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「国と地方の協議の場」に荒木全国町村会長が出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年12月11日

 「国と地方の協議の場」(令和元年度第3回)が、12月11日、首相官邸で開かれ、本会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)はじめ、地方六団体代表が出席しました。政府側は、安倍内閣総理大臣、麻生副総理・財務大臣、菅内閣官房長官、高市総務大臣、加藤厚生労働大臣、武田内閣府特命担当大臣(防災)、大塚内閣府副大臣(地方創生・代理人)、宮下内閣府副大臣(経済財政政策・代理人)などが出席し、令和2年度予算編成及び地方財政対策について協議しました。

「国と地方の協議の場」に荒木全国町村会長が出席

 はじめに安倍内閣総理大臣が挨拶に立ち、「本年も全国各地で大きな自然災害が相次いだ。災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、そして経済の下振れリスクを乗り越えようとする方々への重点支援、また、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見すえた経済活力の維持・向上、これを3つの柱とする経済対策を先週とりまとめました。今後、15カ月予算という考え方のもと、今年度補正予算と来年度予算の臨時・特別の措置を適切に組み合わせ、切れ目のない実効ある予算措置を講じていく。皆様にはご理解、ご協力をよろしくお願い申し上げる。安倍内閣では、1,000億円規模の地方創生推進交付金などにより、地方独自の創意工夫を全力で後押ししてきた。地域おこし協力隊が5倍以上の5,000人体制へ拡充されるなど、地方創生は大きく動き始めている。地方の活力なくして日本の発展なし。地方の未来なくして日本の未来なし。来年度からスタートする第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、魅力ある仕事づくりや、結婚、出産、子育てしやすい環境づくりを一層進めるとともに、新たに関係人口の創出・拡大に全面的に取り組むことで、地方創生を新たなステージへと押し上げていく考えである。本日の議論をしっかりと受けとめ、力強く政策を進めていきたい」と述べました。

 協議において、地方六団体から「令和2年度予算編成及び地方財政対策について」(資料1参照)を要望し、飯泉全国知事会長(徳島県知事)が代表して挨拶するとともに、各団体代表からも、国土強靱化、一般財源総額及び地方創生関連交付金の確保と充実、ICT教育、外国人の受け入れ問題、公立・公的な医療機関に対する地財措置の強化などに関する発言が行われました。

 荒木会長からは、今年全国各地で発生した自然災害による甚大な被害について、引き続きの復旧・復興への支援と防災・減災対策へのしっかりとした財政措置を求めたほか、熊本地震の現場の声として、自然災害時の所得税の雑損控除の繰越控除期間が通常3年間であることに対して「中小企業や農業など所得の低い事業者等においては、東日本大震災と同様にもう少し長期の取扱いができるよう検討いただきたい」と発言しました。
 また、最重要課題である、地方交付税をはじめとした一般財源総額の着実な確保を訴え、特に、「幼児教育・保育の無償化における初年度経費の国費負担や、来年度から導入される会計年度任用職員に係る財政負担の増加に対する地方財政措置については、確実な確保をお願いする。これらに関連して、町村において資格を持った保育士等の確保は、大変難しい状況にある。専門職種を会計年度任用職員として採用するケースも少なからずあるが、隣接する市などと比べ地域手当が無い町村は、極めて大きなハンディを負ってしまうため、改善策等の特段の配慮をぜひお願いする」と述べました。
 最後に、「公立・公的な医療機関は、『健康と命を守る砦』として極めて重要な役割を担っている。拙速な再編統合は絶対に強制しないよう、改めてお願いする」と強く求めました。

 高市総務大臣は、はじめに、今年の秋に相次いだ台風や豪雨災害での、全国の地方公共団体からの応援職員の派遣に対して謝意を示し、その後、地方六団体の発言に対し、一般財源総額の確保、会計年度任用職員制度の導入や幼児教育、保育の無償化で必要となる財源確保について触れ、「必要となる経費を地方財政計画にしっかりと計上し、一般財源総額を確保していく。また、その中でできる限り地方交付税を確保し、臨時財政対策債を抑制できるように努力をしていく」と述べました。また、被災地に対する支援について、特別交付税も含めて、しっかりと復旧・復興のための支援をしていく旨を示したほか、新たな偏在是正措置により生ずる財源の活用について、「地方団体が地域社会の維持、再生に取り組むための新たな歳出枠の計上を検討しており、今後の地方財政対策において結論を出させていただく」と発言しました。
 また、公立・公的な医療機関に対する地財措置の強化について、「公立・公的な医療機関が果たす地域医療の最後の砦としての役割、そして公立・公的な医療機関に求められる機能への重点化といった観点を踏まえながら、地域医療構想の実現に向けた地財措置のあり方について検討を進めていく」とし、中長期の被災地支援の仕組みのさらなる検討に関しては、「都道府県等で技術職員を増員していただき、中長期派遣体制の整備を図るとともに、都道府県内の市町村の支援を充実できるような仕組みを検討しており、年内にその具体的な内容を示したい」と述べました。さらに、ローカル5Gをしっかりと来年度取り組んでいくとの発言があったほか、特別交付税については、「算定はしっかりとさせていただいているが、どうしても各県で町村に配分をするというときに、必要なものがない、来ないというお声も聞いている。これは、特に、各町村が県の市町村課とよく連絡をとっていただき、必要な財政需要について県にお伝えいただくことが重要だと思うので、ご協力をお願いする」と求めました。
 加藤厚生労働大臣は、地域医療構想について、全く強制するものではないとしたうえで、「2016年に都道府県の主導の中で第2次医療圏ごとに作っていただいた地域医療構想がまさに実現を果たしたので、むしろ自治体中心にやっていただくことを、我々でできる限り応援をしていきたい」とし、それに関連して、これまでの地域医療介護総合確保基金へのさらなる支援を求める意見に対し、「既に骨太の2019にもダウンサイジングの支援に向けて、消費税財源を活用して追加の策を講ずるとしているため、それを踏まえて現在検討させていただいている。いずれにしても、地域医療構想の実現に向けて、各地域からの取組に私どもとしても支援させていただけるように引き続き努力をしていきたい」と述べました。
 また、外国人の受け入れ問題・外国人共生センターについて、「外国人共生センターそのものは外国人の方が相談に入ってくるということや、地方における雇用の取組を支援していくという役割がある」との考えを示したうえで、「まだ構想段階であるが、本日いただいたご意見も踏まえて、よく政府の中で議論させていただきたい」と発言しました。

