2.報告書

地方分権推進方策について

平成 7年 3月
はじめに

21世紀を間近に控えた今日、変貌する内外の社会経済情勢の下で、わが国は大きな構造的変革を迫られており、地方分権の実現は、現下の極めて重要な課題となっている。
国民の価値観の多様化する中で、住みやすい地域づくり、高齢社会に対応した福祉等住民の日常生活に関わりの深い施策をそれぞれの地域の実情に即して推進するため、権限と財源が中央に集中している統一的・画一的な行政の仕組みを改め、地方自治体の自主的な判断と責任において住民に密接する行政を実施できるようにすることが強く求められている。
地方六団体においては、昨年9月に地方自治法第263条の3第2項の規定による「内閣及び国会に対する意見具申権」を初めて活用して、衆参両院議長に対し「地方分権の推進に関する意見書」を提出するとともに、内閣に対し意見の申し出を行ったところである。
また、本会においては、昨年6月、社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度の確立を目指して、地方分権の推進方策に関し、町村の立場からその在り方について調査研究を行うため、地方分権推進方策調査研究特別委員会を設置して、検討を重ねてきたところである。
全国2,571の町村は、人口では2割にすぎないが、面積では国土の7割強を占めている。町村は、従前から、食料の安定的供給、水資源の涵養、自然環境の保全など国家的に極めて重要な役割を果たしてきたところである。今後においても国民が豊かさを実感し、安全で快適な生活を営むためには、町村が活力を持ち続けることが極めて重要であり、その意味でも町村が財源の裏づけを持ちつつ自主的・自立的に地域づくりを行うことができるよう分権を進めることが大切である。
本報告は、平成6年度末を迎えるにあたって、特別委員会における検討結果について一応の区切りとして取りまとめたものである。なお、今回の報告においては現在、「地方分権推進法(案)」が第132通常国会で審議中であるという状況にかんがみ、町村の立場から地方分権実現のための基本的な考え方についての整理を行ったものである。

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