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吉田会長が「国と地方の協議の場」に出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年12月10日更新

 吉田隆行会長(広島県坂町長)をはじめとする地方六団体代表は11月27日、「国と地方の協議の場」(令和6年度第2回)に出席しました。
 政府側は、石破内閣総理大臣、林内閣官房長官、村上総務大臣、伊東内閣府特命担当大臣(地方創生)、兼新しい地方経済・生活環境創生担当大臣、福岡厚生労働大臣、坂井国土強靱化担当大臣兼内閣府特命担当大臣(防災)、三原内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)、赤澤新しい資本主義担当大臣、斎藤財務副大臣が出席しました。
 会議では、新地方創生及び地方分権改革の推進、人口減少対策及び若者・女性にも選ばれる地方について協議が行われました。

 

全景

 

挨拶する石破内閣総理大臣
▲挨拶する石破内閣総理大臣

 はじめに石破内閣総理大臣が挨拶に立ち、

 「本日は、新地方創生及び地方分権改革の推進、人口減少対策及び若者・女性にも選ばれる地方ということが議題となっているが、その重要性は皆さま方ご案内のとおりである。
 地方創生を安倍内閣で10年前、初代大臣として2年間やらせていただいた。47都道府県1718市町村、それぞれでいろいろな取組をしていただき、うまくいかなかったのもあるが、成功した事例もいっぱいあると思っている。うまくいかなかったとすれば、何をどう改めていけばいいのかということだと思っている。やはり、それぞれの47都道府県1718市町村において、それは県庁でやるんだよね、市役所でやるんだよね、町役場でやるんだよね、ということではなく、『産官学金労言』といつも言いますけれども、あらゆる方々が集まっていただいて、議論していただいて、答えを考えていただく。どこかのコンサルタントにお願いして、『はいそれが答えです。』みたいなことをやっても、良くなるはずはない。予算も増やすし、取組も強化する。情報がない、金がない、時間がない、いろいろできない理由が並ぶこともあるが、それぞれ一つ一つきちんと解決していかねばならんことだと、私は思っているところであるので、ぜひよろしくお願いする。
 若者と女性に選ばれる地方ということについて、婚姻率が低いところが人口減少するということは間違いなく正の相関がある。結婚する率が低い、そういうところで人口が減る、これは事実としてあるわけで、それじゃあ一体どうしたらいいのか、ということに今回答えを見出していかねばならない。
 本日、実り多い議論が行われ、やはり地方から国を変えていくということをぜひともやりたいと考えている。今日の主な議題ではないが、防災につきましても、私ども内閣として一生懸命取り組んでまいる。どうしたら防災力が強化できるか。地理的条件が良くなるとか、財政が厳しいとか、そういうことでそこの人たちが大きな被害を受けるということがあってはならないのであって、どうやって防災力というものを強化していくのか、ということにつきましても六団体の皆さま方のお力を賜りたい。どうぞよろしくお願いする」と述べました。

 続けて、地方六団体を代表して、村井全国知事会会長(宮城県知事)が挨拶に立ち、「『地方創生2.0』として再起動する『新たな地方創生』に大きな期待を寄せており、若者、女性にとっても魅力ある地域社会の構築など、人口減少問題の構造的解決に向けて、国と連携・協力しながら努力していきたい。一方で、社会保障費の増加、物価高に人事院勧告等に伴う人件費のへの対応など、地方の歳出は増大しており、地方創生にしっかり取り組むためにも、地方交付税等の一般財源総額について増額し、必要額の確保をお願いしたい。また、話題の『103万円の壁』や『トリガー条項』問題については、地方が担う行政サービスに支障を来さないよう、恒久財源による補填など、地方税財政への影響を考慮いただきたい。課題は多岐に及ぶが、総理には強いリーダーシップを発揮いただき、地方を含む国全体を発展させ、希望と安心した未来を切り開いていただくことを期待する」と述べ、挨拶を締め括りました。
 

出席する吉田会長
▲出席する吉田会長(左)

 その後、協議事項に入り、吉田会長からは「持続可能な地域社会の実現について、地方分散型の国づくりを推進するためには、産業の地方への分散を進めるとともに、東京圏に集中している専門人材の地方における確保などの施策を積極的に推進するなど、新たな地方創生においては、若者や女性にとって魅力ある地域づくりを大胆に進める施策の実施をお願いしたい。また、一般財源総額の確保については、町村が人口減少・少子高齢化対策などさまざまな行政課題に取り組み、持続可能で住み続けられるためには、財政基盤の強化が不可欠であり、物価高や人件費の増加などにも適切に対応し、安心して地域づくりに取り組むことが出来るよう、地方交付税等の一般財源総額の確実な確保を強く求める。なお、閣議決定された総合経済対策について、『103万円の壁』の引き上げや『トリガー条項の凍結解除』等について検討を行うことが明記されたが、地方財政に深刻な影響を与えかねないものであることを十分踏まえたうえで、町村の財政基盤を揺るがすことのないよう強く求める」との発言がありました。​

