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棚野副会長・会長代行が「国と地方の協議の場」に出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年12月21日更新

 棚野孝夫副会長・会長代行(北海道白糠町長)をはじめとする地方六団体代表は12月18日、「国と地方の協議の場」(令和5年度第3回)に出席しました。
 政府側は、岸田内閣総理大臣、林内閣官房長官、松本総務大臣、自見内閣府特命担当大臣(地方創生)、赤澤財務副大臣、斉藤国土交通大臣、武見厚生労働大臣、河野デジタル大臣兼デジタル行財政改革担当大臣兼デジタル田園都市国家構想担当大臣、加藤内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)が出席しました。
 会議では、令和6年度予算編成及び地方財政対策について協議が行われました。
 

全景

 

挨拶する岸田内閣総理大臣
▲挨拶する岸田内閣総理大臣

 はじめに岸田内閣総理大臣が挨拶に立ち、
「臨時国会では、令和5年度補正予算が成立した。今年度の地方交付税、約5,700億円を追加配分するなど、地方の皆さまに、経済対策の事業等を円滑に実施していただくための措置を講じている。今後、各施策を一刻も早く国民の皆さまにお届けすることが、何よりも重要であり、補正予算の迅速かつ適切な事業執行を心からお願い申し上げる。

 次に、こども・子育て政策の強化については、国と地方が車の両輪となって取り組んでいくことが重要である。先週、素案をお示しし、皆さまのご意見を伺ったが、3.6兆円程度に及ぶ、前例のない規模での政策強化の具体案を盛り込んだこども未来戦略を今週中には決定したうえで、来年の通常国会に必要な法案を提出し、スピード感を持って、実行に移していく。

 また、マイナンバー情報総点検については、本年6月以来、政府を挙げて取組を進め、先日、点検結果を公表した。この間、総点検にご協力いただいた自治体の皆さま方に心から厚く御礼申し上げる。国民の不安払拭のための各般の措置の進捗状況を踏まえ、法令に基づき、予定どおり、現行の健康保険証の発行を来年秋に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する。引き続きご協力いただくよう、よろしくお願い申し上げる。

 本日は、令和6年度の予算編成及び地方財政対策を中心にご議論いただく。今日も忌憚のないご議論を聞かせていただくよう、よろしくお願い申し上げる」と述べました。
 

棚野会長代行(奥)をはじめ、協議に出席する地方六団体代表
▲棚野会長代行(奥)をはじめ、協議に出席する地方六団体代表

 続けて、地方六団体を代表して、村井全国知事会会長(宮城県知事)が挨拶に立ち、①総合経済対策に係る所得税減税の影響に対する国の責任による確実な補填と、社会保障関係費の一層の増加、物価高、全国的な賃上げを踏まえた地方交付税等一般財源総額の確保・充実、②こども・子育て支援政策について、全国一律で行うべき施策の国の責任と財源による実施と、地方が実情に応じて行う施策に対する地方財源の措置、③政府が検討を進めているライドシェアについて、それぞれの地域の実情を十分踏まえた実効性のある制度にすること-等を求めた後、「新年がよりよい年となるよう、引き続き、地方の意見を十分に聞き、力添えをいただきたい」と述べ、挨拶を締め括りました。

 協議の場において棚野会長代行は、①デジタル化や脱炭素化、地方創生の推進等の十分な財政措置や臨時財政対策債の発行額抑制を含めた地方交付税等の一般財源総額の確保、②定額減税の実施による個人住民税の減収額に対する全額国費による補填と、所得税減税による地方交付税の減収に対する国の責任による確実な補填、③デジタル化の推進・標準化における、標準準拠システムへの移行が困難なシステムの柔軟な認定や適切な移行期限の設定と、やむを得ない事情により令和7年度までに移行できない町村に不利益を生じさせない対応、④こども・子育て政策について、地域の未来を担う子どもたちが希望にあふれ健やかに育つ環境づくりに向けた取組を町村が積極的に推進できるよう、安定した地方財源と施策を担う人材の確保―等を要請しました。

 他の地方六団体代表からは、デジタル田園都市国家構想交付金をはじめとする地方創生関連予算の拡充・継続と運用改善、国土強靱化実施中期計画の早期策定と予算・財源の確保、「こども未来戦略」の実現にあたっての市町村の財政負担・事務負担等への配慮、地域間格差の縮小の観点も踏まえた持続的な賃上げの推進に必要な支援策の抜本的強化-等を求める発言がありました。

