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「国と地方の協議の場」に荒木全国町村会長が出席

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年6月6日

 「国と地方の協議の場」(令和元年度第 1 回)が、6月6日、首相官邸で開かれ、本会の荒木泰臣会長(熊本県嘉島町長)はじめ、地方六団体代表が出席しました。政府側は、安倍内閣総理大臣、麻生副総理・財務大臣、菅内閣官房長官、石田総務大臣、片山内閣府特命担当大臣(地方創生)、田中内閣府副大臣などが出席し、「骨太の方針」の策定等について協議しました。

「国と地方の協議の場」(令和元年度第 1 回)

 はじめに安倍内閣総理大臣が挨拶に立ち、「本日の国と地方の協議の場は、今年度最初の、そして新しい令和の時代の幕開けとなる会議である。令和の時代はまさしく地方の時代としていかなければならない。元気な地方なくして、日本の再生なし。この決意の下、引き続きこの協議の場を活用して、皆さんの声をよく伺いながら、地方に関わる政策課題に取り組んでまいる。本日は今夏の『骨太の方針』を中心にご議論いただくが、具体的には、地方創生の実現に向けた地方への新たな人の流れの創出、観光・農林水産業の活性化、海外活力の取り込み、またSociety5.0時代の到来や人口減少の本格化を見据えたデジタル・ガバメントの推進などについてご意見をいただきたい。本日の議論をしっかり受け止め、安倍内閣として力強く地方創生のための政策を前へ進めてまいる」と述べました。

 協議において、地方六団体から「骨太方針の策定等について」(資料1)を要望し、上田全国知事会長(埼玉県知事)が代表して挨拶するとともに、各団体代表からも、一般財源総額の確保や臨時財政対策債の抑制、まち・ひと・しごと創生事業費の継続と拡充、Society5.0に関連した先端技術の導入に対する財政支援や自治体の業務システムの標準化、条件不利地域にも配慮した情報インフラの整備支援などに関する発言が行われました。

 荒木会長からは、最重要課題として地方交付税をはじめとした一般財源総額の確保を強く求めたほか、地方創生については、「東京一極集中の是正は必須の取組である。全国それぞれの地域の多様性を大切にし、お互いに協力しながら、分散型国土構造に変えていく必要がある。このことが災害に強い安全安心な国づくりにもつながる」とし、関連予算について、長期にわたり安定的に確保することが不可欠であると強調し、積極的な対応を要請しました。
 また、「地方では、厳しい財政状況の中で行革を進め、ギリギリの職員体制で増大する行政需要に懸命に取り組んでいる。このような中、昨今気にかかるのは、大きな社会課題や事件が発生すると、国から自治体に対し、全国一律に計画の策定や専門職員の配置等を義務付けようとすることが多くなっているように感じることだ」と懸念を示したうえで、「町村では、限られた人員をやり繰りしながら、例えば、子育て支援もそうだが、顔が見える関係も活かし、いくつもの政策を関連づけながら効果が上がるように工夫して取り組んでいる。課題の重要性等は十分に理解できるが、地方への一律の対応策の義務付け等により、特に小規模町村の行政運営や現場の創意工夫に支障が生じることのないよう、地域の実情を踏まえた裁量の確保にぜひ配慮いただきたい」と訴えました。

協議の場に出席した荒木会長

▲協議の場に出席した荒木会長

 地方六団体の発言に対し、石田総務大臣は、Society5.0について、「各自治体で認識を共有することが重要であり、横展開にしっかり取り組む。また、条件不利地域を含め自治体におけるAI、IOT等の活用を推進していくためには、多数自治体による共同での開発利用が重要であり、総務省の施策もこれを前提としたものにしていく」と述べました。
 情報インフラの整備については、「5G基地局や光ファイバーなどの情報通信インフラの全国的な整備に必要な支援を実施する。ローカル5Gの展開を推進することにより、都市部と地方の格差ができるだけ生じないようにしたい」とし、一般財源総額と地方交付税についても、「新経済・財政再生計画に沿って一般財源総額をしっかり確保する。地方交付税も総額を適切に確保するとともに、臨時財政対策債の抑制に努める」と強調しました。
 さらに、まち・ひと・しごと創生事業については、今後策定する新たな総合戦略の議論などを踏まえ、条件不利地域の実態を含め、地方創生にしっかり取り組めるよう適切に対応すると述べ、地方議員のなり手不足への対応については、喫緊の課題であり、総務省としても6月中に有識者と議会関係者による検討の場を設け、今後の地方議会の姿について幅広く検討を行い、しっかりと取り組んでいくとの発言がありました。
 また、政府においてマイナンバーカードを活用した消費活性化策や、健康保険証利用などを柱とした普及促進策を決定したことに関連し、自治体側に円滑なカード取得推進のため、マイナンバーカードの申請、交付機会の拡大等への協力を求めたほか、行政のデジタル化について、自治体、事業者、総務省の3者による住民記録システムの標準化を検討する場をなるべく早期に設ける方針を示しました。

