吉田隆行会長(広島県坂町長)をはじめとする地方六団体代表は5月27日、「国と地方の協議の場」(令和7年度第1回)に出席しました。
政府側は、石破内閣総理大臣、林内閣官房長官、村上総務大臣、伊東内閣府特命担当大臣(地方創生)兼新しい地方経済・生活環境創生担当大臣、赤澤経済再生担当大臣兼新しい資本主義担当大臣兼内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、あべ俊子文部科学大臣、小泉進次郎農林水産大臣、中野洋昌国土交通大臣、斎藤洋明財務副大臣が出席しました。
会議では、「骨太の方針」の策定等及び地方創生2.0について協議が行われました。
▲挨拶する石破内閣総理大臣
はじめに石破内閣総理大臣が挨拶に立ち、「今年度の骨太の方針では、地方創生2.0を主要な柱にしていきたいと思っている。国民が今日より明日は良くなると実感できて、ふるさとへの思いを深めていただくため、地方創生2.0の取組を令和の日本列島改造として強力に進め、特に若い方々や女性の方々がそのように感じていただけるように、そして、楽しいと感じていただけるように、地域の魅力を高めていきたい」と述べました。
続けて、地方六団体を代表して、村井全国知事会会長(宮城県知事)が挨拶に立ち、①地方創生の実現に向けて、人材支援や財政支援など、地方の取組を後押しすること、②米国の関税措置等は地方の産業にも大きな影響を与えることが懸念されることから、米国に対し追加関税及び相互関税の見直しを粘り強く求めること、③いわゆる103万円の壁のさらなる見直しやガソリン暫定税率の廃止への対応などについて、地方の担う行政サービスに支障を来すことがないよう十分に配慮し、仮に地方に恒久的に減収が生じる場合には、その代替となる恒久財源を措置するなど、地方の財政需要に対応した税財源を安定的に確保すること―を求めたうえで、「社会保障費の増加や人件費の大幅増、物価高をはじめ、地方が抱える重要課題へ対応するための所要額を地方財政計画の歳出に確実に計上し、一般財源総額を増額確保するようお願いする。我々地方は地方創生をはじめとする諸課題に国と一致団結して取り組む」と述べました。
▲出席した吉田会長
その後、協議事項に入り、吉田会長は①標準準拠システムへの移行について、国主導の移行であることも踏まえ、移行に関する全ての費用、移行前を上回る運用費用の全額国費による措置について、骨太の方針にしっかり位置づけること、②持続可能な農業・農村政策の推進について、特に地方の重要産業である農林水産業は担い手不足が深刻であり、所得向上に向けた支援や後継者等の育成・確保対策を早急に講じること、また、食料の供給や国土保全など、農村が持つ多面的な価値を高めるため、農村政策を一元的に推進し、よりきめ細やかな支援を講じること、③物価上昇等に適切に対応し、行政サービスを安定的に供給できるよう、地方交付税等の一般財源総額を確実に確保すること―を求めました。
これらを受けて、各大臣からは以下の通り発言がありました。
〇赤澤経済再生担当大臣兼新しい資本主義担当大臣兼内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
〇村上総務大臣
地方の一般財源総額については、令和8年度以降も社会保障関係費や人件費などの増加、物価高が見込まれる中で、引き続き自治体が必要な行政サービスを提供しつつ、安定的な財政運営を行っていけるよう必要な一般財源総額をしっかりと確保していく。
デジタル化の推進の中の標準化後の運用経費問題は総務省も重要な課題と認識しており、デジタル庁と取組を協力していく。移行経費を支援する基金の期限は、自治体の意見も踏まえ5年延長の法改正を行った。今後は新たな上限額を示し、なお必要な経費は財政措置を含め総合的に検討してしっかり行いたい。
デジタル化の推進で標準準拠システムの移行費用について、移行後の運用費用は想定を超えて大幅に増加するので、全額を負担できるように一生懸命努力していきたい。
〇伊東内閣府特命担当大臣(地方創生)兼新しい地方経済・生活環境創生担当大臣
その後、意見交換があり、吉田会長は、食料安全保障について、米不足など食料の安定供給への国民の関心が高まっているとしたうえで、「米を中心とする食料価格の高騰への対策や生産者が安心して農業経営を続けられる対策等、食料安全保障の確立・強化を図っていただきたい。」と述べました。また、米国の関税措置について、「日本の産業や農業が不利益を被ることのないよう、関税交渉に万全を期していただきたい。」と述べました。
これを受けて、各大臣からは以下の通り発言がありました。
〇小泉農林水産大臣
〇赤澤経済再生担当大臣兼新しい資本主義担当大臣兼内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
最後に、林内閣官房長官が、「いただいた御意見を真摯に受け止め、政府全体としても地方創生2.0の推進や物価上昇に負けない賃上げの実現、人命・人権最優先の防災立国の構築に全力で取り組んでいきたい」と述べ、協議は終了しました。