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「国と地方の協議の場」に荒木全国町村会長が出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年10月31日

 「国と地方の協議の場」(令和元年度第2回)が、10月31日、首相官邸で開かれ、本会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)はじめ、地方六団体代表が出席しました。政府側は、安倍内閣総理大臣、麻生副総理・財務大臣、菅内閣官房長官、高市総務大臣、北村内閣府特命担当大臣(地方創生)、加藤厚生労働大臣、武田内閣府特命担当大臣(防災)などが出席し、地方創生及び地方分権改革の推進について協議しました。

「国と地方の協議の場」に荒木全国町村会長が出席

 はじめに安倍内閣総理大臣が挨拶に立ち、「全国各地で相次いだ台風、地震、集中豪雨などによる大きな自然災害によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げる。一連の台風災害等による被災者の生活と生業の再生に向けた政策パッケージを来週中にとりまとめる予定である。政府として、引き続き被災自治体と連携し、被災地の復旧・復興に全力を尽くすとともに、これまでの常識を超えた災害に備え、国土強靱化をさらに強化していく。地方の元気なくして、日本の再生なし。本日ご議論いただく地方創生、地方分権改革の推進は、安倍内閣の最も重要な政策の柱である。これまで地方ならではの特色ある農林水産業、観光資源、地場の産業集積などを生かした地方独自の創意工夫を、1,000億円規模の地方創生推進交付金などを活用し、全力で後押ししてきた結果、地方創生は大きく動き始めている。引き続き、地方の声に徹底して耳を傾け、地域の活力創出に全力を尽くしていく。今月、3歳から5歳までの全ての子供たちの幼児教育・保育の無償化が実現した。来年4月からは、真に必要な子供たちの高等教育を無償化する。また、令和の時代にふさわしい、子供からお年寄りまで全ての方が安心できる社会保障制度を大胆に構想していく。本日の議論をしっかり受けとめ、力強く政策を進めていきたい」と述べました。

 協議において、地方六団体から「地方創生及び地方分権改革の推進等について」(資料1参照)を要望し、飯泉全国知事会長(徳島県知事)が代表して挨拶するとともに、各団体代表からも、防災・減災対策、台風19号等の被災地への復旧・復興支援、持続可能な社会保障制度、マイナンバーカードの普及・促進、外国人材の受入環境の整備促進、地方議会議員のなり手不足への対応などに関する発言が行われました。

 荒木会長からは、激甚化・広域化する大規模災害について、万全な防災・減災対策と人的・財政支援を求めたほか、特に、多数の倒木により発生した長期間の大規模停電を踏まえ、「事前防災・減災の観点から立木の点検・伐採などが必要との声を現場の町村からも聞く。所管省庁が必ずしも明確でなく、関係者との調整や財源問題等、多くの課題がある」との懸念を示し、国としての積極的な関与・支援を要請しました。
 次に、最重要課題である、地方交付税をはじめとした一般財源総額の着実な確保を訴え、特に、来年度から導入される会計年度任用職員に係る財政負担の増加に対しての確実な財政措置を求めました。
 また、自治体業務に関して、「6月にも計画策定等の義務付けの話を申し上げたが、国からの調査・照会業務が増加傾向にあり、住民に向き合った行政サービスに支障が生じている」とし、以前、国で行った『調査・照会業務の最適化計画』のフォローアップをはじめ、簡略化や廃止・統合に向けた抜本的な対策を要請しました。
 さらに、公立・公的な医療機関について、「中山間地域や離島、広大な面積の北海道等それぞれに切実な地域事情がある中で、住民が安心して暮らしていくための『健康と命を守る砦』として極めて重要な役割を担っている」と述べたうえで、全国一律の基準で分析されたデータによる拙速な再編統合は絶対に強制しないよう、強く訴えました。

協議の場に出席した荒木会長

▲協議の場に出席した荒木会長

 高市総務大臣は、はじめに「今般の台風、大雨によりお亡くなりになられた全ての方々に哀悼の意を捧げる。そして、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げる。引き続き被災団体の実情を丁寧に伺いながら、被災地の早期復旧・復興に向けて全力で取り組んでいく」と述べました。その後、地方六団体の発言に対し、今後の中長期の被災地支援のための専門職員の確保や応援派遣の仕組みの検討の必要性について触れ、「応援職員の中長期派遣について、引き続き全国の地方公共団体に対して積極的に働きかけをさせていただく」としたうえで、地方三団体等と連携して求められる職員の中長期派遣体制の整備について検討する旨を述べました。
 また、財政面に関して、「緊急防災・減災事業債は次年度までの事業期間となっている。この事業期間終了後の本事業のあり方については、自治体における防災・減災対策に関する取組や地域の実情、課題などを勘案して判断していく」とし、一般財源総額についても、「地方団体がさまざまな地域の課題に取り組みながら、安定的な財政運営を行うことができるように、新経済・財政再生計画に沿ってしっかりと確保していく」と発言しました。そのほか、会計年度任用職員制度導入に伴う財政措置について、「現在、各地方公共団体に対して、準備状況の調査をさせていただいているところであり、その調査結果を踏まえて、適切に対応していく」と述べました。
 さらに、マイナンバーカードの普及促進について、「今の消費税増税後のポイント還元による対策が切れる令和2年度からは、マイナンバーカードを活用した消費活性化策を経済対策として行う」と述べるとともに、令和3年3月から始まる健康保険証利用の本格運用について、「広報についてしっかりと強化するように職員に指示を出していく」と発言しました。また、全国市区町村の窓口対応への人員増、取得申請事務の簡素化などへの対応に必要な経費について、「交付円滑化計画の策定をお願いしているので、それを踏まえて、しっかりと支援措置を講じさせていただく」と強調しました。