 武田内閣府特命担当大臣(防災)からは、国土強靭化の3カ年緊急対策について、「ハード、ソフト両面にわたる集中的な取組を現在進めている。これを着実に実施していくことがまず重要である」とし、治水や河川の抜本的改修に関しては、「水害対策を中心に防災・減災、国土強靭化をさらに強力に進め、国民の安全・安心を確保するとの総理の指示に基づいて、安心と成長の未来を拓く総合経済対策における国土強靭化対策を5日にとりまとめたところである。国土強靭化というものを強力に進めていきたい」と述べました。また、3カ年後について、「今年の災害対応から得られた知見、また3カ年緊急対策のフォローアップの結果も踏まえながら、国土強靭化基本計画に基づいて必要な予算を確保した上で、先ほどお言葉があったような国家百年の大計としての国土強靭化の推進を図っていきたい」との発言がありました。

 大塚内閣府副大臣は、地方創生推進交付金の財源確保について、「地方からのご期待に応えるべく今、第2期に向け補正予算で要求中の地方創生拠点整備交付金とあわせて財政当局と最終調整を行っているところである」と発言した。また、運用の柔軟化については、「Society5.0の実現に向けた取組に対する支援の枠組みの新設、地方創生拠点整備交付金の対象拡大と一部当初予算化等、これまで寄せられてきた地方からのご要望を踏まえて実現を図ってまいる所存である。第2期も熱意を持って地方創生に取り組む地方公共団体を安定的かつ継続的に実現をしていくので、よろしくお願いしたい」と述べました。

 その後の意見交換において、荒木会長は、先週、TPP等関連政策大綱の改定や、総合経済対策が決定されたことについて、農業への影響について各地域の実情を踏まえた万全の対策を求め、「今年は『食料・農業・農村基本計画』の見直しの年である。農山漁村をしっかり維持し、価値を高める総合的な政策を力強く推進するとともに、田園回帰の潮流を踏まえた『関係人口』の拡大、農村地域の活性化や移住・定住の促進策についてさらなる積極的な推進をお願いする。また、スマート農業とも関係してくるが、中山間地域や離島などをはじめとする条件不利地域では、その前提である光ファイバー整備等のブロードバンド環境が未だ十分でなく、ローカル5Gなども含め、条件不利地域に対する積極的な地方財政支援措置の拡充をお願いする」と述べました。
 さらに、農村社会を脅かす深刻かつ恒常的な「災害」ともいえる鳥獣害対策について、「AI・IoTも活用し抜本的に強化するとともに、深刻な事態の続くCSF(豚コレラ)対策等の教訓を踏まえた危機管理対応の構築をお願いする」と要請しました。

協議の場に出席した荒木会長

▲協議の場に出席した荒木会長

 これらの発言を受け、高市総務大臣は、光ファイバーなどのICTインフラについて、「条件不利地域を優先的に取り組んでいこうということにしている。また、5Gについては、今年の春に携帯電話事業者にも割り当てをしたが、このときにつけた条件として、2年以内に全都道府県で展開するサービスを開始するという条件を付している。あわせて、ローカル5Gをやるので、しっかりと取り組ませていただく」と応えました。

 また、大塚内閣府副大臣からは、農村政策の充実について、「農村の活性化はこれまでも地方創生の観点から重要な取組として、まち・ひと・しごと総合戦略の2018においても、農林水産業の成長産業化を位置付けて、情報、人材、財政の面から、各地方公共団体独自の多様な取組を支援してきているところである。また、全国町村会におかれても、いろいろな提言を決議していると伺っている。引き続き農村の活性化が図れるよう、私どもとしても、農水省とも連携しながら地方創生の取組を進めていきたい」との発言がありました。

 最後に議長である菅内閣官房長官が、「本日は、令和2年度の予算、基本的な対策などについていろいろなご意見を頂戴した。しっかり受けとめ、検討させていただきたいと思う。今後とも、国と地方の協議の場を通じて重要な課題について、しっかり議論しながら進めていきたいと思う」と述べ、協議の場を締め括りました。

 

【参考資料】

資料1 令和2年度予算編成及び地方財政対策について=地方六団体 [PDFファイル/366KB]

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