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奈良県十津川村/職人魂、復興担う 十津川村唯一の木工作家

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年8月31日

奈良県十津川村

2年前の紀伊半島豪雨で被災した奈良県十津川村は、面積の96%を山林が占める。数少ない村の資源を復興のために活用し、雇用創出にも結び付けようと、村唯一の木工作家坂口明裕(さかぐち・あきひろ)さん(33)が、商品開発や後継者育成に奮闘している。 

「村で作れそうな木工品を考えに来てほしい」。和歌山県上富田町を拠点に活動していた昨年春、数年来の知人だった十津川村職員から誘われた。復興を支援する奈良県の非常勤職員として村へ移ることを決め、昨年6月から活動を始めた。 

「人や山のために仕事をしたかった。十津川には木工作家がおらず、存在意義も感じる」。坂口さんは木製の名刺ケースや、いすなどの試作品を製作。高校で木工の技術指導をするなど、後継者育成にも携わる。 

十津川産の木材は高級材ではなく、加工品には節が多く残る。それでも「節もうまく使えば、木の生命力を表す商品にできる。どこまでできるか探求している」と職人魂を燃やす。地元の木を使ったものづくり産業を活発にするのが目標だ。 

豪雨の後、村の存在意義を自問した更谷慈禧(さらたに・よしき)村長は「木にこだわり、山を守るのが使命」と決意。衰退する林業を復興策の核とし、伐採から加工・製造、販売までを行う「6次産業化」を掲げ、建築材への加工や家具製作に力を入れ始めた。 

しかし、村は林業向きの環境とは言い難い。農林課によると、急斜面が多く、木の手入れや伐採に手間も費用も掛かる。林業に携わる人も100人を切り、放置林も増えた。 

豪雨から2年。坂口さんが目指す木工品の産業化にはほど遠いが、ある森林組合関係者は「何かに手を付けなければ人は出て行くばかり。村が変わりつつあるのは間違いない」と話す。 

坂口さんの非常勤職員としての任期は3年。「残り1年半では成し遂げられない」と、そのまま村に残って活動するつもりだ。「木を使うことが山をよくする。村のため、山のために技術を生かす」と力を込めた。 

(2013/08/31 (共同通信)(共同通信社「47行政ジャーナル」より転載))