著者の肩書きは、“ローカルジャーナリスト”。いま地域で何が起こっているのか、若い世代や移住者の行動を、地域(島根県)から独自の視点で捉え続けている。
本書は、タイトル通り「よそ者」「創造」「新しい農山村」がキーワード。登場する地域は、島根県海士町、江津市。離島という条件不利性を逆手に取った地方創生のトップランナーと、空き家など地域課題をビジネスコンテストという変換ツールで塗り替えた地域再生の先発事例を取り上げる。全国的な有名事例だが、誰が、何を考え、どう行動したのか、新しい農山村をどうやって創るのか、生き生きとした各人の描写を通じ、プロセスや課題を明らかにしている。終章部分では、「関係人口」を取り上げている。地域再生の現場や政策形成の現場でいま急浮上している「関係人口」とはいかなる意味か、関係人口から展望する「新しい農山村」のかたちは何か、その輪郭が見えてくる。