 これらを受けて、各大臣からは以下の通り発言がありました。

 〇河野デジタル大臣兼デジタル行財政改革担当大臣兼デジタル田園都市国家構想担当大臣

  • 自治体システムの標準化及びガバメントクラウドへの移行に係る経費については、国の方でしっかりやらせていただく。運用経費については、時間をかけて逓減ができるよう頑張っていく。また、見積もり金額が高いということがあれば相談に乗る。デジタル庁のリソースを使っていただきたい。
  • 地方でデジタル人材が不足している点については、J-LIS等の研修も役に立つのではないか。デジタル庁に出向いただき、トレーニングをしてお戻しするという取組も行っているので、遠慮なく声をかけていただきたい。
  • デジ田交付金は、デジタル行財政改革に関連するものも対象にしていく。

 〇自見内閣府特命担当大臣(地方創生)

  • デジ田交付金は、令和5年度補正予算で735億円を計上するとともに、令和6年度当初予算についても、所要額の確保に向けて、最終の予算調整を行っている。

 〇加藤内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)

  • 引き続き地域の実情を踏まえつつ、国と自治体の意見を共有しながら、こども施策を推進していく。その際、自治体の先進的な取組の横展開や、必要に応じて制度化も行っていく。
  • 保育人材の確保のため、①保育士を目指す方への修学資金貸付等の資格取得支援や、②保育所等のICT化、保育補助者の配置等の業務負担軽減を通じた就労継続支援、③保育士・保育支援センターによる伴走支援等による再就職支援、④保育現場や職業の魅力発信-等に総合的に取り組んでいく。
  • 現在とりまとめ中の「こども未来戦略」において、当面の集中的な取組に必要な安定財源の確保を図る中で、地方財源についても確保する旨が明記されていることを踏まえ、引き続き、適切に対応していく。

 〇松本総務大臣

  • 令和6年度に向けて、一般財源総額をしっかり確保していく。その中で、地方交付税総額を適切に確保し、臨時財政対策債の発行抑制にも努めたい。
  • 人件費については、地方公務員の給与改定に伴う増加、会計年度任用職員の勤勉手当等を含め、必要な財源を確保する。
  • 所得税の減税を行った場合の地方交付税への影響については、地方の財政運営に支障が生じないように適切に対応しなければいけないと考えている。
  • 基幹業務システムの標準化における移行経費については、補正予算による追加計上と合わせ、総額6,988億円となった。総務省としては全国の自治体からの要望にお応えできたのではないかと考えている。

 〇武見厚生労働大臣

  • 新型コロナワクチンの接種については、関係審議会において、①全額国費での特例臨時接種を今年度末で終了する、②来年度以降は、新型コロナウイルスを予防接種法上のB類疾病に位置付け、定期接種の対象とする、③重症化予防目的で、65歳以上の高齢者など、重症化リスクの高い方に対して、毎年、秋・冬にその年のウイルス株に対応するワクチンを1回接種するー等の内容をとりまとめ、自治体にもお示しした。予防接種法に基づくB類疾病の定期接種については、3割程度の費用を国が地方交付税により措置している。自治体の意見を丁寧に聞きながら、来年度の予算と合わせて検討していく。

 〇斉藤国土交通大臣

  • 地域交通の担い手不足、移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応するため、まずタクシー・バス等のドライバーの確保、規制緩和に取り組むとともに、不便の解消に向けた地域の自家用車、ドライバーの活用等を検討している。安全・安心の確保を大前提に、利用者の移動需要に交通サービスがしっかりと応えられるよう、さまざまな方策を検討していく。


 その後の意見交換において棚野会長代行は、町村の基幹産業である農林水産業について、「少子・高齢化等に伴う人口減少により、人材不足や後継者不足が深刻な状況である」とし、将来にわたり農林水産業が持続的に発展していけるよう、地域に多様な関わりを持つ関係人口や多様な担い手の確保について、万全の対策を求めました。
 また、他にもさまざまな職種における担い手不足が重要な課題となる中、現在、外国人技能実習制度及び特定技能制度の見直しが検討されていることについて触れ、「有識者会議の最終報告書では、転籍や転職も緩和されると提言されており、これにより、都市への集中等が懸念されるとの声もある。今後、具体的な制度設計の議論を進める際には、地方の深刻な人材不足の実態等を踏まえ、対象職種を拡大するなど、地域が必要とする分野における外国人材の活用についても検討を進めていただくようお願いする」と述べました。

 最後に、林官房長官が、「今日は、一般財源総額の確保やこども・子育て施策充実に加え、デジタル化や地方議会議員のなり手、外国人材、農林水産等についてもご意見をいただいた。これらの意見を真摯に受け止め、来年度予算編成を行っていく。地方に関わる重要政策課題にしっかり対応していくので、引き続きよろしくお願いする」と述べ、協議を締め括りました。

【参考資料】

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