福島県広野町
2858号(2013年10月28日)
すっかり日も暮れた人工芝のグラウンドで、子どもたちが元気いっぱいの笑顔で手を振っています。「また来週ねー!」サッカーの練習を終え、帰宅する子どもたちはみな、 震災前には同じ学校に通っていた幼なじみです。避難生活で離れてしまったけど、やはり小さいころからの友だちは、気のおけない特別な存在。 「ここに来れば懐かしい友だちに会える」…そんな思いを支えているのが、「広野みかんクラブ」なのです。
サッカーU-15 クラブチームは元気いっぱい
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「広野みかんクラブ」は、2010年に設立された、地域に根差したスポーツクラブ。名前は、町民からも親しまれている役場前の「みかんの丘」から取りました。
「気軽にからだや手先を動かす活動がしたい」という町民からの声を受け、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでも参加できる環境づくりを目指し、 スポーツや文化活動の場を提供するために設立されたのです。およそ1年間の活動で、約280名の会員を得て、活気づいてきた矢先に、東日本大震災が発生。そして、広野町全域への避難指示。 クラブの事務局がある公民館も、被災者対応に追われ、活動中断を余儀なくされました。
震災から約4カ月後に、ようやく活動を再開。長引く避難生活に心身ともに疲労の色が見え始めた高齢者向けに、いわき市高久に設置された仮設住宅で、 ノルディックウォーキングや手芸教室などの講座を始めました。その時間だけでも心が晴れて、笑顔が戻れば、といくつかの講座を定期的に開催し、徐々に幅広い年齢層に参加してもらえる内容も加えていったのです。
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震災から1年後に、ようやく元の広野町公民館に事務局を戻すことができ、本格的なクラブ再開に漕ぎつけました。まだ仮設住宅で生活している町民のために、出張講座も継続。 運動不足解消だけでなく、町民同士の交流の場としても役立っています。2012年10月には、復興祈念事業として、第1回「MIKANカップ」フットサル大会を開催し、10チーム約90名が参加。 笑顔と歓声が絶えない素晴らしい大会となり、クラブには、震災前の活気が戻ってきました。
大人気の手芸教室
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現在会員数は、300名近くまで増え、約20種の講座や大会、イベントなど、「広野みかんクラブ」の活動は広がりを見せています。実質、震災前の4分の1程度しか、 町民の帰町が実現していない広野町。町から離れて暮らす町民たちが、クラブ参加のために一時的に町に戻ることで、『町に帰ろう』と思うきっかけになれば、と期待を寄せています。そして、 クラブが町の魅力のひとつと捉えられ、町外からの移住希望者を惹きつける一助となっていけるよう、願いをこめて活動を続けています。
「MIKAN カップ」フットサル大会では、いい汗を流しました
広野みかんクラブ事務局(広野町公民館内)0240-27-1234
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