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荒木会長が小倉こども政策担当大臣と意見交換

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年9月28日

 荒木泰臣全国町村会長(熊本県嘉島町長)は、9月22日、小倉將信こども政策担当大臣とこども政策に関する意見交換(WEB会議)を行いました。

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 はじめに、小倉大臣が挨拶に立ち、「今年の通常国会でこども基本法をはじめとする3法案が成立し、令和5年4月に『こども家庭庁』が設置されることとなった。私は先月こども政策担当大臣に就任し、我が国の社会の持続的な発展を確保するうえで必要不可欠なこども政策の推進を最重要課題と捉え、日々取り組んでいる。地方自治体の先進的な取組の共有や横展開を進め、必要に応じて制度化することも国の大きな役割である。荒木会長はじめ町村の皆さま方からの貴重なご意見を賜り、活発に意見交換をすることにより、こども家庭庁の円滑な立ち上げと、こども政策の着実な実施につなげていきたい」と述べました。

 続いて荒木会長は、「少子化の問題は我が国の根幹に関わる最重要課題となっている。国・地方が一丸となり、あらゆる対策を講じて少子化の進行を食い止めなければならない。こども家庭庁が発足し、子育て環境の整備や子どもの貧困、虐待などの問題解決等を通じて、我が国の少子化対策が大きく前進することを期待している。私たち町村もこども政策の充実をはじめ少子化対策に全力で取り組んでいるが、地域の事情が異なる中でさまざまな課題や悩みを抱えているため、本日は要望等も含めて意見を申し上げたい」と挨拶を述べました。

 その後の意見交換の場で、小倉大臣は、こども家庭庁設置に向けた取組状況・今後の方向性について、「こども家庭庁の設置を待たずにできることから速やかに着実に取り組む」として、7月以降、こども政策に関する複数の調査研究検討会を開始した旨を説明しました。

 政府全体のこども政策の基本方針を定める「こども大綱」の策定に当たっては、「こどもや若者、子育て当事者、さまざまな現場の方々の声に耳を傾けながら、しっかりと検討したい」としたうえで、「地方自治体にもこども大綱を勘案して『こども計画』を策定いただき、国と地方自治体が車の両輪となり緊密に連携してこども政策を展開していきたい」と述べました。

 「こども政策に関する国と地方の協議の場」の設置のあり方については、「ハイレベルと実務者レベル双方からよく意見交換し、連携を深めていきたい」としたうえで、「今年の10月又は11月に私(こども政策担当大臣)と地方三団体との協議の場を設置し、こども家庭庁設置後は、定期的に年2回ほど開催したい」と今後の展望を述べました。 こども家庭庁の設置に合わせた人事交流については、「町村役場で職員の確保が非常に難儀であることは重々承知している」としたうえで、給与手当を国が支給する「割愛」による派遣を広く受け入れたいと述べました。

 これを受け荒木会長は、「町村部でも工夫をこらし、努力を積み重ねて少子化の問題に取り組んだ結果、子育てしやすい環境を求めて若い夫婦が移住するなど出生率を上げた町村もある」とし、「私が町長を務める町(熊本県嘉島町)でも、宅地開発に伴う子育て世帯の転入により子どもの数が増えており、共働き子育て世帯のニーズに応えるため保育所を新設するなど、『待機児童0(ゼロ)』を3年度連続で達成している。また、18歳未満の子ども医療費の無償化にも取り組んでいる」と説明しました。

荒木会長

 ▲意見を述べる荒木会長

 そのうえで、「少子化対策等を進める際、多くの町村にとっての課題が財源と人材、特に保育士や児童福祉士等ソーシャルワーカーの不足だ」とし、町村の取組に対する財政支援の拡充と人材確保に向けた支援を要請しました。

 また、「コロナ禍の影響で孤独・孤立や生活困窮の問題が一層深刻化したことにより、子どもの貧困やヤングケアラーの問題なども顕在化している。課題解決には、町村が単独で対応するには難しい問題も含まれている」として、国、都道府県、NPO等民間団体が連携・協力して実施する対策の充実・強化を訴えました。

 こども家庭庁については、あらゆる境遇の子どもや子育てを行う親の視点に立った政策を進めることへの期待を示すとともに、これらの政策を実施するにあたり、各自治体の事務負担の軽減と予算措置を図るよう求めました。

 「こども政策に関する国と地方の意見交換の場」の設置のあり方については、国と地方が課題を共有して意見交換を行うことで、より実態に即したこども政策や少子化対策を効果的に推進できるようになることへの期待を示し、オンライン会議の活用も含め、柔軟に意見交換ができる仕組みづくりを求めました。

 荒木会長の発言を受け、小倉大臣は、「嘉島町のような素晴らしい取組を行っている自治体の事例を横展開していきたい」としたうえで、コロナ禍の影響による孤独・孤立や生活困窮問題、子どもの貧困やヤングケアラーといった課題が深刻化したことについて、「専門職の育成支援、デジタルを使ったさらなる支援も念頭に入れながら責任を持って取り組みたい。各省庁縦割りであったものをこども家庭庁のもとで一元化し、子ども一人ひとりにきめ細かく、しかも切れ目のない支援を講じることがこども家庭庁の大きな目的のひとつだ」と述べました。

 加えて、単独の町村のみで全ての課題に対応することが難しいことについて、「そのことはよく認識しており、基本方針においても、こども家庭庁の基本姿勢として、国と地方自治体との連携強化や、NPOをはじめとする市民社会との積極的な対話・連携・協働を打ち出している」と説明しました。

 各地方自治体の事務負担軽減や予算措置の要望については、「国と地方三団体との定期的な協議の場などにおいてしっかりと議論させていただきたい」と述べました。

 最後に、小倉大臣の発言を受け、荒木会長から、「こども家庭庁の設置の目的が十分果たされるよう連携協力をしながら我々町村も精一杯努力をしたい。一方で町村では財源や人材等さまざまな課題を抱えている自治体が多いため、変わらぬご支援をお願いしたい」と述べ、意見交換会は終了しました。