 片山内閣府特命担当大臣からは、Society5.0について、「まち・ひと・しごと創生基本方針2019や第2期総合戦略における中心的な視点として、Society5.0の実現などの新しい時代の流れを力にすることを掲げている。高齢化や人口減少といった課題に直面する条件不利地域においてこそ、その真価が発揮され、ピンチをチャンスに変えられると考えている。また、基盤整備にあたって、デジタル人材不足に対応した技術専門家の地方公共団体への派遣を検討しているとともに、地方創生推進交付金について、未来技術を活用した新しい支援の仕組みの導入を検討している」と発言がありました。
 自治体への義務付け・枠付けについては、「皆さまの要望を受けて解消に努めているが、中小規模の市町村についてはさらなる配慮が必要である。義務付けの新設は無駄な増加はさせず、必要最小限ということでチェックを行っているが、必置規制等についても、過大な負担にならず、柔軟な職員配置が可能になるような内容にすべきであり、検討を続けてまいりたい」と述べました。
  また、地方創生を担う人材育成の強化や、地域を支える若い世代がいきいきと働くための仕事の場、ワークライフバランスの実践についても発言がありました。
 社会基盤整備については、交通ネットワークなどの社会インフラの地域間の連携、地域間格差の解消、さらに耐震化、老朽化などの災害対策の強化をしっかりと連携させ、その財源の確保も含めて関係省庁と連携して取り組んでいく。特に、条件不利地域における地方創生関係財源全般の安定的、長期的な確保については、企業版ふるさと納税、拠点税制、さらに民間資金の導入の運用改善を含め、幅広く財源の確保にしっかりと取り組んでいくとの発言がありました。

 その後の意見交換において、荒木会長は、地域の拠点となる小中学校の存在価値と地方創生等への貢献について、「町村にとって、子供たちは地域の宝であり、特に条件不利地域では、小中学校は『教育の場』であることはもちろんのこと、地域住民の『心の拠り所』である。かけがえのない小中学校の存在が、現場からの地方創生や田園回帰の一層の推進、都市と農山漁村の体験交流の促進にも大きく貢献すると考えている」と述べ、一層の理解と支援を求めるとともに、「特に教育分野も含め、先ほどから話が出ているが、条件不利地域においては、Society5.0時代の情報インフラの整備や人材確保・育成の面で国等の支援なくしては困難であるので、積極的な対応をぜひお願いしたい」と訴えました。
 また、地域雇用について、地方創生を図っていくうえで、働く場所を作るためにも、企業誘致等の際の農振地域の耕作放棄地等の農地転用において、農業後継者さえいない実態を踏まえない雇用要件(農家雇用3割)について規制緩和を求めました。

 これに対し、石田総務大臣は、地方における5Gの基盤整備に対しては、事業者への割り振りの際に、全国の整備目標を10キロメッシュの地図上で定め、ローカル5Gも制度化し、地域間格差が生じないようしっかり取組を進めていきたいと重ねて強調しました。
 片山内閣府特命担当大臣からは、小中学校については、少なくともまち・ひと・しごとの議論の中では、拠点としての重要性を十分踏まえている。政府の規制改革推進においても、義務教育において遠隔教育を活用し、無理な合併、統廃合しなくてもいいようにと考えているとの発言があったほか、水田の農振地域の話は以前から聞いており、最近いくつかの県から農振の基準の問題もそろそろ限界にきているのではないかという話もある。農地を確保し、自給率を上げながらも、それとは別に耕作放棄地や条件不利な水田等を何かに一緒に使わないと、そもそも所得の確保が難しいのではないかという話が出ているので、また総合的に地方の意見をしっかり伺いたいとの発言がありました。

 最後に議長である菅内閣官房長官が、「令和初めての六団体との意見交換を行うことができた。ご要望、ご提案をしっかりと政府は受け止めて、骨太の方針をはじめこれからの予算などに配慮していきたい」と述べ、協議の場を締め括りました。

 

【参考資料】

資料1 骨太方針の策定等について=地方六団体 [PDFファイル/380KB]

資料2 骨太方針の策定等について(参考資料)=地方六団体 [PDFファイル/731KB]

資料3 「経済財政運営と改革の基本方針2019(仮称)」骨子(案)=内閣府 [PDFファイル/284KB]

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