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愛媛県内子町/地域と芸つなぎ100年 愛媛の芝居小屋「内子座」

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年2月17日

愛媛県内子町

山々に囲まれた愛媛県内子町にある芝居小屋「内子座」が21日に創建100年を迎える。老朽化による取り壊しの危機も乗り越え、今も人形浄瑠璃や歌舞伎、狂言などの芸に触れる文化的拠点であり続けている。

20日に記念式典があるほか、21日には100年前のこけら落としの際の芝居道具を引き継ぐ淡路人形座(兵庫県南あわじ市)が人形浄瑠璃の公演を行う。20~21日には全国の芝居小屋関係者が意見交換する会合も開く。

最大650人を収容する木造2階建て。足を踏み入れるとほのかに木が香る。2階の大きめの窓から自然光が差し込むが、近代的なホールに比べれば照明は暗めだ。 舞台下の奈落にはかつて人力で回り舞台を動かした仕掛けも残る。

内子座は、生糸や木蝋(もくろう)生産で栄えた地域の有志が中心となり1916年に創建。人々にとって農閑期の娯楽の場だった。

82年には老朽化したため町民からは取り壊して敷地を駐車場にしてはという声もあったが、町が地元の商工会から譲り受け、伝統的な町並み保存の中心的な建物として85年に改修。 2015年には国重要文化財に指定された。

「都会の一流の芸に触れたい」と町内の実業家が動き、落語家、故桂米朝さんの独演会が86~90年に3度実現した。終了後に正座し「ちり一つ無い清楚な会場で公演できた」と当時の管理人に深々と頭を下げ、 見ていた人が感心したとの記録も残る。

15年には俳優、ダンサーの森山未来(もりやま・みらい)さんが約1カ月、町に滞在して稽古に励みダンス公演も行った。 狂言師の茂山千三郎(しげやま・せんざぶろう)さんに定期的に指導された町内の小学生による公演も回を重ねている。

真ん前に住み、結婚式も内子座で挙げたという大原キシカさん(90)は「初めは人形浄瑠璃の何がいいか全然分からなかったんよ。でも友達と何回か通ううち、こんな良いものあるんだと分かった」と笑顔で振り返る。

町の非常勤職員として内子座の案内役も務める二宮佳世さん(34)は「音楽会を小学生のころから内子座でやっていた。町民にとっては当たり前の存在」と話し、暮らしに溶け込んだ芝居小屋の姿をうかがわせた。

【注】会合に参加予定の芝居小屋は康楽館(秋田)、ながめ余興場(群馬)、粟津演舞場(石川)、
でか小屋(石川)、永楽館(兵庫)、八千代座(熊本)  

(2016/02/17 (共同通信)(共同通信社「47行政ジャーナル」より転載))