本書は、住民や行政、団体との連携や協働の手法について、長年にわたり現場で実践してきた筆者の成功事例を取り上げながら、「寄りあいワークショップ」という地域再生の手法を紹介するもの。
地域再生の基本哲学と具体的な方法論が仔細に記されているが、地域再生は詰まるところ住民の意識と行動に依るところがいかに大きいか、筆者の主張が伝わってくる。
「寄りあいワークショップ」とは、どのような理念に基づくもので、どのような成果をもたらすのか。実際の事例をもとに各段階のプロセスが留意点とともに紹介されている。 参加した住民の表情や取組姿勢の変化までもが伝わってくる。
地域再生には様々なやり方があり、成功が保証されるという絶対的な手法は存在しない。それ故苦労も多いが、成功事例の参照や試行錯誤を繰り返しながら前進するしかない。
筆者は、地域再生に取り組む人々や「地方消滅」に不安を抱く人々にとって、夢と勇気をもって取り組む一助になればと考えていると、本書への思いを綴る。住民が主体となってあるいは、 住民とともに地域の再生に取り組もうと考えている関係者にとって、本書は一つの解法を提供してくれるであろう。