 北村内閣府特命担当大臣は、農業による雇用創出について、「農業による雇用創出は地方創生の観点からも重要な取組であり、まち・ひと・しごと創生総合戦略2018において、地方の雇用対策として位置づけ、情報、人材、財政の面から各地方公共団体の取組を支援させていただいているところ」であるとし、「引き続き、年間を通じた農業による雇用創出、新規就農が図れるよう、関係省庁と連携をして、地方創生の取組を進めていきたい」と述べました。
 また、荒木会長の発言を受けて、「調査・照会業務の合理化や統廃合について、進めていかなければならない」としたうえで、補助金の交付手続の簡素化について、「これからも現場の実情を踏まえて、提案をいかに実現できるかという基本姿勢に立って検討していきたい」と発言しました。

 加藤厚生労働大臣は、地域医療構想について、「それぞれの地域において、高齢化に伴い医療ニーズが多様化をしている」という認識を示したうえで、人口減少等で医療を担う人材が減少しているという課題に言及し、各地域において医療ニーズに即した効率的な医療提供体制を先行きを見据えながらしっかり確保していくことの重要性を強調した。そのうえで、「それぞれの地域において策定していただいた地域医療構想の実現を図るため、地方が先導しながら、私どもがサポートさせていただくという形で進めていかなければならない」と考えを述べました。
 また、公立・公的病院等の診療データの分析結果を公表したことについて、「さまざまな厳しいご批判もいただいている。そこは私どもも真摯に受けとめながら、共通の認識に基づいた中で進めていくという意味で、今、それぞれの地域で説明会を開かせていただいている」とし、「今回の公表は将来担うべき役割を機械的に我々が決めようとするものではなく、これも踏まえながら、それぞれの地域の様子も加味しながらぜひご検討をいただきたい」との趣旨であると説明しました。さらに、「引き続きそれぞれの地域からのデータ提供等に関するご指摘や、それに伴う財政的な対応もしっかりとりながら共同歩調でやっていきたい」と述べました。

 武田内閣府特命担当大臣からは、昨今の災害対応と防災・減災対策について、「各省横断の被災者生活支援チームを設置しており、被災者の生活支援を政府一丸となって迅速に進めている」とし、「被災自治体が財政的に心配することなく、安心して災害復旧に取り組んでいただけるよう、台風第19号による被害を激甚災害に指定する政令及び大規模災害復興法による非常災害に指定する政令を制定した。加えて、政府としては、現在、総理からの指示を踏まえ、切れ目のない被災者支援と農林漁業者、中小・小規模事業者、観光業や地域への雇用への支援を含めたパッケージを来週中にとりまとめるべく、検討を進めている。引き続き政府としてできることは全てやるとの方針のもと、スピード感を持って、生活再建、そして生業の再建に向けて、全力を尽くしていく」と述べました。
 また、災害対応体制については、「関係省庁や地方自治体の連携のあり方についても、不断の見直しを進め、万全の危機管理体制の確保に努めていく」と発言しました。
 さらに、国土強靱化について、「近年、災害が激甚化する中、国民の生命や財産を守る国土強靱化の取組を進めることは喫緊の課題であり、国土形成における施設基準等の検証は急務であると考えている。また、国土強靱化基本計画においては、高速道路ネットワークの着実な整備、電力インフラのレジリエンス向上や気候変動等の影響を踏まえた治水対策等を掲げ、関係省庁において取組を進めているところである。防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策後に向けては、まずは今年で2年目となる3か年緊急対策を着実に実施するとともに、その進捗状況や達成度合い等をしっかりフォローアップすることが重要な土台となると考えている。こうしたフォローアップの結果も踏まえながら、3か年緊急対策後についても、国土強靱化基本計画に基づき、必要な予算を確保した上で必要な施策を実施し、国家百年の大計として、災害に屈しない強さとしなやかさを備えた国土をつくり上げたい」との発言がありました。

 その後の意見交換において、荒木会長は、農山村政策について、「農山村では、耕作放棄地や荒廃森林が年々増大し、また、鳥獣被害は災害レベルに深刻化しており、頻発する台風・豪雨災害で営農を断念し離農する人もいる。多様な農山漁村を支える人材がいなくなることは、農山漁村の崩壊であり、必ず国土全体の荒廃につながっていく」との懸念を示し、「今回の『食料・農業・農村基本計画』の見直しにあたっては、農山漁村をしっかり維持し、価値を高める総合的な政策を力強く推進していただきたい」と訴えました。
 また、農山村地域や離島等では光ファイバー整備も未だ十分ではないとし、「高度情報通信環境は、産業振興や教育、医療、観光などさまざまな分野において新たな展開を期待できるので、ローカル5G等も含め、条件不利地域への積極的な整備支援をお願いしたい」と求めました。
 さらに、6月の「国と地方の協議の場」において、「企業誘致等の際の農振地域の耕作放棄地等の農地転用(農家雇用3割)」の規制緩和を求めたことについて、「早速作業に取りかかっていただいている」と感謝の意を示し、「一日も早く規制の緩和、あるいは撤廃ができるように」と期待を述べました。

 最後に議長である菅内閣官房長官が、「本日は六団体の皆さんと非常に貴重な意見交換ができたと思っている。特に、災害に関しては、皆さんの現場の視点から具体的なご意見を賜ったと思う。こうしたことについて、政府としてしっかり受けとめて対応していきたい。今後とも、この場を活用しながら、連携して国・地方で進めていきたい」と述べ、協議の場を締め括りました。

 

【参考資料】

資料1 地方創生及び地方分権改革の推進等について=地方六団体 [PDFファイル/462KB]

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