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「TPPを慎重に考える会」で藤原会長が意見陳述

印刷用ページを表示する 掲載日:2010年10月27日

「TPPを慎重に考える会」の写真
会議で発言する藤原会長の写真

会議で発言する藤原会長

 民主党等の議員による「TPPを慎重に考える会」(会長 山田正彦 前農林水産大臣)は10月27日、緊急集会を開催し、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加について農林水産業団体、地方自治体、消費者団体、環境団体等からヒアリングを行いました。本会からは藤原忠彦会長(長野県川上村長)が出席し、TPPの参加に対して強い懸念を表明の上、早急な撤回を要望しました。

 藤原会長は、はじめに、菅首相の臨時国会の所信表明における、TPPへの参加を検討する旨の発言について、農林水産業が地域の基幹産業となっている全国941の町村長の1人として、憤りに似た気持ちを表明せざるを得ないとした上で、以下の点について強い懸念を表明しました。

 まず一点目として、TPPへの参加について、関税撤廃により農林水産業や農山漁村が壊滅的な被害を被る重大な政策変更であるにも関わらず、町村長をはじめ現場の声を一切聞かず唐突に参加に前向きの姿勢を示したことは民意を全く無視したものであるとし、菅首相に対し農山漁村の現場の声に謙虚に耳を傾けるとともに納得のいく説明を行うよう求めました。

 二点目として、政府の食料・木材供給率を10年後に50%に引き上げるという政策目標や来年度からの戸別所得補償制度の本格実施といった政策とTPPとの整合性について、関税撤廃後に戸別所得補償制度を継続すると数兆円規模の財源が必要になると指摘。政府からこの件について何の説明もなく、強い疑念を感じざるを得ないと述べました。

 三点目として、WTO(世界貿易機構)やFTA(自由貿易協定)について、「国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない」としたこれまでの政府見解と、11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)においてTPPへの参加を菅首相が表明したい意向であるという報道内容を比べると、全くの「言行不一致」であり、到底理解できるものではないとの発言がありました。

 最後に、農林漁業は国民の命を支える生命産業であり、農山漁村は国土・自然環境や生物多様性を守る砦であるとともに、伝統・文化を育む「屋根のない教室」であるが、三位一体改革による交付税削減や平成の合併等により疲弊の度を強めており、このような状況を理解せずに、TPPへの参加について、自由化による経済効果という単純な数字や目先の利益だけで論じるべきではない。独立国としての日本の国家戦略が問われているのであるから、菅首相は「地域の視点」に思いをいたし、TPPへの参加を一日も早く撤回すべきであると訴えました。