「国と地方の協議の場」(令和2年度第1回)が、5月19日に開催され、本会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)はじめ、地方六団体代表が出席しました。政府側は、安倍内閣総理大臣、麻生副総理・財務大臣、菅内閣官房長官、高市総務大臣、北村内閣府特命担当大臣(地方創生)、萩生田文部科学大臣、加藤厚生労働大臣、梶山経済産業大臣、赤羽国土交通大臣、武田内閣府特命担当大臣(防災)、西村内閣府特命担当大臣(経済財政政策)兼経済再生担当大臣が出席し、「新型コロナウイルス感染症対策及び骨太方針の策定等」の2議題について協議しました。なお、この会議は、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大に伴い、テレビ会議形式で行われました。
はじめに安倍内閣総理大臣が挨拶に立ち、「新型コロナウイルス感染症対策では、5月14日に39県について緊急事態宣言を解除した。また、21日を目途に専門家の皆様に改めて状況を評価していただき、可能であれば、31日の期間満了を待つことなく緊急事態宣言を解除したい。解除によりコロナ時代の「新たな日常」を取り戻していくため、もう一段の新たな対策が必要であると判断し、雇用調整助成金の抜本的な拡充、中小・小規模事業者の方々の家賃を一層軽減するための新たな支援制度の創設、学生支援のための新たな仕組みの創設、医療現場が抱える課題の解決に向けた強力な支援、金融機能の強化に向けた対応-を柱とする第2次補正予算の編成に着手した。5月27日を目途に決定し、国会に提出したい。
また、骨太方針は、今後経済財政諮問会議でご議論いただくことになるが、今年は、今般の危機を乗り越えた先の未来に向けて、社会変革を推進し、「新たな日常」を定着・加速させていく。そのための対応の方向性や取組を盛り込んだ骨太方針にしたい。
この危機を未来に向けた社会変革の契機とし、国と地方が一層連携をして、東京一極集中を是正し、活力ある地域づくりを進めていくため、忌憚のないご意見をお伺いしたい」と述べました。
協議において、飯泉全国知事会長(徳島県知事)が地方六団体を代表して、(1)地方創生臨時交付金については、ハード・ソフト両面からの需要に対応するため最低2兆円ほど増額すること、(2)長引く学校の休業の影響による夏休みの活用のため体育館や特別教室の空調化などハード面の整備が必要なこと、(3)感染症により大都市部への人口一極集中の脆弱さを実感したことから、中央省庁の地方移転、企業の地方分散、地方大学の魅力化など、大胆に国家構造の転換をすること、(4)骨太方針については、地方の一般財源総額の確保と令和2年度に期限を迎える「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を5か年ほど期間延長すること、(5)GIGAスクール構想の前倒し、遠隔教育、農林水産業や建設業におけるICTの活用推進について発言がありました。
荒木会長からは、(1)新型コロナ対策下での予算編成については、今年度補正予算から来年度当初予算まで、切れ目なく、国民の「健康と命」「暮らしと経済」を守るため、前例にとらわれず、地方財政も含め、必要な総額を万全に確保すること、(2)地方創生臨時交付金については、我々財政力の弱い町村も含め、配慮いただいたが、まだまだ対策費が全く足りないことから、町村の厳しい実情を踏まえて、第2次補正予算では交付金の大幅な増額を行うこと、(3)医療体制が脆弱な町村では、感染者の発生が医療崩壊につながりかねないことから、医師派遣・患者輸送のサポートやマスク・消毒液等の確保について、広域的な支援体制の構築とともに、移動の自粛について、国民の理解促進を図ること、(4)いま改めて、東京一極集中の弊害と分散型国土形成の重要性を認識しているところであり、新型コロナ後の「新しい日常」の中に、田園回帰や地方での暮らし推進を位置づけ、リモートワークも含めた産業振興や遠隔医療・遠隔教育がどこでも可能となるよう、条件不利地域も含めた情報通信インフラ整備の加速化を図ること-を要請しました。
他の地方六団体代表からはこの他、情報システムの標準化の推進、学校の「9月入学」に対する慎重論、新過疎法の制定等について意見等が述べられました。
▲意見を述べる荒木会長
これらを受けて、国側からは、各大臣より以下の発言がありました。
○高市総務大臣
○加藤厚生労働大臣
○北村内閣府特命担当大臣(地方創生)
○萩生田文部科学大臣
○梶山経済産業大臣
○武田内閣府特命担当大臣(防災)
○赤羽国土交通大臣
○西村経済再生担当大臣
最後に、安倍内閣総理大臣から、「第2次補正予算については、27日を目途に概算決定を行う予定であり、皆様のご意見をしっかり地域の声として受け止めていく。今まさに、感染拡大防止と同時に、社会経済活動を段階的に再開させていくという、大変難しい挑戦に足を踏み出しているところであるが、「新たな日常」をつくり上げるチャレンジでもある。国と地方がしっかり協力をして前に進んでいくことが大切である。今後も皆様方のご協力をよろしくお願いしたい」と述べ、協議を締め括りました。