難であるため、こうした地方の様々な実態を十分踏まえ、町村の行財政運営に支障が生じないようにして頂きたい。 TPP関連対策では、現在検討されている加工食品の原料原産地表示は、日本の高い品質の農産物を消費者に知らせる上で重要な取組であり、積極的に推進して頂きたい。」と強調しました。
これに対し高市総務大臣から「小規模町村では民間委託が難しいということだが、トップランナー方式は地方自治体への影響を考慮して、 3年~5年程度をかけ段階的に(交付税の基準財政需要額の)算定に反映する。民間委託が実施困難な小規模団体については、地域の実情を踏まえ対応する。庁舎の耐震化については、 従前から公共施設の耐震改修に活用できる起債充当率100%、交付税措置率70%の緊急防災・減災対策債等の地方財政措置を講じてきたことから、 引き続き早急に取り組んでいただくようお願いする。」との回答がありました。
続いて、一億総活躍、地方創生及び地方分権改革の推進に関し、藤原会長は、一億総活躍プランにおいて、 人材の確保・育成等の問題に真剣に取り組んでいただいているとしたうえで、「介護支援に関しては、処遇改善を図っていただいているが、 中山間地域や離島など介護職員の確保が困難な地域においても人材が確保できるよう特段の配慮をお願いしたい。地方創生については、町村は農林水産業が主力産業であり、農山漁村のもつ地域資源を活かし、 新たなしごとを生み出す環境を作り、地域経済の厚みを増していくことが重要。地域コミュニティや伝統文化等を支えてきた集落を維持するため『小さな拠点』づくりを進めていくことも重要であり、 積極的な支援をお願いしたい。地方創生の推進には、"人材"が極めて重要である。地方創生人材支援制度は、地域の人材育成の刺激となるため、是非続けていただきたい。」と要請しました。
最後に地方六団体からの要請等を受け、菅内閣官房長官が、「本日協議した事項について、地方の最前線で活躍されている皆様のご意見を真摯に受け止め、皆さんと連携しながら進めていきたい。 特に熊本地震に関しては、政府として全力で対応していく。」と強調し、協議の場を閉会しました。