全国町村会は、11月18日(一部地方紙によっては別日)、新聞意見広告を掲載しました。意見内容は下記の通りです。
わたしたち、日本人は、古代から自然との共生を大切にしてきました。自然をさまざまな形で神として敬い、祭りをおこない、習俗を継承し、共同体をつくってきました。そして、そのなかで、豊かな情感、繊細な美意識、優しいもてなしの心などを育んできました。農村や山村、漁村。それは、まさしく日本の原風景、日本人の心の原点なのです。
このかけがえのない「ふるさと」が、いま、危機に直面しています。過疎化、少子高齢化が一段と進み集落の賑わいは消えました。地域の祭りや伝統芸能も失われようとしています。そして、農林水産業の衰退や地域経済の低迷といった厳しい状況にも好転のきざしは見えない…。 地方は元気になるどころか、逆に活力を失っています。
農山漁村は、水源の里として、豊かな実りの場として、海の恵みの受け手として、自然と折り合う技や知恵を蓄えながら、無数のいのちを育み、美しいふるさとの山河を必死に守り続けています。そして、いまや新しい暮らし方となりわい創出の舞台にもなっています。私たちの生活を支えているのが、これらの地域なのです。いまこそ、農山漁村の持つかけがえのない価値をあらためて認識し、後世に引き継いでいかなければなりません。
「平成の合併」でかつて2,600ほどあった町村は、1,000弱にまで減少しました。
そして、もっとも身近な日本人の遺産といわれ、歴史のなかで愛され、誇りとされてきた多くの町村名も、消えました。効率だけを追求し、市場主義に偏った制度改革で突き進んだら、もう後戻りはできなくなります。
「ふるさと」を失うことは、「日本」を失うこと。日本人のアイデンティティーを永遠に失うこと。わたしたちは、そう確信します。