​ これらを受けて、各大臣からは以下の通り発言がありました。

  • 伊東内閣府特命担当大臣(地方創生)、兼新しい地方経済・生活環境創生担当大臣
    先月、総理を本部長、官房長官と担当大臣である私を副本部長として、全閣僚を構成員とする「新しい地方経済、生活環境創生本部」を創設した。11月18日に第1回の本部会議を開催したところであり、今後10年間、集中的に取り組む基本構想の策定に向けて、さまざまな機会で関係者のご意見を伺う必要があると考えているため、皆さまにもご協力をお願いしたい。また、地方創生の交付金について、総理より当初予算ベースで倍増をめざす方針が示されているが、必要な予算の確保に努め、地域の産官学金労言の多様な関係者が連携した取組を強力に後押ししたい。創設された本部のもとで、東京一極集中のリスクに対応した、人や企業の地方分散などについて、議論をしっかりと行い、少子高齢化や人口減少に対応すべく取り組んで参りたい。

  • 福岡厚生労働大臣
    医師の確保や偏在対策については、年末に向けて総合的な対策パッケージの検討を進めており、「保険あってサービスなし」という地域が生じないよう、適切な医療サービスを支える仕組みづくりを検討したい。また、今般の経済対策においても取組を進めていくこととされた福祉・介護人材の安定的確保については、賃上げの実現をはじめ、介護テクノロジーを活用した生産性向上や、外国人介護人材の受け入れ環境整備といった総合的対策に引き続き取り組み、これらの取組を通じて医療・介護等のサービスを受けられる場を守っていきたい。

  • 坂井国土強靱化担当大臣兼内閣府特命担当大臣(防災)
    能登地方の復旧復興については、被災前の活気ある町並みを1日も早く取り戻すために、これまで予備費7,000億円を措置しており、先般決定した経済対策においては、能登地方の復旧復興をはじめ、大規模災害への備えに万全を期すため、避難所の生活環境を改善する自治体の先進的取組について地方創生関係交付金を活用して支援する新たな枠組みの創設なども盛り込んでいるので、引き続き能登地方の復興、また、全国的な防災対策を着実に進めていく。大規模災害が激甚化、頻発化する中で、国民の生命・財産を守り、被害に遭うことを減らすのは我々の使命であり、政府としては「防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速化対策」を着実に推進するとともに、能登半島地震の経験を踏まえ、中期計画の策定作業を進めていく。

  • 村上総務大臣
    令和7年度の地方財政においては、社会保障関係費や人件費の増加、物価高などが見込まれる中、自治体がさまざまな行政課題に取り組みつつ、安定的にサービスを提供できるよう、地方交付税を含めた必要な一般財源総額の確保に全力で取り組む。また、教職調整額の引き上げについては、国と比較して地方負担が大きいことから、関係省庁と協議し、適切に対応する。なお、いわゆる「年収の壁」及び「トリガー条項」の見直しについては、新たな総合経済対策に方向性を盛り込んでいるが、地方税収への影響など諸課題を含め丁寧に議論を進めていく。デジタル基盤改革支援援助金については、現在、令和6年度補正予算への計上についても検討しているところであり、令和7年度末までとされているシステム移行経費を支援する基金の設置年限について、令和8年度以降の財政支援は自治体の意見を踏まえながら必要な措置を検討したい。​
     

 その後、意見交換があり吉田会長は、デジタル化の推進について「標準準拠システムの移行について、移行期限も含め、それぞれの町村の状況に応じた柔軟な対応をするとともに、移行経費についても、着実な移行が出来るよう、国としても必要な額を把握したうえで確実な支援策を講じていただきたい。また、ガバメントクラウド利用料や新たに生ずるベンダーへの委託費用、そして、通信回線利用料などは、現行よりもコストが上がる恐れがあるという声を多くの町村から聞いている。国は地方の声に耳を傾け、特に、ガバメントクラウド利用料については出来る限り低額に設定するとともに、コストが上昇する分については今後の町村財政に影響を及ぼさないよう、適切な措置を講じて欲しい」と述べました。

 これを受けて、村上総務大臣からは、「デジタル化の推進については、最新の調査結果と各自治体のご意見を踏まえ、標準準拠システムへの円滑な移行に向けてしっかりと取り組みたい。デジタル基盤改革の支援補助金もさらに増やしていきたいと考えている」との発言がありました。

 最後に、林内閣官房長官から、「地方創生2.0は石破内閣の最重要課題であり、若者・女性に選ばれる地方、防災・減災対策、地方財源確保と年収の壁について、それから候補の成り手確保を含めた地方議会の問題や東京一極集中について現場の感覚を教えていただいた。一朝一夕に解決する問題ばかりではないと思っている。地方創生2.0の中で政府一丸となって、各課題に一つずつ着実に取り組んでいく」と述べ、協議は終了しました。

【参考資料】

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