本書は、木佐茂男九州大学教授を代表とする地方自治法制に関する研究プロジェクトのメンバーである青山、国分両氏による研究会での発表業績をまとめたものである。
大都市制度や出先機関改革など自治制度の再編論議が進行している。地方分権は政権交代により地域主権へと衣替えし、いくつかの改革が進められたが、果たしてあるべき方向へと前進しているのか。
青山氏は、「大阪都構想・府県大都市制度問題」について鋭く切り込む。大阪都構想はローカル問題かそれともナショナルな大都市制度問題なのか、ポピュリズム政治と地方自治と関係を どうみるかなどの解明を試みている。
国分氏のテーマは、「野田政権の地域主権改革」。施政方針演説における地域主権改革の位置付けの変遷や、混迷している出先機関改革の顛末、そして、民主党政権の 地域主権改革を検証している。本書の後半は、二氏の見解に対する分析を気鋭の研究者らが加えている。
地方自治のもっともホットな話題を、ジャーナリストの視点と研究者の視点から読み取ることができる類書にない特徴を持つ本書は、再編論議の深層解明の手ほどきとなるであろう。